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番外編④ 盗賊ギルドの音楽家 其の三

 昨夜、謎の実力者ムーブをかまして別れた男と昼間に再会してしまった。しかもお嬢様を背中に乗せてお馬さんになってる時にだ。なぜ今なのだ……


 え、お前そんな奴だっけ?っていう視線が痛かった。

 え、どうしてそんな扱いに甘んじているんだ?っていう視線が辛かった。


 そして俺はいま路肩でムジークから慰められている。なぜか果実水をおごってもらっている。


「昼間は堅気ってのは本当だったんだな。その、あれを堅気の仕事かと言われたらどうかとは思うが……」

「勘違いをしないでくれ。俺は好きでお馬さんの身に甘んじているんだ……」


 ロリお嬢様を背中に乗せてお馬さんの事情だと? 俺が好きこのんでお馬さんになって観光案内してもらっているに決まっているだろうが! 他に理由などあるか!

 すべては俺の浅ましい欲望によるものよ。極上の二次元美少女級にお尻を乗せてもらってお尻を叩いてもらうなど東京なら90分2桁万円確実のプレイよ。


「俺はさ、好きな女の子のちょっとサディスティック入ってる時の顔に興奮するんだ」

「そいつはそいつで業の深い話になるが……まぁ理解はしたよ」


 そして訪れる沈黙である。

 昨夜神出鬼没の謎の実力者ムーブかましてた奴がロリのお馬さんだ。しかもどうしたんだ、大丈夫なのか、理由があるなら聞かせてくれと大層心配されたのだ。いかなリリウスくんといえどメンタルブレイクは避けられなかった。


「いま見たものは忘れてくれ」

「俺は未だにさっき見たものを信じられないからそれは問題ない」


 だろうな。そういう顔してたわ。


 お嬢様とデブはいますぐ目の前の仕立て屋に入店して冬物のコートを注文しているところだ。基本的にオーダーメイドだからな、生地を選んだりカタログを見てはデザインを決めたりデザイナーと相談したりで時間がかかる用事だ。これが普通に三時間はかかる。


 だから俺達は路上にヤンキー座りをしておしゃべりしてるってわけだ。俺にはコートなんて要らないしな。

 まぁ昼間にこうして話している分にはムジークは悪い男ではないよ。経済的困窮から半グレに両足を突っ込んでしまっただけの一般人だ。あれ、これはもうパンピーではない?


「なあ、あんたの歌を作ったんだ、聞いてくれよ!」

「なんで俺の歌?」


 なんかおかしなこと言い出したぞ?


「あんたの振る舞いにビビっときたんだ。詩人の魂が震えたんだ、こんなことは初めてだったんだ!」

「そ…そっすか」


 すごい勢いだ。土下座ナンパシリーズを思わせる迫真くんだ。


 まぁ暇つぶしがてらに聞いてやることにする。場所を表通りから路地裏に変えて、木箱を椅子にして吟遊詩人ムジークのワンマンライブだ。

 ムジークが景気よくギターラを鳴らし始める。別にギターの腕前は悪くないと思う。むしろ達者だ。


「ここに伝説を謳う! ストラの照らす昼の世界では生きられない、冷たいイリスの月夜を歩く少年の足跡を!」


 ムジークが歌い始めた。ちょっと特徴的な鼻声で歌う奴だがジャイアンのような不快さはないよ。まぁ歌に合わせて身をくねくねよじるのはやめた方がいいと思う。それとねっとりと歌いすぎる癖があるようだがさらっと流すべきところは流すようにしたらいいと思う。


 ムジークの歌に合わせるように風切り音。バク宙による回避行動を取ると―――三階建ての商店の屋根から不審者どもが降ってきた。


 六つ斬撃が石畳を叩く。強烈な金属音が鳴り響き、ムジークの演奏も止まる。え、何事?って顔してるのでこいつは無関係らしい。

 六人の不審者どもがすぐさま俺を包囲する陣形を作る。口元をマスクで隠した連中はまぁ強そうではある。


「なんだあ! おい、てめえら、いったい何者だ!」


 ムジークが騒いでいる。不審者の内一人がムジークの始末に動いたのでその後頭部にダートを投げ込む。回避されたがリリウススライディングで両足を刈ってやり、こけたところに金玉キック!

 路地裏に汚い悲鳴が鳴り響く。


「お…おい、こいつらはなんなんだ?」

「試験ってやつだろ」


 盗賊ギルドに入るにはテストがある。もちろん筆記試験じゃない、ギルドにどれだけの貢献ができるのかを把握するための実技テストだ。ゲームでも聖女さまが受けてたわ。身辺のクリーンさの話として本当にあの聖女さまは大丈夫なんだろうか?


