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フェスタの魔手

 時刻は夜を迎え、アンセリウムの幕があがる。


 仮面で顔を隠した紳士淑女が劇場の広々としたソファに着席し、その三方を三名までに限定された護衛が固める。


 麗しいウエイトレスが運んできたドリンクを口にする彼らの目は、手元のオークションカタログから一時も離れはしない。

 暗い欲望を滾らせてオークションの始まりをただ静かに待ち望む。


 劇場の壁に空いた穴のような特別観覧席には特別な客が招かれる。


 アンセリウムの特別席を用意できるというのはサン・イルスローゼの貴族にとってかなりのステータスになる。

 好奇心旺盛なご令嬢を呼んで財力をひけらかす者もいれば、愛人を連れ込んで危険な火遊びの空気の中で睦み合う者もいる。


 アンセリウムは闇の中の華やかな社交場なのだ。

 社交界のような煌びやかさではない。薄絹のような闇の中でしか楽しめない娯楽なのだ。


 特別観覧席の中でも最高等級の、一番高い位置にある室内でオークションの支配人であるルーデット卿が特別な客を応接している。


 透明化した俺はその部屋の隅で二人の様子を見つめている。


 ルーデット卿の言っていた少し難しい客というのは、見るからに武人といった印象の巨漢。


 年齢は卿と同世代と見た。ゴツゴツとした筋肉質な巨躯に、水流が長い年月をかけて削り取ったか巌のような顔立ちの男。

 甲冑こそ纏っていないものの、その雰囲気は戦場に出る騎士のものだ。


「盛況のようだな」


 お世辞ではなく挑む口調で言い、ワインをがぶりとやる。

 毒を疑わぬ姿勢とこの口調は生来の無骨者だからか。


「閣下の目こぼしあればこその繁栄と心得ているよ」


 喧嘩しないで! 俺が必要になっちゃうから!


 この二人レベル幾つなの、俺の危険度センサーがうーうー言ってるよ!


「ルーデット卿は武人のみならず政治の才能もおありのようだ。あれだけ根回しされれば騎士団は動こうにも動けん。俺ではこうはいかん、敵国に亡命してこれだけの組織を作り上げるなどな。だから貴殿には敬意を払っているつもりだ」


「シュテル・アル・ヴァン・イルスローゼ騎士団長閣下からの敬意ならば素直に受け取りましょう」


 どこが少し難しい相手だよ!

 ローゼンパームの守護神、黄金騎士団の団長じゃねーか。噂のおっさん王子じゃねえか!

 裏社会のボスからすれば最大の難敵だろうが! 俺を巻き込まないで!?


「ん、貴殿は今どうして俺のフルネームを?」

「予備知識は必要だろうと思ったのだ」


 黄金騎士団の団長とかいうやべー奴がキョロキョロして俺を探し始めた。

 義賊なんてやってるから俺見つかりたくないんだよ!


「まったくわからんが誰か潜ませているのか?」


 だからキョロキョロ禁止!


「抜け目のない男だ、俺には伴を許さぬくせに自分の手下だけはきっちり配置するかよ」

「フェスタの手を恐れる亡命者の浅ましさと寛恕願いたい」

「話があると押しかけた身だ贅沢は言わん。だがこいつは信頼できるんだろうな?」

「ご安心を。いずれは我が娘の伴侶となる者です」

「カトリーエイル嬢か、あれは美しい娘になった。俺も妻に欲しかったが……」


「噂の義賊か!?」


 バレたー!?

 くそっ、騎士団はもう俺の正体掴んでたのかよ。フェスタに亡命するか!?


