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番外編④ 盗賊ギルドの音楽家其の四

 拝啓ロザリア様、どうしてリリウスくんは新年をアンデッドがうじゃうじゃいる山で迎えているのでしょうか……?


 瘴気の谷での激闘を終えてテンションぶち上がった閣下が「一番いいご来光を見るぞ!」とか言い出したせいで急遽帝都に戻って騎士団を招集。600人のピクニックが始まったんだがこいつが中々の地獄だった。


「こいつは手強いぞ。囲め囲め―――って誰もいねえええ!?」

「うおおおおおおおお! たぁっすけてー! 誰かー!?」


 当然のように山々に騎士団員の悲鳴がこだましている。あちこちから!?


「閣下、プリスのあんちゃんが谷に落ちましたよ!」

「この辺りには人の声をまねて狩場へと誘引する鳥類がいる。気をつけるのだな」


 いやいや今さっき谷へと滑落したのは見てたよねえ!? ていうか閣下の斬撃がプリス卿のいた辺りの岩盤を切り落としたよねえ!?

 く…訓練って言えば何をやってもいいと考えてやがる。


「助けてー、早くぅー!?」


 谷底から聞こえてくるプリス卿の悲鳴に合唱する。惜しい人を亡くましたまる。


 閣下が暗黒の夜空に向かって斬撃を二連撃! 即座に聞こえてくるたくさんの怪物の悲鳴が怖い。


「いま何を斬ったんスか!?」

「ワイバーンの群れだ」


 そんな危険なもんがいる山なのここ!?


「気をつけろよ、昼は雑魚でも夜間のワイバーンは恐るべき強敵だ」

「その昼のワイバーン一頭を倒すのに軍が必要なこの世の常識はご存じですか!? ご存じしやがってください!?」


 その昼のワイバーン一頭を倒すためにバイエル辺境伯家のご当主が三百の軍を率い、うちからも子弟が三人参戦した挙句アルドが石ころ投げて撃ち落とした事実があるんですよ。


 ああぁぁぁ、この山やべえよ、そこいら中から危険な香りがぷんぷんしてやがる。

 夜は魔物の時間とはいえここまで尋常じゃない気配の山は初めてだよ。……何か大物が住み着いて殺気立ってやがるんだろうな。


 そして意外でも何でもないがお嬢様はやる気だ。殺る気まんまんだ。


「行って、わたくしの炎―――フレアバースト!」


 壮麗なる華炎鳥が夜空へと飛翔する。炎の鳥とワイバーンの空中戦だ!

 デブッ、岩陰に隠れてないで出てこい! お嬢様の肉壁やんぞ!


「少しばかり遊んだらあちらの山に向かうぞ」

「いま遊んだらって言ったァ!?」


 爆発と悲鳴が轟く暗黒の山間部をひた走る。ちょっと俺でも死にそうな激戦の中をなぜかついてこれているデブと戦意で灼眼がキラキラしているお嬢様と、先頭を走りながら高笑いしている閣下である。剣っつーか聖銀で作ったオベリスクを担いで走ってるこの人はマジで楽しそうだ。


 やがて向かう先から凍りついた風が吹きつけてきた。

 急激な気温低下に肌が凍りつく。吐息は瞬時に白く変わり、さして不思議でもないがこの先に行きたくないと足がすくむ。


「気づいたか?」

「ええ、まぁ、……この先には何が?」

「大物さ」


 やがてたどり着いた山頂に一頭のキマイラが待っていた。

 巨大なキマイラだ。いつかラタトナで見た黄金の獅子のように巨大で強そうだ。パッと頭にひらめいたのは氷の帝王という言葉のイメージ。吹雪はこいつを中心に発生しているからだ。


「ワイバーンの標的はこいつだ。群れを襲ったこいつへの逆襲のために集まってきたというのが騎士団の見解であり、此度の作戦はこいつと群れ双方の撃滅をもって完遂とする。最初はお前達にやらせるつもりだったが……」


