番外編 ダメな子三号
ラトファは気さくで朗らかなお姉さんって感じのエルフだ。
俺のような殺意溢れる目つきの子供にとってこの種の人物は稀有と言える。
なにしろ沿海州のアサシンからは同業者と勘違いされ、ダンジョンで助けた女の子たちからは暗殺者呼ばわり、領民から悪魔と罵られ逃げられてきたのだ。
「鏡見たことないのッ!?」
「夜中に見たら心臓とまるわよ!」
「逃げろー! マクローエンの悪魔だー!」
「野郎どもは逃がしな! ケツを掘られるよ!」
「みなさん教会へ早く! 急いで!」
等々と散々な扱いを受けてきた。世が世なら児童虐待ではないだろうか。
え?
領民が逃げるのは自業自得だろ? 汚いスプーンがいけねえんだろって?
よし、さっさと本題に入ろうか。
ラトファは俺を迫害しない珍しい子なんだ。それはバトラへの恋心が奇妙な色合いのフィルターとなって、マクローエン産の殺意過剰な目つきに対する緩和剤になっているのだろうが、それでも俺は嬉しいんだ。
だから慕ってるし、彼女も俺を可愛がってくれてる。
タイプは違うけどリザ姉貴みたいなステキな女の子って、俺はある日までは思っていたんだ。
ラトファと過ごした五日間の休日で俺はようやく彼女の正体を知ったんだ。
なんて言うと誤解を招きかねないから簡潔に言えば、ラトファはやっぱりダメな子三号だったんだ。
その日の夕食はパスタ地獄にした。
カルボナーラにペスカトーレ、サラミをふんだんに使ったナポリタンにボロネーズにバジルたっぷりジェノベーゼ。
サン・イルスローゼの青果市場すげえよ、欲しかった食材全部揃うんだもん!
それぞれ五人前くらいの量を作って大皿で提供。あとは勝手にトングーで小皿に分けてくれってスタイルで夕飯を始める。あっと言う間に半分消えた。みんな黙々食べてる。
料理を作る側としてはやはり食べてくれるのは嬉しい。トキムネ君がグルメ気取りで色々文句言ってくるけど意外に的を射ているのが新発見だった。繊細な味覚って奴はお育ちで作るものだからじつはボンボンなのかな? 出自についてはいつも濁すけど。
一番人気はジェノベーゼだ。摘みたての香草っていい香りがするから料理映えするね。お代わりを要求されたけど他のパスタが減らないと困るからやらない。
意外にも不人気だったのがカルボナーラだ。ベーコンの香りが合わないせいだと思うんだ、自家製で作った方がいいかもしれないね。
もぐもぐ食べてるとユイちゃんが袖を引っ張ってきた。
二人きりになりたいって合図かな?
「リリウスは強くなりたいんですよね?」
ちがった! でもその勘違いさせる仕草も好きです!
「そうだよ」
「おいしいからいいんですけど、日毎に腕前をあげていかれちゃうとどこを目指してるのか不思議になっちゃって……」
こいつは重大な指摘だぜ。
俺もしかして人生の迷子してる?
でも目の前の事からコツコツ主義者なんで今は料理な気分なんだよね。
「今は料理、そのうち強さ、そんな感じかな?」
「迷走してるわねー」
「オレはいいと思うぜ、最近こいつのメシ楽しみになってるしよォ」
「あ、それわかる。最近ご飯おいしいから調子いいのよね~」
「食事は生活の基本。疎かにしているつもりはなかったのですが、やはり拠点で食べられるのはありがたいですね」
「確かに。これだけでもこいつを入れたのは正解だったな」
俺の存在意義が料理だけみたいな発言やめろとは言わない。
自慢の腕をようやく披露できて、けっこう嬉しいんだよね。
「みんな、そのまま聞いてくれ」
バトラが何か重大発表のご様子。もしかして俺ファーム落ち? 拠点で料理だけ作ってろ的な奴?