「おい、姿を見せろ! お前にも話があったんだ。おい、聴こえているんだろ!」


 あわわわ……

 やべー奴が立ち上がって俺を探し始めやがった。


 でも全然大丈夫そう、壁をペタペタしてるけど俺ルーデット卿の後ろにいるもん。

 このやべー奴、閣下ほどやべー奴じゃないみたいですねぇ。


「……卿、まさか俺をからかったのか?」

「おおかた恥ずかしいのだろう」


 怖いんだよ。


「ちぃ、一度正義について語り合ってみたかったのだがな」

「俺の正義は女の子の幸せを守ることですよ」


 一瞬だけステルス解除してぼそっと言ってみる。


 超速で振り返りやがったけど、透明化が間に合ったぜ。


「だから話をしたいだけだ、お前に不利益はない! 出てこい!」


 絶対やだ。


 しばらくキョロキョロしてたけど、頭をがしがしやってから、ようやく着席したので一安心。


 特別席の下ではすでにオークションが始まっている。

 オークショニアの叩くハンマーの音と金額を叫ぶ声だけをBGMに両者の会談が始まる。


「話というのは来月の五大国会議についてだ」

「予想はしていたよ。してどのような要請をしたいと?」

「顔ぶれが厄介なのは毎回だが今回は特にだな。ライアード・バーネット、どんな人物だ?」


 ルーデット卿が息を呑む。


 一瞬だけ伊達男の優雅さが剥がれ落ちた。

 優雅さの下には、一瞬だけ垣間見えたルーデット卿の素顔には、もう戻れない故郷への思慕と何者かへの後ろめたさが張り付いていた。

 ライアードなる人物が何者かは知らないが相当に親しい間柄だったのだろう。


「とても優秀な男だ。彼が幼い頃は同じ船に乗った事もある。ウェルゲート海の事なら彼より詳しい者はいないだろう」


「それは貴殿を除けばの話だろ? そのライアードだが先月フェスタの無敵艦隊総艦長に就任した。お披露目のつもりだろうか、フェスタの全権者として会議に参加する」


「くだらぬ、海の男を陸にあげて何ができるというのか」

「海の流儀はまた今度にしてくれ。能力的には理解したが、どういった気質の男だ?」

「風雅を好む男だ、一流の趣味人でもある。また潮目を読むように心の内を察するところもあり、政治においても相当の才覚を持つだろうね」

「手強いか?」

「昔は子供っぽい邪気が抜けぬところがあった。成長した今ではわからん」

「厄介そうな奴ってわかっただけでも収穫だ」

「お役に立てたようで何よりだ」


「待て、要請はもう一つある」


 離席しかけたルーデット卿を引き留める様子は、本題はこちらとでも言いたげなものだった。卿も察したらしい。不穏な態度で座り直した。


「他意はない、怒るな」

「これを怒りと取るならば閣下は私を怒らせぬ方がいいだろうね」

「怖い事を抜かすな。今まさに卿の逆鱗に触れようとしているのだぞ」


 ルーデット卿の眉がピクリとあがる。

 自制したが止められなかったといった様子だ。


「フェスタ側の参加者名簿だ」


 名簿に目を通すルーデット卿の目が一点で止まる。

 そこにはレイシス・ルーデットの名がハッキリと書いてあった。


 俺如きには、ルーデット卿の心情を推し量ることなどできなかった。





 十三歳のシシリーは絵物語の中に住んでいた。


 病弱で寝台から満足に出る事もできない彼女は、父が行商先から買ってくる絵物語で無聊を託つていた。


 英雄の物語。お姫様の物語。人に恋した竜の物語。密偵の物語。何も持たない若者が町一番の美人に恋するだけの物語。

 多くの物語は悲しい結末だけど、何も起こらない部屋よりは退屈をしない。

 まだ見ぬ広い世界に空想の翼を羽ばたかせるだけの生だけど、それでもシシリーは幸せだった。


 ある日、いつものように窓を開けて読書に耽っていたら風が何者かの声を運んできた。


「お前にあんな友人がいるとはね。いったいどこで知り合ったんだい?」

「ご存知ないのですか、彼は昨年まで俺の留学先のウィルノーの公邸で暮らしていたんですよ。暮らしていたと言っても実質上の軟禁でしたがね」

「それは……知らなかったね」

「愉快な奴ですよ。海賊に拿捕された彼は身代金を支払い釈放された途端に、海軍を率いて海賊を撃破する奴です。これの笑えるポイントは、海賊を退治した後にうちの海軍に拿捕された点です」