 五人に減った不審者どもが間合いを詰めてくる。俺としてもテストには大張り切りだ。テストでイイ点を取れば首領にも早く会えるかもしれないからなあ!


「さあ教えてやろう、俺という男の恐ろしさと有用性をなあ」


 薄ら暗い路地裏に一本のスプーンがキラリと輝いた。



◇◇◇◇◇◇



 路地裏に男たちの汚いうめき声が沈んでいる。


「ぐおおおおおぉぉ……」

「のぉぉぉぉぉぉおおぉぉ……」


 初めての痛みにうめく男たちがこれを機にそっちの気に目覚めないことを祈りながら合掌。開通おめでとう、以後は自ら開発するよーに!


「こっ、殺さないのか!?」


 物騒なことを言う半グレバンドマンだな……

 ケツにスプーンをぶち込まれた上に殺されるとか最悪じゃん。華麗に盗賊ギルドデビューした俺氏でもそこまではしないって。


 ただまぁ盗賊だからな、貰うもんは貰う。


「おら、脱げ! 雑魚ども!」

「……」

「……」

「……」


 どうやらまだ立場を理解していないようなのでケツを蹴って回る。お前からは仄かにイケメン臭がするので顔面シュートじゃ!


「ほら、脱げよ」

「うす……」


 ようやく立場を理解した雑魚どもが衣服を脱いでいく。当然装備品もだ。当たり前ながら財布もだ。

 持ちきれない分はこの場で燃やしてやる。


「あっ……」

「ちょま……」

「も…燃やすくらいなら……」


 再びスプーンを掲げると生唾を呑んだ雑魚どもが反対意見を引っ込めた。


「いえ、何でもないです……」

「よろしい。では諸君らにはこの世の摂理を教えてあげたいと思う。オール・オア・ナッシング、勝者はすべてを手にし、敗者はすべてを失うのだ。ハハハハ! それでは諸君さらだばー!」


 華麗に立ち去る。さあ憧れるがいい背中で語る系盗賊の雄姿に!


 雑魚どもの装備品、主に武器の類はムジークに持たせた。

 財布は俺の手にある。ひーふーみー……合わせて金貨八枚ほどか。かなりいい収入になったな!


 表通りに戻ると真昼の社会的な街並みが広がる。まさかここの先に全裸の男達が涙目になってる空間があるとは市民様も想像もしていないだろうぜ。


「ムジーク、そいつはてめえの取り分だ」

「いいのか? けっこうなカネになりそうだが」

「いいよ、どうせ買い叩かれるのは見えてるしな。なっても銀貨五十枚ってところだろ」

「けっこうな額じゃねえか」

「言ったろ?」


 何がって顔をしているさほどヘボでもなかったヘボ詩人に最高のどや顔をくれてやるぜ。


「俺についときゃ美味しい目を見せてやるってよ」

「あ…あぁ、ありゃあマジだったのか」

「じゃあな」


 華麗なるリリウスがぽっけに両手を突っ込んだまま華麗に去る。ぐだぐだ言わずにさっと立ち去るのは格好いいからだ。


「か…かっけえ……!」


 小声で聞こえてきたムジークのつぶやきが俺を気持ちよくさせる。


 しかし一つだけ問題があり、それは今ムジークが突っ立っている仕立て屋にお嬢様とデブがいる件だ。つまり後でこっそり戻ってこなきゃいけないわけだ。


 ダンディズムって難しいじゃんよ。世のダンディ達の苦労がしのばれるぜ。



◇◇◇◇◇◇



 盗賊ギルド加盟から二ヵ月ほど経ったある日、俺はファラと安息日デートをしていた。まぁ評判の喫茶店でお茶をする程度のデートだ。

 そこでは軽く近況報告という名の最近あった話が話題になっている。


「最近よく襲われるんだよね」


 最近よく襲われる。盗賊ギルドのみなさんはどれだけ俺のことを知りたいのか知らんが日に日に不審者の品質がアップしていってる。もちろん不審度ではなく戦闘能力の話だ。


 対するファラは半眼。


「へー」


 俺が襲われていることに対してもっと興味もって!


