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決別

 意気揚々と別荘を出たリリウス君はマクローエン一家の宿泊する国営ホテルへ。

 父ファウルと対峙するリリウス君は大阪の金融屋さんのような顔で……

「マクローエンはん、あんたさんの息子やらかしましたなぁ~」


 国営ホテルを訪ねた俺は大阪の金融屋みたいな口調で親父殿を説得もとい脅迫した。

 誓約書もきっちり書かせ、バトラに血判を捺させるという形にした。だが親父は慰謝料も払うと言い出した。


「きっちり耳揃えて払う言いますが、あんたさんそんな金どこにありますのん?」

「ぐぅ、借金の宛てならある」


 おそらくはバートランド公爵だ。帝国最大の穀倉地帯を拝領する公爵家は毎日寝ているだけで大金が転がり込んでくる。他にも色々裏のやばい財源があるけど。


「親父殿、俺が交渉して損害弁償だけで済ませることもできるぞ」

「それではファラ嬢に申し訳が立たん」

「立つさ、彼女は実際そこまで怒ってないんだ。本来ならこの誓約書一枚で済ますと言っているところに弁償もきちんとする、それで立たない顔など見栄だ」


 武士は食わねど高楊枝とはいうが見栄も続ければ死ぬだけだ。

 親父殿とて理解しているはずだ、父の仕事は子らを養うことで見栄で破滅することではない。


「ファラへの弁償は俺が払う。親父殿、これを俺からの手切れ金だと承知してくれ」

「……!」

「今回のことでハッキリした。俺はもう冒険者として十分にやっていく実力がある」


「だがお前はッ……お前はまだ十二歳の子供じゃないか! ダメだ、お前はまだ―――」


「男が自分の道を歩むと言っているんだ、喜んでくれないのか?」

「卑怯な奴だ……」


 親父殿の手が肩に食い込む。俺の肩など簡単に握りつぶしてしまえるほどに強いこの手に今日まで守られてきた。


 感謝の想いだけを抱いて親父殿と見つめ合う。


「そんな言い方をされて否と言う男親がいるものか。たまには顔を見せろよ」

「たまにはな」


 親子で固い握手を交わす。

 俺はこうしてマクローエン家と決別した。ちなみにたまにはと言ったが帰るとは言ってない。


 晴れやかな気持ちで別荘に帰ると後ろから同じ年くらいの少年に声を掛けられた。

 真面目そうなわんこ系の美少年だ、野良犬とはタイプが違い過ぎる!


「ファラ・イース様の従者でしょうか?」


 さすが野良犬クオリティだ、使用人と勘違いされている!


「ああ、うん……似たようなものかな?」

「ではお取次ぎを御願い致します」


 まいったな、お取次ぎときたか。

 しかし偉いやつだなまだ子供なのに言葉遣いもしっかりしてるし仕事もしてる。俺なんかただの屋敷ニートだぞ。


「ファラー、お客さんだぜ!」

「うん?」

「フォン・グラスカール王子殿下の命にて参りました。卒爾ながら書状を読み上げさせていただきます」


 なんだとブタ王子の使い!?


「今宵ラウラの離宮にてささやかな夜会を開催するゆえ挙って参加されたし。ご友人などもいればお誘いの上気軽に楽しんでほしい。帝国第一王子フォン・グラスカール。こちらが招待状となります」


「「「…………」」」


 三人の心が今一つとなった。

 帝国で一番やべー奴がきた!

 帝国第一王子グラスカールはバカでデブで有名な馬鹿王子。

 ゲーム本編ではバッドエンドになると主人公マリアはブタ王子様のところ、通称ブタ小屋に差し出されちゃうのです。

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