「愉快なお友達だ。そういう友達は大事にしなければいけないよ?」

「ええ、本当に! 無論大事に致しますとも、現状この国で唯一我らに味方してくれる男ですからね」

「まったく持つべき者は愉快な友人だね」

「それと顔の広い兄貴もね」

「ハハハ、カトリに褒められるとは雪でも降るのかな?」

「どーゆー意味よ!」


 とても明るい口調なのに、穏やかではない内容だ。

 この会話をしている人達はいったいどういう人達だろう?


 疑問の答えは昼食を持ってきた母マルザが教えてくれた。お隣の空き部屋に三人家族が越してきたと聞き、シシリーは確信した。


(あの人達だ……)


 好奇心は母にこう問いかけた。どんな人達だった、と。


「下層街に住むような親子には見えなかったねえ。お貴族様みたいな雰囲気をしているのに、とても愛想の良い、良さそうな方々だったよ」

(良さそうな方々の会話ではなかったんだけどな……)


 この日からシシリーの好奇心はお隣に越して来た家族の正体でいっぱいになった。


 他国の密偵だろうか? それとも何らかの事情で旅の途中? では事情は何だろう、貴族様はどんな事情なら国を離れて旅をするだろう?


 空想の翼を広げて見知らぬ家族を想うのは、この狭い病室では最高の贅沢だった。


 幸い隣室との壁は薄い。昼はともかく静かな夜ならば、耳を澄ませば……


 夜毎漏れ聴こえる何気ない会話が、シシリーの心をどんな物語よりもときめかせた。


「ジャンが逝ったらしい」

「まさかクライスラー選帝公が?」

「ああ、彼の部下が遺品を持ってきた」

「あの御方が首を取られるなど信じがたいな……」

「死因は魔力欠乏だそうだ。馬鹿め、意地を張って国内に留まり続けたからだ」

「父上、我らとて安穏とは―――」

「わかっている。国内の不穏分子を鎮めればストレリアの手は国外へも伸びる。早急にこの国に我らの根を張らねばならぬ……!」


(この方々は亡命者なのだわ……)


 ちょっとした密偵の気分だった。

 他国からやってきた愛想の良い亡命者一家、彼らを見張る密偵の気分はシシリーを今までにない高揚感で包んだ。


 まだ見ぬ亡命者たちの姿を空想から作り上げていた。


(優雅で優しげなのに眉一つ動かさずに人の生死を口にするお父様。彼はきっと御髪が長いのだわ、それに立派なお髭もあるに違いない。亡命中でも衣類にはきちんとアイロンをかけて香水を使い、身だしなみには気を遣っているステキなおじさまね)


(残酷なジョークを朗らかに使いこなす男の子。やんちゃに振る舞ってるけど中身はとても慎重なのだわ、ご自分の言葉が相手にどんな感情を起こすのか慎重に判断して会話をリードしている。きっと背の高くて端正な美少年なんでしょうね)


(お転婆だけどものすごく頭のいい女の子。反抗的な口ぶりをするのに本当は家族想いで優しい子……本当に、あの方々はどんな御姿をされているのかな?)