「心当たりは?」

「さっぱりさ」


「……ほんとぉ?」

「めっちゃ嘘」


 アイテム回収を続けているからな。デス教団のお宅訪問も定期的にやってるしそこで手に入れた盗品もじゃんじゃか盗賊ギルドに流してる。さらには大司祭クラッススの夕飯も勝手にいただいてる。あいつイイもん食ってんだよね。


 他にも定期的に補充される悪徳商人の家にある財布から中身を抜いたりしてる。こっちは騎士団からの依頼だ。禁止薬物取引の証拠が欲しいってんで仕方なく入らせていただいた。二回目以降かい? 知らん知らん。


「ほらー、嘘じゃない。何やってるわけ?」

「正義正義、めっちゃ正義の側だって」

「それならいいんだけどぉ~~……やっぱりあんまり無茶しないでほしい」

「無茶はしてないって」


 これは本当だ。雑魚どもと遊んでやってるだけで危険は感じない。

 普段俺が誰と訓練してると思ってんだよって感じだ。帝国騎士団だぞ。


「雑魚どもを撃退するとさ、不思議とおかねが増えるんだなあ」

「正義ってなんだっけ?」

「正当防衛のことだね」


 あまりの言いざまに二人して笑い出してしまった。

 まぁじゅうぶんに正義の範疇だと思うがね。なにしろ法の執行者である騎士団サイドにいる。個人としての正義よりも国家としての正義の側だ。


 涙目になってるファラは安心したようだ。デート中の軽い話題だって思い出してくれたらしい。


「あぁおかしい。それならいいわ、どうせ心配するだけ無駄なんでしょ?」

「ご理解いただけでなによりだよ」


 恋人どうしにはたまにはスリルも必要だ。人間は飽きやすい生き物だ。不安定な時は安定を求めるくせに安定になれると刺激を欲しがる。美しい恋人との関係を続けたい俺にとってはいやはや恐ろしい話だね。


 話は変わり、新年は故郷で過ごすというファラの帰郷スケジュールの話になる。いつ発つのはか事前に聞いていた。今日の午後だ。帝都北東にあるイース侯爵家の牧場から竜騎兵で飛び立つ。

 つまり本日は少しだけ長い休暇の前の逢引ってわけだ。


「いつ頃戻ってくるの?」

「読めないわね。ほら、うちの親族って世界中に散ってるから遅れてくる人もいるの。おじいさまもイルスローゼから帰国するから遅れがちなのよね」


 グローバルファミリーならではの苦労だ。マクローエン家なんて全員帝国内にいるんすけど。


 ファラが時計を気にし始めた頃に喫茶店で別れる。別れる前のハグは長く情熱的だ。


「離したくない」

「未成年者略取誘拐だよ」

「なによ、変な法律作っちゃって」


 児童誘拐罪って帝国にないんだ! 初めて知った!

 まぁ誘拐した子供を他の町で奴隷にして売ってる社会だしあるわけねえわ。しかも官憲に「助けてうちの子が奴隷になってるんだ」って訴えても「ふーん、買い戻せば?」って言われるんだぜ。俺はあん時目が飛び出るほど驚いたよ。


 去りゆくファラの背中を見つめ続けた。彼女は一度も振り返らなかった。……完璧な彼女に一個だけ欠点があるとすればこういうところだと思う。



◇◇◇◇◇◇



 で、今は盗賊ギルドの買い取り窓口のお姉さんに昼間の愚痴を話している。


「マジな話別れる時はスパッと別れるんじゃなくて何回かチラチラ振り返ってほしいわけよ。繊細な男心的に愛を疑ってしまうわけよ、わかる?」


「酔ってるわけ?」

「素面だ」

「余計に性質が悪いねえ。愚痴と見せかけた惚気をここで聞かされたのは初めてよ」


「へえ、こんな話もできないとは程度が知れるねえ」

「この業界は無口な奴が多いのさ。マジで彼女自慢してくる奴なんてあんたくらいだよ」


 盗賊ギルドでオンリーワン。俺すごくね?

 なお窓口にはすでに三人の買い取り待ちが並んでいるが無視してしゃべり続けている。こいつらは何も言ってこない。さすが無口な業界人だ。以前しばいたせいかもしれない。


 やがてイゴールのおっさんがやってきた。このスキンヘッドと見せかけてただのハゲのおっさんは盗賊歴うん十年というベテランらしい。履歴書には書けないが誇ってもいい経歴だ。


