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EXクエスト ユイ・ファザンゼール・アルテナ(前編)

 九月六日。グランナイツが王都への帰還を果たしてからようやく三日が経った。


 この三日間は休息の日々だ。神殿に入院したバトラの見舞いに初日こそ顔を出したものの、それから二日は自宅でのんびり過ごした。


 何度か倒れるまで魔力回路を酷使したせいもあり、神殿では入院を勧められたが断った。バトラではないが自分の体は自分が一番よくわかっている。小神殿で癒しの術法を実地訓練している下級神官よりも高位の位階を持つユイだからこそ、高い治療費を払って入院するよりも心安らぐ自分の家でのんびり静養している。


 魔法行使の前段階として魔導師は大気中のトロンを呼気吸収して体内の魔力器官でマナへと変換する。トロンのままでは魔法に加工できないからだ。


 魔法を使い過ぎれば当然魔力器官に負担がかかる。最悪器官そのものが壊死する。この軽度症状をマナヴィーク過渡症という。この症状は外見的には疲労にしか見えないため、軽傷と侮られやすい。しかし悪化は急激にくる。それまで多少顔色が悪い程度だった症状から一瞬で心停止に陥ることさえある。


 この治療法は会派や独自の魔導理論を有する貴族家によって異なり、迷信的な治療法が横行している。その最たるものが魔力を使わずに一ヵ月ほど安静にしているという性質の悪いものだ。


 魔力をまったく使わないのはダメだ。肉体に魔力が溜まりすぎると結晶化して血管を傷つける石化症候群になるおそれもある。普段魔法を使わない平民なら一生魔力を貯め込んだまま生きても結晶化など起きない。保有する魔力が低いためだ。


 だが日常的に魔法力を行使する魔導師や神官なら身の内に溜まる魔力も膨大だ。それこそ七日も使わねば結晶化が起きるほどに。


 うちは魔導の名家だ! 先祖伝来の英知こそが至宝!なんて言ってる魔導師ほど新しい治療方法に無関心で、不適切な処置を続けて体を壊しているものだ。アルテナ神殿に来る頃には手遅れという人も多い。


 ユイには正しい知識がある。日々更新されていく最新の医療に触れてきた。そんな彼女でさえ高い医療費をケチって自分で治しているのだから人は人を笑えないものだ。


 ユイは魔力を全身に薄く纏わせる形で休息の日々を過ごしている。魔力器官が精製し続ける量の魔力を常に吐き出し続けて結晶化を抑制し、同時に魔力器官の活性化を行っている。


 魔力器官は再生機能を持つ臓器だ。常に少しだけ足りない状態を維持してやれば魔力をジャンジャカ作る活性化状態に入り、同時に臓器自体の損耗も治っていく。つまりマナヴィーク過渡症を治したいなら無理をしない程度に使い続ければいいのだ。


 しかもマナヴィーク過渡症にはよい部分もある。いい感じに古い細胞を剥離できた魔力器官は再生の過程でより強靭により活動的になるため以前よりもたくさんの魔法力を作り出してくれる。命の危険を冒すくらいの価値はあるのだ。


 そんなわけでユイちゃんはゴロゴロしてる。収入面で手は出ないけど見てるだけで楽しいハイブランドのカタログ読んだり、デリバリーのコロッケ食べたり自宅療養を満喫している。


 時々失った仲間の顔を思い出してしんみりしちゃうけど、泣いても誰も帰ってこないのはもうずっと前に思い知った。


(泣いたって何にもならない。クラウの分まで生きるんだ!)


 って決意を新たにしたユイちゃんがベッドに寝転がったまま、テーブルに積んだコロッケの山に手を伸ばすと……

 スカった。


 手が空を切った。おかしいな?


 近所の喫茶店からデリバリーしてもらった出来立てほやほやのコロッケはまだ十枚は残っていたはずだ。

 テーブルの方を見ると……


 不審者がコロッケ食べてる。パクついてる。一心不乱だ。べったべたになった手を舐めながら仏頂面で食べまくってる。


(誰ですかッ!?)