「近頃は休みらしい休みもなかったから、明日から数日休みにしようと思う」
「「「ピーピー!」」」
みんな口笛吹いて一斉に歓迎してるぜ。
冒険者としてそれでいいんですかね? って俺だけは言っちゃダメな奴だな、すでに料理道歩き出してるし。
「では俺はこれで。みんなはそのままゆっくりしててくれ」
「バトラはどっか行くのか?」
外に女でも……そんな時間なかったな。気づいたらいつも鍛錬してたし。
「フェイと修行に行ってくる。対人技能を磨くなら近い技量の者との方が効率がいい……来るか?」
「いんや。俺はもう少し煮詰めたい」
「鍋をか?」
「鍋」
キッチンだと異臭がするから外にかまど組んで豚骨を煮詰めてる。そのうちラーメンも作りたいからだが、製法がわからないから一から研究してる。マクローエンでもラーメン流行らそうと思って食中毒引き起こした事件があったな。犠牲者は俺とアルドだけだったな。
「趣味に没頭するのも構わんが冒険者としての本分も忘れるな」
「かしこまり!」
無意識に敬礼しちまったぜ。
ダメな子ってすぐ敬礼するよね、とか言っておきながら敬礼グセ移されるとか……
カトリたんとレテとラトファに続きダメな子四号誕生だわ……
グランナイツはこうして五日の休暇を手に入れた。
「朝飯だぞー!」
朝八時、いつものようにユイちゃんと朝食用意してから声を張るが誰も起きてこない。
休みだからって弛んでやがるな?
「トキムネ君はまだしもクラウとラトファまで寝坊するとはな」
真面目系なのにだらしないとかクラウの評価急降下っすわ。
最近いいところないし(注 完全に地下迷宮で十五層以降のために温存させた挙句スキップした俺のせいです!)、ファームどころか引退させてコメンテーター行きだな。もうワイプで解説だけしてろよ。
「クラウなら日の出前に出かけましたよ」
「超早いじゃん。あいつも修行?」
「学会のお手伝いだそうです」
学会とかハイソなメガネ君だな。やっぱりメガネ君はできるメガネ君だったわ。
最近良いとこ無しだけど(注 俺のせいです)。
「じゃ、二人を起こしてくるよ」
「その間にデザートでも用意しておきますね」
ユイちゃんマジ有能。
孤児院育ちだから家事は一通りできるんだよね。特にマドレーヌ的な焼き菓子が絶品なんだ。
「トキムネ君朝だぞー!」
ドス!
「ぎゃあああああああああああああああああ!」
「お前はなんで、普通に起こしゃいいのにスプーン刺しちゃうんだ!?」
「俺が早起きしてメシ作ってるのに寝坊してた奴がどの口で!」
「お前が! メシは任せろって! 言ったから任せてるんだろが!」
そういや俺から言い出したんだったわ。
でも反抗的なのムカツクから尻蹴飛ばして一階のダイニングまで蹴落とす。
「ぎゃああああああああ!」
トキムネ君の鶏鳴が響き渡るよい朝である。
合掌。
お前はもしかしたらそんなに悪くないのかもしれない。しれないがなぜか腹立つんだ。
次はラトファだな。
「ラトファ、朝だよ起きて!」
ラトファの部屋に入った俺は愕然とした。
汚部屋だ。
服があちこち散乱して床を埋め尽くし、弓とか矢もその辺転がってる女戦士の汚部屋だ。
汚部屋の真ん中にあるベッドで抱き枕みたいにかけ布団抱き締めてヨダレ垂らして眠ってる美少女エルフが……
「…………」
選択肢1、俺は何も見なかった
選択肢2、俺は何もみなかった
選択肢3、俺は何も見なかった ←
そっ閉じした。
あのままあの部屋にいると美少女エルフへの幻想がぶち壊されそうな気がしたからだ。
「ラトファさんは?」
「そのうち起きてくるよ」
三人で朝食を取る。白米に味噌汁に焼き魚でう~~んジャスティス。日本食最高だね。
朝食の最後にユイちゃんの用意したバナナと林檎のスムージー飲んでると……
「神殿に行くの?」
「はい、最近顔を出せていなかったので。せっかくのおやすみなので今日一日祈りを捧げようかと」
「俺も行きたいな」
「……あのぅ、アルテナ神殿は男性は…ちょっと……」
そういえばアルテナ神殿は男性禁止だったっけ。