「坊主、おまえさんはよく働くな。ここんとこ毎晩きてんじゃねえか?」

「そりゃあおっさんたちと比べて若いからな。どれだけ働いても疲れねえんだよ」

「それ若さが関係してるか?」


 完全に騎士団の高負荷トレーニングのおかげです。


「だが俺も歳をとったよ。最近は眠っても疲れが取れねえんだ」

「そういう時は寝る前にランニングするといいぞ。限界まで疲れると限界まで眠れる、すると目覚めはすっきりだ」

「……俺がやると膝を壊しそうだ、やめとく」


 盗賊歴うん十年の大ベテランの引退は近そうだ。言ってることが完全に退職前のロートルだもんよ。


「ま、坊主は俺の次のエースだから精々頑張ってくれよ」

「任せろ。帝都中のイケメンのケツを開発してきてやる」

「そっちは控えめに頼むぜ。おかげで帝都警邏隊の巡回が厳しくなってんだ」


 順番待ちの盗賊さんたちも一斉に頷く。


「まいったな、俺という英雄の存在が与える影響力が高すぎるぜ。存在自体が罪とか格好よすぎて惚れるなよ」

「男のケツを掘る奴になんか惚れるかよ。あー、坊主の活躍だがな」

「ケツの話か?」

「括約筋の話はしてねえんだよ。坊主の働きを耳にしたギルドマスターがお前に会いたいっつってんだが今から来れるか?」


 おー、今夜は素晴らしい夜になりそうだ。

 帝都盗賊ギルドのギルドマスターが俺を呼んでるってか。じつに素晴らしい。絶対に殺さなきゃいけない男だ。


 ガロード・アレクシス。アレクシス侯爵家の長男にして忌み子として幽閉されて育った邪悪の権化。帝国革命義勇軍を率いる立場にありながら願いは復讐でしかなく、じつの弟である生徒会長クロードを殺す男だ。……まぁ個別ルートに入ったら聖女さまが殺害を防ぐんだが。


 この男はミリオンジェノサイダーの類だ。生かしておくだけで百万人という規模の死者が出る文字通りの殺戮鬼だ。っつーと義憤っぽく聞こえるが割りと私情で殺さなくてはならない。


 この男は聖女さまの前に味方のように現れて助言や指針を示すんだ。イイ奴じゃんって思いながらプレイしているとどんどん「あれ?」「なんで?」っていう疑問が溜まっていき、最後には高笑いをしながら聖女さまをコントロールして状況を操っていたと自白するんだ。向かうところ敵なしの最強の聖女さまを操って帝国に革命をもたらすんだよ。

 まぁなんだ、こいつは春のマリアとかいう乙ゲーのラスボスなんだよ。


「今夜、これからか? メシに行ってからじゃダメか?」

「ギルマスは用心深い男だ。メシなんかに行けば二度と会わないだろうな」


 こっそりガーランド閣下を呼ぶのは無理か。じゃあ単独でやるしかねえな。

 イゴールのおっさんについていく。普段から使っている盗賊ギルドの経路に壁を押すと開く扉なんてものがあると知らなかったし、ましてや階段を下りていくと下水道に着くなんて考えもしなかった。


 ランタンは使わない。盗賊は夜目が利くことが第一とされるからだ。夜歩きにランタンを使うのはパンピーと騎士団だけで、盗賊は闇に紛れてこっそり歩く。


 やがて下水道の通路に人影が見える。背は随分と高い。真っ黒な衣装に真っ黒なコートを頭から被った男が仁王立ちをしている。……アジトで会えるわけねえか。

 用心深いから事前の準備はさせない。用心深いから下水道の通路で会う。まったく用心深いこった。自宅に呼んでくれれば騎士団に包囲させたんだがな。


 イゴールのおっさんが手を振る。


「マスター、こいつだ」

「……」


 ガロードは口を開かなかった。わかりきったことなど口にするまでもないってか。

 真正面から向かい合う。身長差がだいぶある。見上げる顔は口元をマスクで覆い隠しているが……


「お前がキャットか、なるほど、猫のようにすばしっこそうだ」

「お…おう」


 渋みがきいたバリトンボイスだ。男の渋みが効いている。どう考えても四十代とか五十代のおっさんにしか出せない人生の貫禄付きボイスだ。


「優秀な盗賊は歓迎だ。お前は見事試練を乗り越え、ギルドの仲間となった」

「ま…まるでまだ仲間じゃなかったみたいだな…っすね」


 盗賊マスターが高笑いをする。どう聞いても人生の貫禄を感じる。渋い、いぶし銀のおじさん笑いだ。


「そうだ、上のギルドは金儲けが目的の半端者を振るい落とすための網でしかない。真にギルド員と言えるのは俺に認められた者だけだ」


 貫禄がすごい。


「ようこそ真の盗賊ギルドへ、お前の活躍を期待している」


 盗賊マスターが口布を取り去ってニヤリと微笑みかけてきた。

 完全に知らないおじさんです! ありがとうございます!


「……一つ聞いていっすか?」

「うむ、問うがいい」


 ガロード・アレクシスはどこだ? このおっさんは何者だ?って盗賊ギルドマスターに決まってるわな。じゃあガロード・アレクシスはどこにいるの!?


 本編開始までにまだ四年あるんだよちくしょう!