 蜂蜜色の肌をした男だ。顔立ちは神々しいまでに美しいのに目つきが尋常じゃなく悪い。加えて女性の部屋なのに腰巻きと編みあげのサンダルだけだ。完全に変質者だ。


 ユイちゃんが反射的に武器を探す……変質者の組むあぐらの上に置かれていた。終わった。


 この状況を唯一なんとかできるモーニングスターを奪われたユイちゃんがビクビクしてると、とうとうコロッケの最後の一枚を食べ終えた変質者が立ち上がった。


「ハハハハ! やるじゃないか、おめでとう! 今日という善き日にルネッサンスだ!」


 ルネッサンスが何かはよくわからないがワイングラスで乾杯させられた。てゆーかユイちゃんの手にはいつの間にかワイングラスがあった。怪しい赤い液体付きだ。変質者はへいきで飲んでるのでたぶんワインか何かだと思うけど……

 飲めない……


 いや飲む方がおかしい。この状況で平気で飲んじゃう子は女子力足りてない。何が入ってるかわからない怪しい飲み物なんて絶対にいやだ。


「どうした飲まないのか? ロスチャイルドの78年物だぞ。余は毎年こいつを樽で仕入れているがこいつはいい出来だ。角が取れて丸みを帯びてきた頃の葡萄酒にはたまに驚くほどうまいものがある。これがまさにそうだ」


 ロスチャイルドが何かわからないけどおいしいって言われると飲みたくなるのが人の性。ユイちゃんは迷いながら……テーブルにワインを置いた。欲望に打ち勝ったのだ。


 そして変質者をキッと睨みつける。


「あなたは誰ですか!」

「神だ」

「絶対嘘です! 神様が腰巻き一枚のはずありません。それは変態です!」


 王都の神殿街に並んでいる彫像のほとんどがトーガふうの布一枚の衣装で彫り込まれている事実は無視した。だって神様のはずないし!


 でも何でか自称神は陽気に笑いながらユイちゃんの肩を抱き始めた。一瞬で思い知らされるほどの歴然たるちからの差だ。逆らうとまずいのだけはたしかだ。……ユイちゃんがちっちゃな声になる。


「……神様が何の御用なんですかぁ?」

「お前の日頃の信仰心が報われたのだ。信仰ポイントが貯まったので特別な品を持ってきてやったぞ!」

「ポイント制だったんですか!?」

「スタンプの方がよかったならそっちもやるぞ。ほれ」


 謎の金属でできてる一枚板を渡されちゃった。

 本当に謎の金属だ。ゴールドでもオリハルコンでもない黄金のカードには自称神の似顔絵スタンプが一回分おされている。……30回貯まるとゴールって書いてある。


「本当にどうでもいいんですけど気になったので聞きますね。これどこに持っていくと押してもらえるんですか?」

「我が神殿だ」

「どこにあるんですかぁ?」

「カイロだ。クロノスタワー83階まで来れば押してやろう。励めよ」

(カイロはどこでタワーもどこなんだろ……?)


 ユイちゃんはもうまともな対応を諦めた。狂人の相手は疲れるし、たぶん何の意味もない。神様名乗る奴はだいたい頭がおかしいから仕方ない。


 陽気な自称神がバンバン背中を叩いてくる。お気に入りのパジャマにコロッケの油がベタベタ付着してるので最悪の気分だ。このうえ強姦までされたら絶対に泣く。なだめて穏便に帰ってもらおう。


「じゃあ明日にでも神殿に行きますのでお帰りください」

「では信仰定期預金満期の特典をやろう」

(会話が成立してない!?)


 なんか豪華なカタログ貰ってしまった。

 カラー印刷(この世界にはまだ存在していない)の美麗な写真付きカタログをめくっていく。


 特典ナンバー1 五大国一周ワールドツアー365日の旅(同行者一名まで)

 特典ナンバー2 運命の武器

 特典ナンバー3 賢者の石&錬金素材お徳用パック

 特典ナンバー4 あなただけにこっそり教えるリザレクションの術式

 特典ナンバー5 気になる異性と交際できる権利

 特典ナンバー……


 これはひどい! 本当なら幻のアイテムばかりだけどとってもウサンクサイ。ペール市の様子を見に行ったまま帰ってこなかったルピンさんくらいウサンクサイ!


「これ気になる異性ってリリウスの写真なんですけど……」

「イメージモデルだ。気にするな」


 つまり誰でもいいらしい。ウサンクサイ。


 でも何となく見えてきた気がする。この自称神はリリウスの知り合いにちがいない。こういう手のこんだ悪戯をしそうなのは彼くらいだ。裏にカトリーもいるかもしれない。


(ううん、絶対いる。透明化してそこらで見てるんだ)


 驚きの飛躍でリリウスの好感度がググっと下がった。

 どうせなら困りそうなプレゼント選ぼうと思ってパラパラめくっていく……


 特典ナンバー28 選んだお友達を超パワーアップ

 特典ナンバー29 ユイちゃんを超パワーアップ


「このパワーアップって何ですかぁ?」

「うむ、中々いいものに目をつけたな。なんとレベルは60越え」

「ウサンクサイ」


 レベル60は盛りすぎだ。高価なグロウポーションを山ほど用意して何ヵ月も何年もかけてようやく到達できる領域だ。レベル60というのは国家の英雄や騎士団長がお金のちからモリモリでようやく到達できるすごいレベルなんだ。