純真と癒しを司る処女神アルテナの聖職者は女性のみってのは聞いてたけど、まさか参拝もアウトとは思わなかったぜ。デートしようと思ってたのに残念。
「頑張ってね」
「頑張ることなんてないですよっ、でもありがと」
耳元でこっそり感謝してくれるユイちゃんマジ天使。
この少しずつ心の距離を埋めてく感じがじつに心地よい。
どれだけ近づいてもまったく距離感の掴めないお高い女や、隙あらば腹筋狙ってくる変態とは違いすぎるぜ。
しかしとなると予定空いちまったな。豚骨スープ作りに費やすか……
「おい、暇ならオレと闘技場いこうぜ!」
「戦うの?」
「ちげーよ。賭けるんだよ、金だよ金。儲けたらお前よ、いい店連れてってやるから楽しみにしてろよ!」
ギャンブルか最低だなこいつ。
酒に博打に女遊びとマジでダメ男の三種の神器揃えてるな。
「やめとく……おい袖を掴むな」
「リリウス様ァ、オレに軍資金をよこしてください!」
六つ下に金借りるとか最悪だな。
でもトキムネ君にはおでん屋紹介してもらった借りがあるから銀貨五枚やるよ。
「ほら、返さなくていいからこれで遊んでおいで」
「リリウス様ぱねえ……」
感激してるとこ悪いけど俺とユイちゃんの目も見ろよ?
心底軽蔑してる目だぞ?
返さなくていいって言ったのは文無しで帰ってくるのが目に見えてるからだぞ?
トキムネ君は皿洗いの手伝いもせずにダッシュで出ていったのでした。
世の中って優しくする意味のない人間いるよね。優しくした分だけつけあがって見下してくる奴いるよね。それがトキムネ君です。クズです。
へへっ、完全に俺と同種のダメ男だわ。他人とは思えない!
後片付けが終わると少し準備してからユイちゃんが出かけてった。
俺は庭の竈で豚骨スープ作りする。醤油があるので博多系ラーメンの再現を目指してるが、どうも納得いかない。完成度20%にも届かない感じだ。
「そもそも異世界食材で博多ラーメン作ろうってコンセプトが間違いなのかな。俺の知ってるのとはまったく違うラーメンならすぐにでも作れる気はしてるが……」
悩みながら寸胴を掻き回してるとラトファがアクビしながら起きてきた。
「おはよー。みんなは?」
「出かけたー」
「一人?」
これは遊んでくれる奴だな。
美少女エルフと遊べるとか普通なら俺が金払うイベントだぞ。
「そうだよ、めっちゃ暇してる」
「よ~し、そんならあたしが遊んであげる!」
どんな時代どんな社会どんな文明にも存在する文化がある。
ギャンブルだ。
日本でいえばサイコロ博打のチンチロリンや花札が有名だよね、現代ならパチンコ競馬に競輪競艇。カジノ法案どうなったんだろ?
海外の有名処だとトランプ使ったバカラにポーカー、ブラックジャック。イギリスの貴族なんかも社交界で遊んでいたのは有名だね。
古代ローマでは闘技場なんてのもある。剣闘士によるガチンコの殺し合いにみなさん熱狂してたってわけだ。それだけじゃなくて戦車走らせたりチーム戦やったり猛獣と戦わせる熱い試合もあったらしい。詳しくはラッセル・ク〇ウのグラディエータ〇とか見てくれよな、あれマジおすすめだから。
石造りの円形の闘技場は最大収容人数二万人らしいが超満席。いい大人が賭け札握りしめて大声で応援してるぜ。
「そこだー! やれー!」
遊んであげると言って連れて来られたのが、うん、闘技場なんだ。
少し離れたところでトキムネ君発見したわ。すげー悪そうな奴らと一緒に観戦してるわ。あいつの交友関係やばそう。
「よっしゃー勝ったー!」
闘技場の砂を撒いた舞台ではラトファの賭けてた奴隷剣闘士のサイクス君が勝利した。
円盾を持つ左腕があがらないほどの辛勝で、実際格下のサイクス君の方がオッズが高かったんだ。
観客席からは歓声よりもブーイングが大きいけど、頑張ったサイクス君には素直に拍車だわ。俺の銀貨一枚が六枚になったしね。
「ラトファさ、こーゆーの好きなの?」
「大好き!」
めっちゃいい笑顔で返された。
「面白いもんね!」
「でしょー? この一体感たまんないわよね!」
俺は空気の読める少年だ。無粋なマネは決してしないぜ!