「あー、ギルド員に金髪でほっぺに刺青入れてる若いイケメンはいませんか?」

「ふむ、イケメンとは何だ?」

「イケてるメンズ」

「イケてる……?」


 ここでイゴールのおっさんが耳打ち。


「マスター、男前って意味っすよ」

「若者の言葉は難解だ。頬に刺青か、何人かいるが若くはないな。お前と同じほどか?」

「いえ、三つ年上です」


 あ、自分で言っててわかっちゃったよ。

 ラスボスまだ十五歳だよ。まだ高校一年生の若造だよ。十五歳で盗賊ギルドのマスターになんかなってるわけないよ。絶対に貫禄が足りないもん。


「ふっ、それほどの若さのギルド員などおらぬよ。誇るがいいキャットよ、お前は間違いなく歴代最優秀にして最年少のギルド員だ」

「おつかれっしたー!」


 俺は叫んだ。心の限り叫んだ。

 盗賊ギルドやめます!



◇◇◇◇◇◇



 いやぁあの後めっちゃ引き留められたぜ。貫禄マスターとハゲのおっさんが二人して「お前には才能がある!」とか「昔の仲間を探しているのなら余所のギルドに問い合わせるから脱退は考え直せ!」とか必死に引き留めてきた。

 一応脱退寄りの保留としておいたがなんかね、気が抜けちゃったよ。

 久しぶりに一生懸命がんばってきたからさ、燃え尽き症候群的なサムシングなわけよ。


 盗賊ギルドからの帰り道。俺の足はめっちゃ重たい……


「あー、今までのがんばりは何だったんだ感がやべえ……」


 甲子園目指して頑張ってきたのに県大会優勝からの甲子園は中止って言われた気分だ。秋どころか冬までメンタル戻らなそう。

 なんとも言えない気分で旧市街から新市街までやってきた。大きな市壁で隔てられている新市街の入り口には帝都警邏隊の夜番がいる。もう普通に顔見知りなんで適当に挨拶しとく。


「おつかれっす」

「おう、そっちも……マジで疲れてそうじゃん」

「精神的にねー」


 六人組の夜番の兵隊さんに笑われた。どうせ女にフラレたんだろって言われてるわ。真面目に内偵調査してたのにひどい言われようだぜ。


 まっすぐバートランド邸に帰ろうと思ったが遊びたい気分なのでメインストリートから適当に逸れる。


 降雪の町。ひとけなんてほとんどない裏通りを曲がって曲がってどんどん人の少ない方に向かう。

 左右を家々に挟まれた狭く窮屈な裏通りを進む。やがて前方の階段の上に不審者が立ち塞がる。今宵の不審者はお一人様。剣士タイプのようだ。


 布を巻いて目元以外を隠しているが服装は上等だ。どこかの高級なバーでバーテンをやってるような紳士的なベストとシャツだ。


「遊びたい気分なんだ、付き合ってくれるんだろ?」

「……」


 遊んでくれるようだ。不審者が腰に佩いた二本のサーベルを抜いた。細身のサーベルだ。細剣ほど頼りないわけでもなく、段平のような重厚さはない。だが剣としての機能は十全に備えている、そんな二振りだ。

 装備と構えから見えてくるものもある。軽剣士。フットワークの軽さと鋭い斬撃で圧倒する速度と攻撃を両立する戦闘職種。


「奇遇だねえ、奇しくも同じバトルスタイルだ」

「……」


 不審者が加速する。早いが先手は渡さない。

 軽剣士は先手を取りたがる。武装の携帯性や機動力の保持を重点に置いた装備は裏を返せば防御が手薄。防御を欠いている自覚があるのでなるはやで打倒を試みる。まぁ職業病だ。


 ひらりと宙を舞い、ナイフで頭を叩きにいくが普通にサーベルで受け流されてしまった。返しで迫る斬撃は回避しておく。

 着地と同時に三歩下がっておく。迫る追撃に関しては透明化による位置攪乱で避ける。


 憂さ晴らしのつもりだったが強いな。別格だ。騎士団本部の上位勢と比べても遜色がない。真の盗賊ギルドとやらの精鋭と考えていいのだろう。


 俺の姿を見失い、周囲の様子を窺う姿でさえ付け入る隙が見つからない。手強いな……

 一発で倒しきれなかった場合反撃を貰う可能性がある。


「あほくせ」


 こんなのを相手に命懸けなんて御免だ。お前は永遠に俺を探していろ、俺は逃げさせてもらうぜ。

 さっと背を向けたその時だ。


「逃げるつもりか?」


 中々の挑発イケボが届いた。意外にもけっこうなご高齢だ。


「勝てぬと思えば姿をくらまし逃げるか。つまらん男だ」


 なんとでも言え。そんな安い挑発に引っかかるのは安い男の証なんだよ。


「腰抜けめ。この程度の男に引っかかるようでは女の方も程度が知れたな」

「……口の悪いジジイだ」


 透明化を解くとジジイが笑い出した。若者に構ってもらえて嬉しいかい?

