99曲目 米騒動
「皆さんどうしたんですか?」
ちょっと会議中………
どうしよう…
お米、ご飯の事ぉ話しますか?
もう別に良いんじゃない〜
そうはいっても…
…ご飯
だったらさあ〜
何?
話しちゃえば
その隠れ里も気になりますし
…忍びの里かも
目的地も決まってないし
話して着いていくで
みんなオッケー?
「「「「オッケー!」」」」
「あっすいません」
「どうかなさいましたか?」
「実は…お米持ってます」
「えぇーーーーー!」
「これがお米です」
アイテムボックスからお米を出して見せるとハイノさんだけでなく、奥さんと娘さんも前のめりで注目した。
それはそうよね。
私財を売ってまで求めていた物ですものね。
「あなた、これがお米ですか?」
「…でもとても美味しいと評判で、王族や一部の貴族では求める人が多いと、確かな情報だったんだよ」
その情報も結構な大枚をはたいたらしい。
「これ食べてみるぅ?」
モモカはアイテムボックスから作りたてのおにぎりを取り出した。
「なんですか、それ?」
「お米を炊いて作ったご飯よぉ」
「まあ食べてみなよ。モモっち、具は何?」
「鮭と昆布と塩鯖よぉ」
「…美味しそう」
恐る恐る手を伸ばし一口食べる。
「旨い。おいアデリナ、エーファ、食べてみろ」
「お母さん、これとても美味しいよ」
「本当に美味しいわ」
「皆さん、これを何処で手に入れたのですか?」
「それは…ちょっと言えないの。ごめんなさい」
「いえいえ、滅相もありません。どういうものか知れただけでとても感謝してます。それにお陰様で確信しました。必ず売れます。これは間違いないです。」
そういえば、この世界の主食って、基本は固めのパンとお肉よね。
お肉は美味しいけど…、レパートリーが少ないから飽きるかも…、そう考えると日本人じゃなくてもご飯は流行るかもしれないわね。
「私達もその…隠れ里についてきてもいいですか?」
「それは構いませんが…」
「僕達、特にここだって行き場所決めてないしね」
「ただ北のアイスベルクに行こうって決めただけなので」
「いろいろ見て見たいのよねぇ〜」
「…隠れ里、…サイコー」
ハイノは特に断る理由もないが、少し考えていると嫁と娘に後押しされた。
隠れ里と言ってもさほど秘密にされている里という訳でもなく、商人の間ではそこそこ知られている里で、なかなか珍しい品が手に入り、それは高値で取引出来ることで、商人にとっては魅力ある所である。
だがしかし、場所は険しい所にあることから行く商人が少なくあまり流通されない。
「それでは一緒に行きましょう」
「お姉ちゃんと一緒、楽しいねお母さん」
「そうね」
「代わりに護衛は任せて下さいね」
「えっ?」
「私達、これでも冒険者ですから」
「そうだったんですか!それは頼もしいです」
確かに女性とは思えない力で荷車を持ち上げ、見たことのない魔法で車輪を直したのを見ていたので納得した。
ここから更に北に行くと夕方頃には宿場町に着く予定で、そこから約1日歩くと国境がある。
ハイノさん達は宿場町で一泊、そして一泊は野宿、国境の側の町で一泊する予定だったらしい。
休憩も終わり、ワカバがウッドデッキを片付けると、ハイノ夫妻はびっくりした。
まさかのまさか!こんなに立派な物が簡単に片付ける事ができるとは!娘のエーファは大はしゃぎしている。
「魔法って凄いですね。今まで見てきたものとは違うというか、なんというか」
「ふふっ、それじゃあ出発しますか」
「全員は無理ですが二人ぐらいなら馬車に乗れますよ」
「大丈夫、気にしないで下さい」
「お姉ちゃん、乗ってお話聞かせてよぉ」
「良かったら娘の話し相手になって下さい」
「わかりました。お言葉に甘えさせて頂きます」
最初はアオイとモモカが乗る事になった。
私は少し疑問に思ったことがあったので聞いてみた。
それは何故わざわざ隣のグラースシュテッペ領から直接アイスベルク領に入らなかったのか?訊ねるとどうやら辺り一帯が猛吹雪で人が通る事が出来ずに通行止めになっているらしい。
ただ幸運なことに隠れ里はアイスベルク領の東側にあるのでシュテルンツェルト領から行ってもあまり遠回りにはならないみたい。
1時間に一度休憩を取る。
ウッドデッキでの休憩は居心地が良いのか、ついつい長く休憩を取ってしまい予定よりも時間が過ぎてしまう。
あれ?
このペースだと宿場町に着かない。
裏技を使いますか!
ハイノさんも少し焦っている様子なのでここで案を出した。
「ハイノさん、ちょっといいですか」
「はい」
「ハイノさんとアデリナさんだけでしたら馬で町まで行けますか?」
「今からなら間に合うと思いますが…」
「それで行きましょう!」
「えっ?」
アカネは荷車をアイテムボックスにしまうとハイノとアデリナに馬に乗ってもらい走ってもらう。
アオイはエーファをおんぶして走ると、アカネとキノは先頭を走り、ワカバとモモカは後方を警戒しながら走った。
「なんて人達だ!子供を抱えたまま馬と同じ速さで走るなんて…ありえない」
「エーファちゃん、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。たのしぃ〜〜〜」
気がつけば3時間かかるか所を1時間で着いてしまった。
予定よりも早く到着してしまうとは…
「ふう、間に合ったわね」
本当に凄い。
こんな冒険者見たことがない。
私の知るSランク冒険者でもこんなに凄い人いない。
「早く町に入って宿を探しましょう」
「はい、皆さんにはまた助けられましたね。ありがとうございます」
「…気にしない…気にしない」
「お礼に食事でも奢らせて下さい」
「ありがとぉ〜」
「ボク、お腹空いてきたよ」
「もう!キノったら!!」
みんなの笑い声が響く。
荷車をアイテムボックスから出して馬に繋ぎ、ゆっくりと宿場町へと歩いて向かった。
町の入口に着くと門兵に身分証明書の確認と馬車の荷物の確認をされる。
ここは北の国アイスベルクとシュテルンツェルトの中央、もちろん国境を超える時にも厳重に荷物検査はあるが交易に紛れて不法な物を持ち込む輩もいる。
ただ今回はまだハイノの荷馬車には最低限の自分達の生活用品しかないので、検査も時間かからずに終わった。
小さな町にしては王都に負けないぐらいの厳重な警備である。
門を潜るとそこには薄暗くなった町に灯りと出店が並ぶ。
まるでお祭りの様な光景だった。
次話も月曜日に更新する予定です。
よろしくお願いします。