 刺激され続けた好奇心はもう空想では満足できない。


 せめて一度なりとあの方々に会いたい。

 そう思い始めた頃、晴天の霹靂のように父がお世話になった方々だと連れてきた一組の親子と対面した。


 行商人をする父が街道で山賊に襲われた時に助けてもらったといって連れてきたのは、シシリーが妄想の中で何度も作り上げては手直ししてきた方々よりもずっとステキな方々だった。


 絵物語の中から抜け出してきたような誰もが愛してやまないほどに立派な貴族様の容姿をした父。


 強い意思を持った眼差しと甘いマスクをする素晴らしい貴公子の男の子。


 そしてどんな姫君よりも美しいに違いない美貌を瑞々しい生命力で彩る女の子。


「アルトリウス君、どうやらうちの子は娘さんと同い年のようですしお友達になってやってくれませんかね。見ての通り病弱な子で友達らしい友達もおらぬのはあまりに不憫でして」

「喜んで。カトリ、よいね?」

「お友達って親に言われてなるものじゃないわ」


 ズカズカと病室に入り込んできた姫君が、悪戯小僧みたいにニッカリと微笑みながら握手を差し出してきた。


「カトリーエイルよ、よろしくね!」


 彼女の手を握った瞬間、シシリーは運命の鐘の鳴り響く音を幻聴した。

 永遠に報われる事のない恋が始まったのだ。





 ここは空中都市の高級集合住宅。


 ここには様々な住人が住んでいる。官庁に務める官僚や大きな商会主の家族。空中都市に屋敷を持つほど裕福ではない、王都に留学した貴族の子弟。様々な住人が住んでいる。


 引退した騎士が常時二名詰める警備所は住人以外は通さない。ケータリングなどの雑事は二名の館女中が代行する。


 ここは空中都市の高級集合住宅。


 まるで一枚の板を敷いたみたいに舗装された道路の向こうから二頭のスレイプニルが曳く黒塗りの馬車がやってきた。


 馬車から降り立ったのは年の頃四十を数えるトビキリの伊達男。帆布のような外套を颯爽とひるがえして入っていく伊達男を、浅黒い肌色の警備の老騎士二人は丁重な礼を以て迎えた。