 謝れば許してやる地点は今過ぎたぜ。


「これは驚いた。お前のような臆病者にも吾輩と向き合う胆力があったのだな」

「わざと驚いたふりはしなくていい。俺とやり合いたいのなら悪口なんか叩かずに最初からそう言えばよかったんだ」


 雨が降ってきた。スコールのように強烈な雨だ。

 雨は嫌いだ。濡れるのも、雨の音も大嫌いだ……



◇◇◇ムジークSIDE◇◇◇



 あいつと一緒に出ていったイゴールが戻ってきた。強面のイゴールがどことなく気落ちした様子なのが妙に気になった。


「なあ、あいつに何かあったのか?」

「あん?」


 イゴールが怪しんだ目つきでじろじろ見返してきた。普段はビビって小さくなってる俺が話しかけてきたのがよほどに怪しかったらしい。


「キャットだよ。あんたさっき連れていったじゃねえか」

「そういやあいつの担当だったな。別に悪いようにはしちゃいねえよ、あいつはてめえと違って稼ぎ頭だからな」

「そっ、そうか……」


 焦ったぜ。ギルドマスターに生意気な口を利いてボコされたのかと思ったがそうじゃねえらしい。

 逆にボコり返したって方がしっくりくる。


「じゃああいつはどうしたんです?」


「あいつな、ギルドを抜けるかもしれねえ」

「なんだってそんな話になってるんです!? 稼ぎ頭だってイゴールさんもさっき言ってたじゃないっすか!」


「っち。あいつにも事情があるんだよ」


 事情ってなんだよ。あれだけガンガン稼いでた奴がどうして抜けたがるってんだ。ギルドで嫌なことでもあったってのか? つか抜けるなら先に俺に一声あってもいいじゃねえか……


「イゴールさん、まだあいつに刺客を送ってたりします?」

「何言ってやがる」


 イゴールに凄まれるのは怖いさ。以前までの俺だったらへらへら笑って何もなかったことにしたさ。だが今回ばかりは退けない!


「俺聞いてるんすよ。ギルドがあいつに刺客を送ってるって」

「馬鹿こいてんじゃねえ、そんなまねをしてギルドに何の利益があるってんだ」


 人生には勇気が必要だ。ありきたりなフレーズだが今だけは信じられる。

 勇気がなきゃ何も掴めねえ。腕っぷしが足りなかろうが先の見えてる喧嘩だろうが、立ち向かわない奴に運命のダーナは微笑まないんだ!


「あんたは凄めば俺が退くと考えているんだろうな。正解だ、そいつは間違っちゃいない。だがあいつの事でまでその理屈が通ると思っちゃ困る。俺はあいつの担当だ、あいつに何かするってんならまず俺に話を通すのが筋だろうが!」


 精一杯の勇気をもって凄み返してやる。

 なぜだ! どうしてギルドに集まってる連中が生温かい目つきになってやがる! イゴールの旦那にいたっては目を細めて眩しそうにしてやがる。


「あー、まずな、あいつに刺客なんか送ってねえぞ」

「だがあいつは盗賊ギルドの試験だって……」

「入会試験で刺客を送る盗賊ギルドなんておかしいだろ。ナントカの薔薇じゃねえんだぞ。つかうちは毎回撒かれていたせいであいつのヤサすら把握できてねえんだよ」


「じゃああいつは誰に襲われてたんだよ……」

「別件だろ。派手に動いてる奴だし恨みを買っててもおかしくはねえよ。つーか、あいつはそんなに困ってたのか?」


 困ってはいなかった。襲われる度に楽しそうに強奪した装備品を押し付けにきたからな。あいつにとっては自分から財布を持ってくるおっさん達だ。


「いや、毎回笑いながらカツアゲしてたが……」

「さすがだな。あいつの抜ける理由は別だ、どうも人を探しているらしくてな、うちにいないとわかったから抜けるってよ」


 な…なんだ、そんな事情があったのか。

 盗賊ギルドに入った理由が人探しか。仲間探しか仇討ちか、また詩人の心に響くストーリーを持ってやがるぜ。


 だがなぜだ、なぜこいつらは揃って変な顔をしてやがるんだ?


「しかし驚いたぜ、根性なしのヘボ詩人が俺にくってかかるとはよ」

「キャットのことがそんなに心配だったのぉ~?」

「な…何を言ってやがる……?」


 なんだ、この盗賊ギルドに漂うニヤニヤした空気は?