試合四つが終わってここまで二勝二敗。それでも収支はプラス銀貨三十枚。一回の勝ちが大きいおかげだ。ラトファはなぜか弱いというか人気が低い方にばかり賭けるんだ。
「だって弱い方が勝った方が面白いじゃん!」
「わかる」
潤沢な資金で選手買いあさる巨人よりカープ応援したい気持ちと一緒だわ。
闘技場っつーと野蛮なイメージだけどスポーツのない世界におけるスポーツ観戦のノリらしい。そう思うと健全な趣味に見えてきたぜ、めっちゃ血出てるけど。
「いけー! ころせー!」
やっぱ健全じゃねーや。応援の八割が殺せーだもん。
観戦を終えると儲かったお金でお酒を奢ってくれることになった。
話題は尽きない。バトラの昔の話なら幾らでも話せるし、振るとめっちゃ早口でしゃべってくれるから永遠に話してられるんだ。でもでも五時間はやめよっか! これ以上しゃべると美しくない思い出でてきちゃうから!
「あはははは! もう一軒いこー、もう一軒!」
グデングデンに酔っぱらって一人じゃ歩けなくなったラトファを背負う俺は深刻な疲労でテンションダウン。だってバトラの話しかしなかったもん。テンション上がるわけないよね。
結局この後二軒はしごして帰宅した。
ラトファを汚部屋に送り届けるとヨタヨタしながらベッドにたどり着き、ふとんを抱いて就寝。……これ朝見た光景だわ、幻じゃなかった奴だわ。
「楽しいおデートかと思いきや中々疲れる時間だったぜ……」
地獄から解放された。
そう思っていたのは俺だけだった。
翌朝いつものように朝食を作っていると……
「リリウスく~~ん、お姉さんが遊んであげよっか!?」
まさかのラトファ再来。
だが俺は何度も同じ轍を踏むアホじゃないぜ。ここは華麗に断ってみせるぜ。
「いいね!」
無理DANA! 非モテが美少女からのお誘い断るとか無理すぎたな!
この日は朝からハウスで飲めや歌への大騒ぎだった。
この辺りまでは本当に楽しかったんだ。裸踊り始めたトキムネ君殴り倒したり酔い潰れたユイちゃん介抱してた頃はね。でも二人きりになると……
「でね、その時バトラがこう言ったわけ!」
「…………」
再びのバトラ地獄がはじまりはじまり。
拷問のような時が流れて夕方になり、席を立ったラトファが最高の美少女スマイルで、
「カジノいこっか!」
カジノに連れてかれた……
「こいー! こいー! こ~~~~いぃぃぃぃ!」
ディーラーが転がした球が赤と黒のどっちに入るかってルーレット台で熱狂する。
儲けて、負けて、儲けて、負けて、負けて……
とうとうラトファの財布はすっからかんになった。
「……リリウス君お金持ちだったよね?」
俺はなぜかこの時ラトファとトキムネ君がかぶって見えていた。
おそらくは未来予知に目覚めたに違いない。だってラトファがすぐにすがりついてきたんだもん。
「リリウス君お金貸して! 返すから、今晩中に返すからぁぁぁぁ!」
「貸すから! 貸すからエルフへの幻想壊さないで!」
大泣きしながら俺にすがりついてきたラトファに銀貨二十枚貸すと、途端にしゃっきりしやがった。
むしろ誰だこの男前と言わんばかりの劇画調な顔になってやがる。
「久しぶりに本気って奴を見せてあげる。行くよ!」
マントをバサリと翻すラトファがルーレット台へと歩いていった。
そして一時間後。
ご休憩用のバーラウンジで落ち込むラトファは、効果音がズドーンって感じだ。
真っ白に燃え尽きてやがる。
「ラトファさ、お金は返さなくていいから」
「……それはダメ」
いいよ? 全然いいよ?
