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バトラ咆哮する

 バトラ・マクローエンを筆頭とするグランナイツの五人はしきたりに則りギルドの中心で叫んだ。


「我らグランナイツは地下迷宮十層を攻略したぞ!」


 魔剣ラタトゥーザと階層主からドロップした真っ赤な瞳を掲げ、クラン結成の宣誓をする。


 クランとはギルドに正式に認められた冒険者のチームである。クランを結成したからといって何か特典があるわけではない。クエストの報酬に色が付くわけでもない。なら何のためにと問われたなら、名誉のためだ。


 古来からのしきたりに則りクラン『グランナイツ』結成の宣誓を挙げた若い冒険者へと送られるものは拍手や歓喜ではなく、同じステージまで上がってきた若者を値踏みする冷徹な視線である。


「へえ、あの帝国からの流れ者まだ一年くらいだろ?」

「やるじゃんあの魔剣持ち……あの魔剣いいな、欲しくなってきた」

「いやいや実力でしょ。聞いた話じゃ騎士学院崩れらしいわよ」

「何にせよあの混成チームをよくまとめるものだ。いやもうクランだったな」

「一線級の戦闘能力と指揮能力を合わせ持つリーダーか、あいつらまだまだ伸びそうだな」

「早めに狩っとくか?」

「いや、ちからあるクランが増えるのは我らにとっても損ではないさ。まだ小僧の内はな」


(今だけは好きにほざくといい、だがいつまでもこの立場に甘んじる気はないぞ。若く実力のない冒険者を食い物にするしか能のない貴様ら弱小クランなど最初から眼中にはない。二年、いや一年の間に実力と名声を手に入れ、必ず三大クランに並び立つ!)


 好意も悪意も損得勘定もない交ぜにした、幾多の視線を浴びたグランナイツの面々は怯んだ様子だがバトラだけは耐え抜いていた。


(ファラ・イース、今は遠い最愛の女性よ……せめて君のルーツであるこの地に俺の旗を打ち立てよう。だがまずはこの地の闇を正さねばならない!)


 風の魔剣が荒々しい風を吹かせる。


 窓ガラスはビリビリと震える。吹き荒れる嵐風はグランナイツを若輩弱兵と侮る冒険者どもへの宣戦布告だ。


「俺はこのサン・イルスローゼの闇を正す。冒険者を名乗るゴロツキが若い冒険者を食い物にする惨状を憂い、邪悪を正す志ある者がいればグランナイツの旗の下に集うがいい!」


 宣戦布告はすでに果たした。


 グランナイツ一行は颯爽とギルドを去っていく。


 ギルドに残された連中はみな忌々しそうな面構えで彼らを見送った。


 なぜかやけ酒飲んでるカトリーエイル以外はだ。いったい彼女に何が起きたのやら……

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