「パラメータは平均4000!」

「パラメータってなんですか……?」


 パラメータはアシェラ信徒が秘匿する能力値を数値化したものなので一般的には知られていない。鑑定師以外ではアルステルムの鑑定師を召し抱えている貴族家の当主くらいのものだろう。


「ハハハハ、各種戦闘技能も付けてやるぞ。おまけに得意のブライトランスをハイグレード進化させて邪悪な魔法に改良してやろう」

「やめて! わたし光の側でいたいんです!」


「だが貴様の適性は本来混沌の側だぞ」

「真顔でとんでもないこと言わないでください。失礼案件ですか!?」


 怒ってるのに何も気にしてくれない。自称神は図太いぞ。

 めっちゃ気軽にベタベタしてくるし腰に手を回して尻肉掴んでくるしセクハラされ放題だ。しかも抗えない。


「敬虔な信徒ユイにエクストラクエストの発行を許可する! さあギルドへ行ってこい」


 背中を突き飛ばされる。

 その瞬間ユイは自宅から王都の街中に放り出されてしまった。……お昼だったはずだ。


 さっきまで昼間だったはずなのに辺りは真っ暗。ここは冒険者ギルド付近の四辻なのだろうが……


「いつの間にこんな時間に……?」


 夜中になっている。通りには誰もいない。人の気配がない。

 普段なら灯る街明かりが一つもない。真っ暗だ。どこの建物からも人の気配がしない。……代わりに不浄の気配がする。


 姿は見えない。だがアンデッドのような薄気味悪い気配だけがあちこちからする。まるでローゼンパームという古い遺跡に入り込んでしまったような気分だ。


 やっぱりあの変なのにかかわってはいけなかったんだ。そう後悔しながらも強制されたからどの道避けようがなかったと思い直して、ギルドの戸を押し開く。


 ギルド内にはやはり誰もいな……い、というわけではなかった。


 受付嬢のカウンターに神秘的な雰囲気の女性がいる。占いに使うタロットカードのようなものを広げ、眼はこの世ならざるどこかを見ているような不思議な色合いをしている。


「ようこそジプシー、裏ローゼンパームへようこそ彷徨える子羊さん」


 裏……?


「えっと、あなたはどなたですか?」

「あなたはとても運の良い子羊さん。運命を示して差し上げましょう」

(この人もひとの話聞かない人だ!)


 フリーダムな奴しかいない! 自称神もフリーダムだったしこいつもフリーダムだし隠れて笑ってるはずのリリウスも超フリーダムだ。パワーアップはもういらないから家に帰して!?


 ユイは何か始まる前からいやになっているのに、占い師の女性はそういう気持ちも汲んでくれない。タロットカードを器用な手つきで混ぜてて超フリーダム。


「今宵あなたに示される運命はこれね」


 占い師が一枚のタロットカードを掲げる。

 そこにはこう書いてある。


『エクストラクエスト 聖淫婦を倒せ』


(わあ、絵札かと思ったら小道具だった。これもしかしてだいぶ前から入念に仕込まれていたんじゃ……)


 この瞬間驚きの心理効果でリリウスの好感度が急降下した。


 占い師の女性も悪戯っぽく笑っているので絶対どっきりだ。ユイはもう確信してる。でもそれは不思議空間に巻き込まれた恐怖を紛らわせるための、こうだったらいいのに願望かもしれない。


 これがリリウスの悪戯なら最悪の事態にはならないからだ。


「時の大神はたしかに恐ろしい邪神だけれど今回に限っては善意と視ていいわ。うまく切り抜ければ望みの物を得られるでしょう。がんばってね、あなたにアシェラの加護を」


 女の姿が消えていく。炎が消えるみたいにゆらりと揺れて光の粒に溶けていった。

 何だかわからないけど相当な厄介事に巻き込まれたのだけはわかった。


(うまく切り抜ければってわたし、どーしたらいいの?)


 何か手がかりはないかとギルドを見渡すと一枚のクエストシートを見つけた。普段なら三面の壁にびっしり張られているクエストシートが一枚だけ。たぶんこれだろうと思ってシートを取ると、現れた壁に神殿街へ行けと書かれている。


 王都ローゼンパームの南側は富裕層の町。38神を奉る神殿が立ち並ぶ神殿街もこの南側にある。

 左右に並んだ壮麗な神殿からも誰の気配もしない。

 最も奥にある太陽神ストラを奉る巨大宮殿でさえこの不浄の夜の中では邪悪の神殿に見える。


 ユイは何ともなしに神殿街の端っこにある敷地へと向かった。特に意味はない。これまでずっと避けてきた場所だ。普通なら二度と足を踏み入れたくない。


 でもなぜか来てしまった。孤児院にだ。


 神殿街には大きな孤児院がある。七つの棟と林付きの庭を敷地とするローゼンフィールド孤児院。38神殿共同出資で経営される、両親から見捨てられた子を救済する慈愛の孤児院……