「年下からお金借りておいて返さないとか女が廃る! それだけは絶対にダメなの!」
「もうだいぶ廃れてる気がするけど……」
そして翌日、朝からギルドに連れてかれて高額依頼を探せと命令された。
最低でも金貨二枚になるでかいクエストを探せって話だが最低ランクの俺に無茶を言うぜ。俺でも受けられるクエストって高くて銀貨八枚だからね。
「あなたなら大丈夫だと思うのですぅ」
ルーに相談してみると一発で解決しちまったぜ。
「ハンティングクエストですぅ」
「賞金首?」
Bランクからしか受けられないクエストのはずだろ?
「ネームドが低ランお断りの理由はお金に目の眩んだ新人さんが挑んじゃうからです」
「正に今の俺じゃん。俺みたいな可愛い妖精さんにクソ強いモンスターの相手させる気か?」
「あなたが今まで吊るしてきた冒険者さんの方が強い気がするんですぅ……」
言われてみればそうだな。
フェイでもいけたみたいだし、俺とラトファならいけっかな?
ネームドではないけど、日帰りで行ける場所のちょうどいい依頼があるというので引き受ける。
王都北部の森林地帯で豚兵の目撃情報があったらしい。このオークって魔物はいわゆる害獣指定を受けている危険外来生物なんだ。非常に高い繁殖能力を持ちながら半年で成体まで成長するうじゃうじゃ系の魔物だ。
目撃情報は一匹って話だが群れで行動する魔物なのでうじゃうじゃ確定。一匹倒せば銀貨二枚プレゼント。小銭つかみ取り大会だな!
そして……
「あははは! 銀貨が二ま~い、銀貨が四ま~い!」
目を銀貨マークにしたラトファが、森の中を逃げていくオークに向けて矢を打ちまくる。
ラトファ弓兵としての腕前はいいんだよね……
ダメなのは他の部分なだけで……
お昼に到着して夕方まで狩り続けた結果がオーク十五匹。金貨一枚に届きそうな感じでじつに美味しい仕事だった。
「あと五頭!」
「ラトファ、もういいよ、十分頑張ったよ」
「でもこれじゃ半々にしたら二十枚にならないもの! リリウス君はそれでいいの!?」
いいよ? 全然いいよ?
むしろもう帰りたいの! 返して、俺をユイちゃんが待つハウスに帰して!
「さ、まだまだ行きましょうね~~~」
「いやあああ! 帰りたいのっ、おうち帰りたいの!」
そして夜間のオーク掃討戦が始まり……
翌朝……
「ひどい目に……」
「遭ったね……」
オークを探して森の深部に入ると古代の遺跡に出入りするオークを発見。ズンズン侵入していくと上位種である豚戦士を率いるオークリーダーに遭遇。すでに脂ヌルヌルで切れ味が鈍くなったミスリルソードで頑張って倒してたらミスリルソードが折れちまったんだ……
すぐにラトファの矢も尽きちまったんだ……
透明化して一旦逃げてから途中のオークの死体から矢を回収して遺跡の奥のオークは全滅させたんだけど、森を出てから気づいたんだよね。
上位種の討伐証回収し忘れたって……
広大な森の、偶然たどり着いた古代遺跡にもう一度行くの無理だね! 帰りたいし!
結局オーク十五体の討伐証を換金して銀貨三十枚ゲット。それを半分に分けて俺の取り分は銀貨十五枚で……
「はぁ!? 金貨十八枚すんのそいつ!?」
以前カトリたんと行った武器屋でミスリルの短剣買い直したらひどい赤字になったんだ。
ボロボロになった心と体を引きずってようやくハウスに帰り着き、玄関で豪快に眠り始めたラトファを見下ろしながら俺は思ったよ。
ダメな子三号はやっぱりダメな子三号だったってね。