「俺も感動したぜ」

「愛だな愛」

「男が男に惚れる、悪いことじゃねえぜ」

「あ……」


 そして思い出すのは先ほど口走った数々の言葉たち。

 ラシンダの姉さんが口元を隠しながらにじり寄ってきたがニマニマが隠しきれてねえ!


「あんたのこと見直したよ、キャットのためなら熱くなれるんだね?」

「い…いや、ちがうんだ姉さん、別にそんな理由じゃ……」


「隠さなくたっていいんだ。アタシは応援してるからね!」


 ちくしょう、妙な誤解が生まれている!



◇◇◇◇◇◇



 吐いた息が白く染まるのはまるで俺の命が零れ出しているような気がした。視界が半分赤く染まっている。左腕はすでにない。そのくせジジイ剣士は右手の指三本しか失っていない。……まったく大赤字だ。


 乱れた呼吸を整えるよりも集中力を高める。

 剣士ジジイの全行動を注視し続ける。まばたきの合間も見逃してはならない。死因がまばたきは嫌すぎる。


 剣士ジジイは斬り落とされたばかりの小指と薬指と中指を見ている。こっちと違って余裕があるのが嫌になるな。


「……手強いな。雇いの冒険者ふぜいでは手も足も出ないわけだ」

「ざけやがって……」


 ふざけたジジイの呟きに最低な気分だ。


「てめえのような年寄りにこの様な俺の気持ちも考えろよ。屈辱だよ屈辱……」

「そちらこそ吾輩の気持ちも考えてくれるがよい。お前のような若造に指を落とされるなど屈辱以外の何物でもない」

「そいつはご愁傷様。自己認識と実際の実力の乖離が呼んだ悲しい事実だ」

「自覚はあったよ。最近は現場よりも部屋仕事にかまけていてね、おかげでこの様だ」


 嫌なジジイだ。まったく嫌になる。最低の事実だが俺よりもかなり格上だ。おそらくは騎士団本部の上位クラス並み。プリスのあんちゃんとどっちがやるかってレベルだ。まったく最低だ。勝てるわけがない。


 ジジイが会話に応じる理由は一つ、俺が左腕を失い、随分と血を流した点だ。普通のガキなら泣き言を言い出したり命乞いを始めるタイミングだ。反撃の機なんて考えもしないだろ。


「……なあ、ここは引き分けってことにしないか?」

「ならぬ」

「なあ頼むよ、頭だって下げる、この通りだ」


 そしてジャパニーズ土下座が炸裂する。……と見せかけてのクラウチングスタートだ。


「なあ頼む、見逃してくれ、この通りだ!」


 一直線でつっ走る。風になれ。世界陸上を超えろ! 織田裕二を越えていけ! そして透明化発動!


「ぬっ!」


 ジジイ剣士が俺の速度から算出した地点へとサーベルを薙ぐ。残念ながら俺はその計算よりも少し早いし横を駆け抜ける前にスライディングしているのだ。


 透明化したままジジイの後ろを取った。千載一遇の好機! 悪魔的だあ!


