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悪役令嬢の手下Aだけど何か質問ある?  作者: 松島 雄二郎
番外編 神々の世紀 火薬の園の魔王
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封印の地③

 仮眠後に再アタックを掛ける。攻略は順調だ。苦戦という文字さえ出てこない。……まいったな。

 どう考えても超級の魔獣ばかりが出てくるのに攻略本見ながら攻略しているような手軽さだ。実際イザールがやっているのはそういう戦闘マニュアル化だ。


 以前の交戦データを基に最適な破壊方法を導き出す。これをやられると勝ち目が無い。

 急所の位置。各種属性に対して保有する耐性。何アンペアの電撃を浴びたら何コンマの隙ができるか。これらデータを揃えられたらどれだけ技を鍛えようと勝ち目が失せる。


 これが当たり前のように思えるのは安全なゲーム画面の前に座っている奴だけだ。無限の命がない限りここまで詳細な情報収集はできない。だがイザールには簡単にできる。使い捨ての兵隊を山ほど揃えている奴だからできる。


 リサイクルソルジャーは死を恐れない。何度死んでもデータバンクに保管された人格データで再生できるからだ。呪術王国パカが集め続けた英霊の座から排出される尊厳を無視されることに慣れた不死身の兵隊は最強だ。

 こいつらは貯まっていく架空の預金残高にニヤニヤしながら永遠に訪れない恩赦の日を目指して、救いが訪れないことも知らず戦い続ける不死身の戦士だからだ。


 ミッション開始から33時間が経過した。内休憩時間が12時間。他にも細々と入ったから13時間かもしれない。


 攻略は順調でさしたる苦戦もない。

 90層に降りる。シールド車が掘削したような脆い洞窟通路を降りていく。おりるにつれて大気に漂う妖気が増していく……


「大物の気配だな」

「心の準備は必要だろうな」


 90層は洞窟の中にある地底湖だ。黄土色の霧に沈む地底湖の果ては見えない。この霧は感覚野を鈍化させる。あと臭い。


 嫌な感じがする。過去最大級に嫌な感じだ。……霧の向こうに大きな魚影がある。

 水中ではない。霧を泳ぐタイプの魔獣か?


 イザールが叫ぶ。


「ハザク神だ。散開!」


 霧の向こうからレーザー光線とビームが山ほど飛んできた!

 戦艦でもいるのかよ!


 砲撃の飽和攻撃を逃げ惑う。狙いは大味ながら威力で補うタイプの大雑把な敵と見た。―――接近して仕留める。

 飽和攻撃の出所へと縫うように進み―――見えた。メカメカしい戦艦級のシャチだ!


 斬撃をぶち込んだら殺人ナイフがへし折れた。これアロンダイク製品なんですけど!? しかも効いてねえどころか意にも介してねえ。この程度の攻撃は蚊に刺された程度にも感じないってか。


 でけえくせに素早い機械シャチが咆哮。全身に設置された砲門が一斉射で辺りを灰塵と化す! やべー、一旦退こう。


「なんだあれ! クソ強いぞ!」

「ハザク神だ。エントリアルの親玉と言った方がわかりやすいか?」


 あいつらの親玉か。そりゃ強いわ。


「奴らは高濃度メタンで成層圏まで覆われた高圧力世界から来た怪物だ。ハザク神は奴らが恐れ敬う最強のケイ素生命体だ。通常兵装ではどうにもならん」

「生物としての格がちがうってか。どうすりゃいい?」

「こっちの世界のルールを押し付けて殺せ。私は福音弾の生成に入る。お前も何かしろ」

「雑!」


 とはいえ尻尾巻いて逃げるわけにはいかねえ。

 さっきのあれ、再現できるか?


 スキル・エクリプスで内在エネルギーを探る。内にある虚数のちからにアクセスする。この不思議で大きなちからから権能を引き出す。魔力もだ。


 暗黒のちからを外装のように纏い、ハザク神へと殴りかかる。


 ああああ! もう! 神とエンカする迷宮はクソだあああ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 1話からメモを取りつつ読んできましたが、最近主人公がどういう状況で、何を目的にしているのかよく分からなくなりました。ここらで一発あらすじの様なものを挟んでくれるとありがたいです。正直今から遡…
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