 閣下が亜空間収納から一振りの剣を取り出す。

 まるで勇者が持つ伝説の剣のように美しく、常に電撃をまとわせる長剣が強靭な氷の刃に包まれていき、瞬く間に刃渡り五メートル超の大剣へと変化した。


「お前達に任せるのはさすがに厳しいな。今回は俺がやろう」


 そして始まる大バトル。この人ほんとに人間なのかな?っていう激戦を繰り広げる閣下と、そこに参戦しようとするお嬢様、そしてそんなお嬢様をとめる俺とデブ。これが正しい役割分担!



◇◇◇◇◇◇ 



 朝日がビルゲイブ連山を照らし出す。鼻歌を口ずさみながらキマイラを解体する俺達は夜明けを知り、標高1700メートルから見下ろす絶景にしばし見惚れた。

 雪をかぶった白銀に輝く山々と遠くに見える山林の光景に吐息を漏らす。


 隣で同じ光景を見ているお嬢様に視線を向ける。朝日を浴びて炎のように色合いを変える、夢のように美しい少女が霊峰の景色に見惚れている。いやここが霊峰かどうかは知らんが。


「綺麗ですね」

「そうね」

「でも貴女の方がずっと綺麗だ」

「は?」


 真面目に口説いたのに「は?」って言われたぜ。俺は悲しいよ……


「って、なんで笑ってんですか閣下ぁ~~」

「面白かったからだ」


 ド直球だなこの人!

 鉄の男が噴き出してやがる。どんだけ面白かったんだよ。


「そうむくれるな。アドバイスをしておくが女は普段から言われ慣れているセリフでは響かんぞ」


 くつくつと性格が悪そうな笑い方をしながらアドバイスされた。

 正直そのアドバイスには邪推しかない。だってファラとか喜んでくれるし。


「……喜ぶ人もいるんですがね」

「それはお前に対して十分な好意があるからだ」


 あれ、それを逆に読むとお嬢様は俺に対して大した好意も持っていないって意味?

 おいおい、それはさすがのリリウスくんも動揺を隠せないぜ。


「お…お嬢様……?」

「ふふ」


 え、何そのサディスティックな微笑み?


「さあどうでしょうねぇ?」

「ちょっ、焦らすのはやめましょうよ! え、まさか嫌われてたりはしませんよね!?」


 俺がいじられて他のみんなが笑ってる。リリウス君はクールに犠牲になるぜ。それとあちこちに散らばっていた団員たちがしれっと合流していたよ。


 地獄のような山岳訓練の後、山々の一つにある監視砦で仮眠を取る。寝転がった瞬間に眠れた。よほど疲れていたんだろうぜ。



◇◇◇◇◇◇ 



 昨夜のあれはきっと悪い夢か何かだったんだ。というかここ数日は全部悪夢だったにちがいない。

 そう思いながら監視砦の洗面所で歯磨きをしている。なおすぐ外に鎮座するキマイラの進化個体の死体は見ないものとする。


 この世界にはたまにめちゃくちゃ強いモンスターがいる。いわゆる進化個体と呼ばれる連中で、土地の魔力を独占して上位個体への進化を果たした連中だ。一つの土地のちからを掌握して地域の王になった魔物はもうモンスターなんてチャチな存在ではない。魔物の王、脅威度『災害級』認定だ。

 こいつらは繁殖を繰り返して己の軍団を形成する。一つの森、一つの地域、一つの島がそいつの王国になると危険度が上昇していきやがて魔神級になる。……今回の奴とか完全に魔神級になりかけている危険な奴だったわ。

 閣下はあの時あいつがワイバーンを襲ったからワイバーンがその復讐のために群れで現れたと言っていた。逆に読めば騎士団はこいつの存在を把握していて、魔神になりかけている危険な個体が食欲に任せてワイバーンとやり合いながらテリトリーから出てきたもんだからウキウキしながら狩りに来たんだ。