 伊達男はここの住人ではないが、ここを含めた幾つかの物件の所有者だ。


 彼は三階の一室の扉を軽やかに二回ノックし、僅かな間を置いて一回、三回、二回と繰り返した。

 やがて扉が開き、麗しいがご機嫌は憂鬱そうな女性が出てきた。


「いつも思うのですけれど、その暗号みたいなノック必要?」

「男というのはこうした行為に多分のロマンと憧れを抱く生き物なのだよ」


 伊達男が苦笑しながら入室する。

 我が物顔で棚のワインを取り出し、グラスを二つ用意しようとして思い留まった。

 テーブルにはすでに飲みかけのグラスが置いてあったからだ。


「一人酒とは珍しいね?」

「そーゆー気分の時くらいあるわ。カトリのせいだけど」

「ハハハ、それはすまないね。あれのせいで苦労をかける」

「いいのよ、好きでやってるんだもの」


 空笑いをするシシリーが途端に泣き出しそうな顔になる。

 辛くて心が張り裂けそうな顔だ。


「カトリが好きでやってるんだもの……」


 ルーデット卿は何も言わずに席でワインを含んだ。


 お互い踏み込む距離は理解している。距離感は大切だ、特にその者と長く続けたいと願うなら誰もがそれを理解しておかねばならない。


「ステキなおじさま、今夜は飲みたい気分かな?」


 シシリーはアルとおじさまと気分で呼び方を変える。

 つまりは気分の問題だ。昔、彼がこの太陽の国に来た時に住んでいた下層街の小汚い集合住宅のお隣さんだった頃の呼び方で呼ぶ時は、彼に父親としての役割を求めているのだ。


 温かく寛容で優雅な父親……を演じられる気分ではなかった。


 気難しげな顔つきのまま一枚の書類を放り出す。読めという態度だ。


「五大国会議参加者名簿……? 今度はこれに噛んで儲けようってお話?」

「そうした気分にはなれない。中身を確認したまえ」

「フェスタ外交全権特使ライアード・バーネット……」


 名簿は下にずらりと続いている。

 外交特使一名、外交官二名、武官二百名……

 だが二百名の武官の名を一々確認する必要などなかった。


 シシリーの目は外交官『ルーデット選帝公レイシス・ルーデット』の地点で止まったままだ。

 レイシス、何度も聞いた名だ。


「これカトリには……!?」

「まだ確認が取れていない」


 ルーデット卿は態度こそ落ち着いているものの、内心の動揺を必死の想いで押し殺している。


「エウリーデとレイシスはナルザシャーン監獄で処刑されたはずだ。国内の協力者からも裏を取っている。何度も確認した。何度も!」


「レイシスは殺されたんだ! ストレリアはッ、あの悪魔は戴冠式の日にエウリーデを処刑する、その一年後にレイシスを殺すとわざわざ招待状を送りつけて来たんだ! もう八年も前だ、いまさら、いまさらレイシスの名を持ち出すなど!」


 彼の一叩きで頑丈なイスロー材のテーブルが破砕する。


 再び振り上げた腕はブルブルと震えながら、静かに下ろされた。


「フェスタ側のはかりごとと?」

「わからん。赤の他人にレイシスの名を着せて形だけのルーデット家を復活させたのかもしれん、ストレリアのやりそうな手口だ。だがそれならなぜ会議に出席させる? ニセモノならば国内から出す必要などない」

「本物を知る者が見れば一目でそうとわかるニセモノを送るのなら、その意図はアルへの仕掛けと明白。問題はなぜそんな真似をするかね?」

「ああ、それが本当に、わからないのだ……」

「アル、貴方は混乱しているのよ。一晩ぐっすり眠ってもう一度よく考えるの」


 シシリーは気分で呼び方を変える。

 アルと呼ぶ時は、彼の愛人としての役割を演じる時だけだ。

 

「こんな気持ちで眠れるものか」


 ルーデット卿はシシリーの身を引き寄せた。

 彼女もまた抵抗しなかった。


「一人の男として女を抱きたい……そんな夜もあるものだ」


 重なり合い二人の背が寝室へと消えていく。

 スキル友情の輪 解説


 本日の講義は『友情の輪』についてだ。

 広く知られたスキルでありいまさら講義を受けるまでもないと考えるのは早計と言わざるを得ない。知識とは日々更新されていくものだ。学徒のうちだけ勉学に励むなどもっての他、日々新しい知識を手に入れてこそ本物の知識と呼べるのではないかな? そうだろう、そうだろうとも私の若い頃には(以下略)


 話が逸れたな、講義を続けよう。


 汎用スキル友情の輪は親しい友人と共にいる場合に効力を発揮する。INT値ATK値AGL値への上昇補正だ。親しい友といる時に調子が良いと感じるのなら友情の輪を持っていると可能性がある。あぁルル君、君にはない。誇りたまえ君のINT値が非常に優れているのは神々の恩寵などではない君が優れているからだ。なぜそんなに悲しそうな顔をするのだね?


 友情の輪は前述の通りパラメータの上昇を促すスキルであるが別の側面もある。コミュニティの外側の者に対して排他的になり易いという心理的強制力だ。低位でなら影響はないと言えるがBを越えると相当な強制力を持つ。他者を疎んじ排斥しようとする考えをスキルから強制されるのだ。スキルの持つ恐ろしい側面の一つだな。


 だが何も悪い事ばかりではない。コミュニティの内側の者に対しては格段の親しみを抱き、善き者として振る舞えるだろう。人は人を映す鏡というが優しくされた者がそれを不快に思うかね? 思わないだろう、自らに優しい者には優しさを返したくなるのが心持つ者の当たり前の心理なのだよ。


 ゆえにこのスキルの本質は境界線と捉えるべきだ。人は本来自己と他者を分けて考えるが友情の輪を持つ者は違う、自らのコミュニティと他者とで区別するのだ。

 どんなスキルにも便利な反面は恐ろしい顔を持つという好例だな。


 このスキルを持つ者は心穏やかに他者と向き合いたまえ。心を開いてコミュニティを広げたまえ。周りの者は君の親切に応えてくれるだろう。

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