 ずどん! オジキの仇と迫るヤクザのようなバックスタブを肝臓の位置に決める。フロムゲーなら確実に仕留めた手応えだ。


 反撃の機を読んでサッと跳び退る。サーベルを逆手に握り直して放った膝への突きは不発だ。


 ジジイがむせる。吐血してる。勝利の予感がするねえ。透明解除。


「何かを狙っているとは思ったがここにきて一番の冴えを見せるとはな」

「火事場の馬鹿力ってやつだろ。さて、形勢は逆転したが命乞いをしてみるかい?」


 ジジイは迷わなかった。

 何のダメージも負っていないとばかりに背筋を伸ばして立ち、二刀のサーベルを構える。


「形勢は未だ一度として変わっておらぬ。お前の命は最初から今この瞬間まで常に消えかけている」

「そうかい」


 じゃあ精々屈辱に塗れた負け方をしてもらおう。

 いい年こいて歓楽街に全裸で吊るされるとか死よりも辛いだろ。俺なら泣きながら町を出るね。


「あんた立派だよ。でも賢くはないね」


 最後の激突に踏み出す寸前、俺の眼前を巨大な大剣が塞いだ。

 一切の装飾を省いた無骨すぎる大剣には見覚えがある。名無しの大剣。ガーランド・バーランドが愛用する、別名をミスリルの塊とかミスリルの金棒と呼ばれる武器だ。


 見上げるといつになく厳しげな眼差しをする鉄の男の顔があった。


「閣下……?」

「イースは人材不足か? まさか貴兄ほどの男が未だ現場仕事とはな」

「……」


 あれほどに戦意を崩さなかったジジイがじりじりと距離を空け始めた。


「退け! 貴兄とてこの場で死ぬのは本意ではないはずだ!」

「改めて提案する、取引に応じるつもりはないか?」

「ならぬ、この者は俺の預かりだ。俺に剣を捧げた者をくれてやるわけにはいかぬ」


「先の提案の倍の額でもよい」

「ほぅ、貴兄にはまだ余裕があると見ていたがそれほどの提案をするということは存外本気で苦戦していたか?」

「……」

「今の貴兄ならば簡単に首を取れるやもしれんな。もしや今はレグルス・イースの腹心の首を取る好機なのか?」


 ジジイが闇に溶けるふうに消えていった。

 イース財団総帥レグルス・イースの腹心か。また大物が出てきたもんだ。


 安堵に胸を撫でおろしていると黒甲冑の騎士まで立ち去っていく。


「先の提案って何ですか?」


 鉄の男の歩みはとまらない。語るべき言葉もないのなら去るだけと決めた頑なな歩みだ。


「どうして何も言ってくれないんですか?」

「言えば聞き入れるのか?」


 振り返った鉄の男は異名通りの厳粛な顔つきのままだ。

 不明な感情を宿したアイスブルーの眼は、だが優しげだ。


「暗殺されるのが嫌ならファラ・イースから手を引けと言えば聞き入れたというのか? イース侯爵家が静観するはずがないとお前とてわかっていたはずじゃないか」


「それは……そうですが」

「聞き入れないと分かっている助言ほど無駄なものはない。俺にできることなど訓練をつけてやるくらいだ。……お前が考えているよりも俺がしてやれることなんてそう多くはないのだ」


 どうしてこの人はそんなふうに自嘲するのだろう。

 もしかしたらこの人は、誰もが盲目的に信じているほどご自身のちからを信じていないのかもしれない。


「そんなことはありませんよ。今日だって命を助けてもらいました」

「そうだな。できてこの程度だ」


 この程度か。じゅうぶん助かってるんだけどな。

 姉貴を保護してもらって。ピンチの時は助けてくれて。スーパーヒーローみたいな活躍してんのに足りないと思っているのか。


「富を持つ者はちからを持たねばならぬ。富を狙う悪しき者から富を守らねばならぬゆえだ。ファラ・イースもまたその類の女だ、彼女をその手に収めようと思わばちからを持たねばならぬ。それこそイースのすべてと戦い抜けるだけのちからをな」


 話はわかる。理屈が完全に脳みそ筋肉だが理解した。


「それは例えば閣下ほど強くならなくてはならない、という意味でしょうか?」

「そうだと言ったらどうする?」

「強くなります」


 答えなら決まっている。目と耳を塞いで震えているか、それともガンダムに乗るかと二択を迫られたらガンダムに乗るぜ。閣下、クロスボーンガンダムを俺にください。……たしかに子供だって身分に甘えていたのかもしれない。

 強さだけは自分で手に入れなきゃ話にならない。


 強くなる。ファラと一緒にいるためには強くなくちゃいけないんだ。



◇◇◇◇◇◇



 鉄の男が大いに頷く。腕を組んでしきりに頷いている。な…なぜだろう、この人からの同意って無性に不安になるんだよな……


「男だ、お前は立派な男だ、感動した」


 不安は不安だ。しかし元気に返事をしておくぜ。


「うす!」

「強くなりたい、この言葉を真実と見た。そこで特訓をつけてやろうと思う」


 あ、やべえ……

 とは思ったが強くなるためには特訓の一つや二つは仕方ない。むしろアリだ。アリだー。


 この人の強さの秘訣は以前として不明なままだ。ドルジア皇室に由来する古き神の血脈とやらの効能かもしれないが、特訓には期待しかない。


「では出かけるぞ」


 何言ってんだこの人?

 いま夜だよ。真冬だよ。十二月の帝都の豪雪が見えてないの? 帝都の外なんてここの比じゃない、除雪されてない大自然そのものだからな?


「あのぅ、何よりもその前に俺の左腕なくなってんスけど……?」

「無論理解している」


 閣下が俺の左肩に触れた瞬間に無くなった腕がニョキニョキ生えてきた。痛くなかった。鎮痛効果と同時に腕の復元とか高位治癒術師の御業だわ。


「よし、他にはないな?」

「あっ……」


 この人、俺が特訓を断る口実をこうやって一個一個丹念に潰すつもりだ。

 察しはしたが俺は強くなりたい。特訓上等、望むところだ。


「ないです! 特訓したいです!」

「よろしい、ではまずは瘴気の谷のあたりを飛んで適当な魔物を狩るぞ」


 十二月に北極海北岸!?

 瘴気の谷こと凍りついた海はゲームだとラスダンですよ!?


「いいな?」

「う…うす……」


 拝啓愛しのファラ様、僕はもうダメかもしれません……

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