 まったく馬鹿なキマイラだぜ。どこの田舎の王様だか知らねえがまさかうちで一番危険な魔神級エネミーの前に躍り出るとはな。


 真っ白に染まった山で迎える新年は最高だぜ。


「閣下、さすがに新年はお休みですよね?」

「口惜しいがお前にばかり構っていると書類が溜まるのでな」

「ウェーバーさん半ギレでしたもんね」

「うむ……」


 ご来光ピクニックの前に立ち寄った本部で副官のウェーバーさんがキレていた。目蓋をピクピクさせながら怒りを押し殺そうとしても隠しきれない怒りが言の葉にのぼりまくっていた。閣下、無断欠勤はいけませんよ。


 豪雪地帯の雪山で貯水タンクから水をザバァとかぶっている騎士団長が言う。


「しかしお前は強くなったのであろうか……?」

「なったと思いますけど」


 閣下がじぃっとこっち見てる。俺氏ダブルバイセップスで筋肉をアピール。


「わからん」

「俺もそこまで実感がないんですがあれだけ激戦を潜り抜けてきたのに何も強くなってないとか凹みますよ」

「それもそうか」


 なんだろうか。俺の変化なんていう微々たるものはガーランドアイをもってしても計れないのだろうか。

 ちょっとした丘くらいのでかさの怪物をワンパンで倒す人と比べられても、それはそうだなとしか思えない。ラスダンを余裕で飛び回るとかもうこの人がドルジアの聖女をやったらいいと思うんスけど……

 という理由で新年は帝都で過ごした。


 バートランド邸でゴロゴロだ。さすがの帝国騎士団も新年は訓練をやらないらしい。……ちげーよ、鬼の団長が書類地獄で泡噴いてるだけだよ。普段は書類仕事をしながら走ってる人が訓練の監視に出てこない書類ってなんだ? 帝国最強の座が経理書類になっちまうぞ。

 今は書庫で聖典を読んでいるところだ。


「あー、平和だー……」

「ねえ特訓はいいの?」

「戦士にも時には休息が必要だと思うんですよ」

「それっぽいことを言うわねー」


 いやいや、瘴気の谷の緊張感はんぱなかったから。

 普段は近寄りもしなかったけど内部は本物の地獄だったから。普段はボス戦で戦うレベルのモンスターがうようよしてるゾーンで負った心の傷、別名五月病は休息だけが癒してくれるのだ。


「そーいえば瘴気の谷ってどんな場所だったの?」

「綺麗な場所でしたよ」


 って言った瞬間にお嬢様の目がキラキラし始めた。あー、ダメですダメですお嬢様、瘴気の谷には閣下と行ってください。デブも連れてっていいですから。


「そうなんだ! ねえ、詳しく教えてちょうだいな」


「瘴気の谷は別名を凍りついた海と言います。海が丸ごと凍って天然洞穴になっているんですね。全体が氷でできた超巨大洞窟を想像してください、そこに光が差し込むと洞窟全体がキラキラ輝くんです」

「すごいわ!」


「蟻の巣の構造ってわかります? あんな感じで経路が無軌道に広がっているんですけどどの経路もだいたい大きいんですよね。帝都の聖オルディナ大通りくらいの幅と高さがあるので巨人の住処に迷い込んだ気分になります」

「そうなのね!」


 あぁこれはもう完全に行きたくなっておられる。

 チートアイテム持ちのリリウスくんでも死にかけるような場所に行きたいなんて言われても困るof困る。よし、行きたい気持ちを削ごう。


「経路がものすごく大きいんです。これ、なんでか分かります?」


 お嬢様が素直に首を横に振る。可愛すぎてきゅん死しかけたわ。


「これね、瘴気の谷を通る怪物のサイズなんです。竜のような超巨大生物や悪しき精霊がうようよしていて、そいつらの体が洞窟を削っていって経路があの大きさになったんですよ」