 まさかだ。孤児院は慈善事業ではない。ここは神殿の出資を受けているというだけの奴隷調教所だった。ユイだって高い魔法力を見込まれてアルテナ神殿から身請けされなければどうなっていたか……


 ここでは修道女がルールで子供は奴隷。逆らえない子供たちをいたぶることに慣れた大人たちの増長がさらなる暴力の連鎖を生む場所だった。修道女たちの小遣い稼ぎのためにどれだけの孤児が一日契約の犠牲になったか……


 恐ろしい場所。もう二度とここには戻りたくなかった。


 開きそうな記憶の蓋を懸命に押さえつけて、震える足を叩いて孤児院に入る。誰もいない。記憶の中の孤児院よりかなりボロくなっている。


 管理者棟。子供部屋。厨房。礼拝堂。何の宛てもなく何かを探し続ける。でも何も見つからない。

 再び戻ってきた芝生の庭で、どうしたものかと悩む。


(意味があるようで意味がないのかもしれない。時の大神…だっけ? そんな神様聞いたこともないけど、あの占い師さんの言葉が本当なら従属神なんかじゃない本物の神王クラス。そんな存在にわたしが抗えるはずがない。苦しむさまを楽しんでるだけって可能性のほうが高いはず……)


 一つだけわかっている。あれは善なる存在ではない。混沌の勢力に属する邪悪な存在だ。ユイごとき術者ではちからの総量どころか気配さえも感じ取れないのに、本能があれを恐れている。


 あれに染められたらもう光の勢力には戻れない。最悪光の恩寵のすべてを失い、魔族に落ちるかもしれない……


(あれ、わたし詰んでる!?)


 どううまく切り抜けても魔の眷族に落ちそうで、とっても不安なユイちゃんなのだった。


 とりあえず今は生き延びる手立てを考えよう。前向きに持ち直したところで、はたと気づいた。

 ブランコの音が聴こえる。


 ぎしぎしと細いロープの軋む音につられて林の中へ入る。


 林の中にはブランコがある。孤児院にある唯一の遊具で、何度も壊れたのを年長の孤児たちが補修して大切に使っていた物だ。


 夜の深すぎる林の奥で、法衣を纏った聖女が独りブランコを漕いでいる。


「あなたは?」


 寂しそうなその姿に声をかけると―――

 ものすごい速さで顔をあげた。両目に狂ったような鬼火を灯した聖女が走り出した―――


「体、体、体ッ! わたしの体ァ―――!」


 聖女の姿をした狂人が迫りくる。ユイには何もできない。早すぎるのだ。目視さえもできない。

 聖女の伸ばした手がユイの胸にたどり着き、一瞬で心臓を抜き取ってしまった。


 肉体を貫く衝撃と不愉快な感覚。地面に倒れることさえ許されずに聖女に頬ずりをされるユイは風に弄ばれるこの葉みたいに何もできない。


 地面に叩きつけられても。馬乗りになって首を締められても。ユイにできるのは浅い呼吸を繰り返すことだけだった。


「アハハハハッ、今度こそ大切に使ってあげますよ。擦り切れても何度でも何度でも大切に使ってあげますからね! ……だからあなたは邪魔、消えてください」


 聖女がユイの華奢な体に馬乗りになって、右手で白磁ののどを締めつける。


 喘鳴のように浅い息をするユイが、右手で聖女の腕を押しのけようとする。でも力がはいらない。涙が出てきた。たくさん出てくる涙が溢れて止まらない。


 悪鬼の如き聖女がみかんを潰すように軽々と、






 グシャリ


 ユイの首を握り潰した。


 ユイは最後に、本当に最後になって彼の顔を思い出す。陽気なくせに皮肉屋で、でも本当は傷つきやすくて繊細な彼が、時折見せる泣き出しそうな顔が浮かんできた。


(わたしが死んだら泣いてくれるかな……)


 見栄を張った。遠慮もした。プライドだってあったかもしれない。だから後悔する。……いつだって彼を想っていた。


(あなたの泣き顔は本当に悲しそうだから見たくない……そう思ってた。わたしが死んだら泣いてくれる? あなたは本当に心を隠すのがうまいからわからないな。リリウス…こんなわたしでも欲しいって言ってくれたあなたが……)


 視界に赤黒い点がポツポツと降る雨みたいに広がっていく。じんわりと消えていく彼の泣き顔に……


「泣かないで」


 すぅと緩やかにまなこを閉じて、小さく息を吐くように、ユイは絶命した。

 雨が降ってきた。天の慟哭みたいな雨がユイの体を打ち、聖女は天を憎むように哄笑する。

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