「やっぱり瘴気の谷って怖いところなのね。戦ったのよね、どんなのがいた?」

「有名所だとやはり雷精獣でしょうね。落雷の速度で襲ってくる悪しき精霊です、こいつが滅茶苦茶強いんですよ」


 なおガーランド閣下は瞬殺していた。どうも戦い慣れているらしく、攻略法のようなものを解説する余裕さえあった。もうあの人がドルジアの聖女やれよ。ラスダン余裕とかラスボス倒せるだろあの人。


「他にも宙を泳ぐ巨大魚とかデーモンのような見た目をした四足獣とかどいつもこいつも強かったですね」

「倒せたの?」

「これを見てください」


 取り出したのは俺の聖銀のナイフだ。ボロボロだ。特に切っ先なんて完全に欠けている。


「聖銀武器でも肉まで届かないんです。無理です、倒せなかったです」

「じゃああなたは何をしていたの?」

「主に応援ですね」


 二人しかいないのに一人が予備パーティーに入って戦闘領域の外から見守ってただけです。無理です。本当に無理です。

 そんな場所で三日も過ごした俺をいたわってください。


「それとこれが一番の問題ですが寒いです」

「寒いのなんて当然でしょ?」


 ここでデブが口を挟む。


「……マクローエン育ちのリリウスくんの寒いは甘く見ない方がいいと思う。それって僕らじゃ死ぬような寒さってことでしょ?」

「おう、俺だって閣下のリジェネーション・ヒーリングがなかったら小一時間と経たずに死んでいたと思うぜ」


 気温計なんて持っていかなかったからわからんがあそこは真冬のマクローエンより寒かった。ゴーグルをしてないと目玉が凍るとかそういう類の寒さがマクローエンの冬なら、あそこは呼吸をするとむせる寒さだ。ほんの数分で吐血した時は本気でビビったぜ。


「あそこに行くには様々な準備が必要です。癒しの高等魔法リジェネーション・ヒーリングを片時も絶やすことなく使い続ける魔法力とか縄張りに潜む凶悪な魔神級モンスターを倒せる実力とか、雷速で追ってくる怪物から奇襲を受けてもどんな瞬間であっても対応できる能力とか色々です。それらを一つも欠けることなく揃えてようやく浅い部分を散歩できる場所なのです」

「怖いところなのね。でもわたくし行きたいわ」


 ちくしょうッ、心が強い!

 説得は閣下に丸投げしよう。でも二人ともその気になって瘴気の谷再訪なんてことになりそうな可能性もあるから怖い。その時は全力でお守りせねば。


「じゃあこの案件は閣下行きということで」

「じゃあ協力して説得してね」

「はい!」


 お嬢様、イイ返事をする手下一号はすでに裏切ってますぜ。

 でも御身の安全のためだから許してくれますよね。


 いいわ(裏声)


 よかった……! 俺の心の中のお嬢様もご快諾なされた。



◇◇◇◇◇◇ 



 なんか様々なことがあって三月。厳冬をどうにかこうにか乗り越えた俺達は春の訪れを降雪量で感じながら町をぶらぶら歩いてる。

 せっかく晴れの日なのでお散歩だ……といいんだがな、いつも騎士団本部に出頭だ。名目は訓練参加。瘴気の谷というニンジンを鼻先にぶら下げられたお嬢様の訓練意欲には我々手下一号二号も困ってるんだぜ☆


 旧市街の南門付近まで来たら見知った顔を見つけた。ギータラを背負った旅装の男がキャラバンの馬車に乗り込むところだ。


 この季節の帝都からは隊商キャラバンが出る。冬の間に失われた物資を求めて余所の町に買い出しに行くのだ。これは帝都商業組合からの要請で組まれたキャラバンなのでかなり扱いがいい。

 まず街道の除雪に関しては帝国騎士団が行う。護衛にも騎士団が付く。費用負担もなし。……まぁ騎士階級に無礼を働いたら無礼討ちは間違いないのだし、道中の緊張感は半端ないと思うけどね。

 俺も平民の身分で騎士と同行するなんて冗談でもごめんだわ。マジで意識差がえぐいから失礼な口を利いたら次の瞬間にはボコされてるぜ。反撃なんてしようものならリンチからの家族まで処刑台送りよ。マクローエンの緩さで物を考えたらいけねえよ。

 いやぁ我が地元は何事も大らかでしたね。俺への弾圧だけが異常に厳しいだけで←義母のせい。


 そんなキャラバンの馬車に乗り込んだ男が俺に気づいた。ムジークだ。


「よお、まさか隊商付きの依頼か?」

「まさかってどういう意味だよ!」


 だってそういう慰安の仕事って腕のいい吟遊詩人にやってくるものだし。

 役人が半グレバンドマンなんか指名するわけないじゃん。


「詳細な説明をするとあんたが凹みそうだが必要か?」

「あぁくそ! いいよ、言われなくてもまだまだってのはわかってるよ」


 下手な自覚はあったらしい。まぁ追い詰められてたしな。俺の詩を作り始めてからは活き活きしてたけどね。


「巡礼の旅だよ巡礼の旅。……お前のおかげで随分と儲かったからな、こいつでいっちょ念願の巡礼の旅に出ようと思ってな」

「おおー」


 素直に驚いた。あれは本気だったのか。

 自由と歌を愛するヘルメス神のおひざ元への巡礼の旅。世の吟遊詩人の憧れであると聞いたことがある。


「ヘルメス神殿ってどこにあるんだ?」

「自由都市国家だ」


 どこだろう?


「知らん。遠いの?」

「あー、めちゃくちゃ遠いぜ。まず帝都を出て南にひたすら進むんだ」


 地図もねえんで話だけ聞いてみる。


 皇室直轄領である帝都を出て幾つかの貴族領を通ってはセルジリア伯爵領に入り、南端の港町ボークスから船に乗って東のワイトス子爵領に往く。そこからは大陸海橋リントブルムを通っての海峡越え。ELS諸王国同盟の勢力圏に入る。

 そこから大小様々な国を通っていってようやく見えてくるのが自由都市国家らしい。ふわっとした説明なのはムジーク自身も人から聞いた話のせいだ。


「歌で日銭を稼ぎながらの旅だからかなり掛かると思う。五年とか六年とかそういう旅だ」

「え?」


 あのあの、五年とか六年経ったら春のマリア本編が始まっちゃうよ。それは不味いよ?

 ムジークがいなくなったら誰が聖女さまと盗賊ギルドの橋渡しをするの! まさかの俺!?


「いや、ムジークあんたには帝都でまだやることが……」

「巡礼の旅の間に腕をあげて立派な吟遊詩人になって帰ってくるからよ、帰ってきたら一番に歌を聞いてくれよな!」


 ものすごいキラキラした眼差しで言われちまった。

 こんなん旅は止めろとか言えない奴やん。


「じゃあな! 約束だぞ!」


 キャラバンの馬車から手を振るムジークに手を振り返す俺はどんな顔をしているだろう?

 きっと己の犯した失策への苦笑いだろうぜ。


「気持ちのいい方ね」


 お嬢様がそんなふうに締めくくった。しかし俺と、俺から事情を聴いているデブの表情は果てしなく微妙。


「僕お嬢様の人を見る目のなさに恐怖を禁じ得ないんだけど?」

「え?」


「彼、盗賊ギルドのメンバーですよ」

「えええええぇぇぇえ!?」


 マジで驚いてるロリの悲鳴が早春の帝都に轟いた。

 あぁマジでいい天気なのにお嬢様の未来だけに暗雲が立ち込めてるぜ。致命的に男を見る目がないんだよなあ……

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