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98曲目 出発

長い間お待たせしました。

ようやく仕事と子育ての間に時間が取れるようになりました。

1週間に一度更新していきたいと思っています。


 北へ歩き進める。

 既に見送りしてくれたみんなが見えなくなり、そして王都シュテルンツェルトも見えなくなった。


 確か…北の町、王都はアイスベルクよね。


「ねぇみんな、この辺で休憩にしましょ」


「「「さんせ〜〜〜い」」」


「ふっふっふっ、…私の出番」


 ワカバは自分のアイテムボックスから加工された木材出すと、錬金してあっという間にウッドデッキと椅子とテーブルを作った。


「ワカバちゃん、すご〜〜〜い」


「ふっふっふっ、…親方から貰って用意していた」


 辺りには何も無い草原で、北へ向かう道と西へ向かう道の分かれ道になっていた。

 北へ行けばアイスベルク領へ、西に行けばグラースシュテッペ領へ続く道となっている。

 もちろん目的地は北、国境を超えるにはどれ位かかるかわからないが、王都を出てから3時間が過ぎていて陽も真上に昇っている。


「モモっちぃ〜、お腹空いたぁ〜」


「昼食にしてもいい時間ですね」


「そうね。モモカはお昼の準備平気?」


「もう作ってあるわよぉ」


 モモカもアイテムボックスから前もって作っていた食事を出して、テーブルの上に並べた。

 水は市販のペットボトルを購入して用意すると全員が席に座る。


「モモカ、いつもありがとうね。では

食べましょう」


「「「「「いただきます」」」」」


「お〜いしぃぃぃ。市販の物は楽だけどモモカの手作りには勝てないわ」


「モモっちサイコー」


「ふふっ、まだあるからどんどん食べてねぇ」


「でもこうしてまた外で食べてるとまた何か起きそうですね」


「…それ、フラグ」


 ワカバ…本当にやめて


 思わず辺りを見渡すと…


 はぁ〜、やっぱり


 ほら、馬車が止まって困っている人発見!


「アカネさん、私が行ってきますよ」


 う〜〜〜ん…


「私も行くわ。ワカバもついてきてくれる」


 アカネとアオイ、そしてワカバは馬車に向かい、キノとモモカはお茶を飲んで寛いで待つことになった。


   ★   ★   ★


「参ったなぁ〜」


「あなた、荷を置いて明るい内に宿場に行ったほうがいいんじゃないかしら」


 幸い、馬車の中は食料と衣服しかない。


「お父さん、お母さん、手伝うことある?」


「大丈夫、エーファはお母さんと休んでなさい」


 やはりこのひび割れが致命的だな。

 荷は軽いから上手くいけば宿場町までは持つかもしれないな。

 先ずは溝から車輪を出さないと…


 うーーーん、ゔぅ〜〜〜ん、はぁはぁ、


 動きそうで動かない。

 それを遠目で見守る母と娘。


「あっ!お母さん、誰か来るよぉ」


「あらほんと」


「手ぇ振ってるよ」


 エーファも手を振って応える。


「こんにちは」


「こんにちは」


「どうかなさったんですか?困っている様子だったので来たのですが…、あっ!自己紹介まだですね。私はアカネです」


「私はアオイです」


「…ワカバ…よろ」


「私はアデリナと申します。それと娘のエーファです」


 エーファは笑顔で近づいて来ると色々と話してきたり質問してきたり、どうやらかなり退屈だったみたいでアオイが少し離れた所で一緒に遊んであげた。


「すいません。娘が色々と…」


「気になさらず、アオイも楽しんでいますので」


「ありがとうございます」


「所で原因は馬車…ですか?」


「…はい。あそこで主人が溝にはまり動かなくなった車輪を出そうとしている所です」


 アデリナは少し困った顔で話してくれた。


「だったら私達に手伝わせて下さい」


「そんな…悪いです。…それに女性では動かすことは難しいと思いますので、お気持ちだけ頂きます」


「…任せて」


「大丈夫です」


 アカネとワカバは止めようとするアデリナ、それを笑顔で返し荷馬車向かった。


「大丈夫ですか」


「えっ!あっはい」


「ちょっと失礼」


 全く動かなかった荷馬車が簡単に動くと、車輪のひび割れが耐えきれず砕ける。

 すると隙かさずワカバが元の車輪に戻した。


「えぇーーーーー」


 思わず声が出てしまった。


「もう大丈夫ですよ」


 呆けている男の目の前で手を振っているワカバ


「あっあぁ」


「…戻った」


「す、すいません。ありがとうございます」


「どういたしまして、ほら奥さんと娘さんも心配して待ってますよ」


 アデリナの夫ハイノも馬車を邪魔にならない所に移動されて少し休む事にした。

 するとアカネ達はキノとモモカがいる所まで案内して、みんなで休憩することとなった。


「いやぁ~本当にありがとうございます」


「そんな気にしないで下さい」


 自己紹介も兼ねて歩きながら話をしているとモモカが出迎えてくれた。


「こんな所に休憩する場所があるなんて」


「あっここで靴を脱いてスリッパに履き替えて下さいね」


 ハイノ親子は初めてだらけで戸惑うも周りを見ながら真似て席に着いた。


「お母さん、これ美味しいよ」


 エーファにはオレンジジュース、ハイノとアデリナには冷たい緑茶を出した。


「本当に美味しいわ」


「うまい!これは驚いていた」


 どうやらハイノは商人だったらしく、新しい商売をするために私財を売り、北の大地アイスベルク領にある隠れ里に向かう途中だったみたいだ。


「皆さんにはお世話になったので話しますが、ここだけの話、お米という食べ物が世界を動かします」


「「「「「えぇーーーーー!」」」」」


 お米ってあれよね。


 お米はお米よぉ〜〜〜


 ボクが思うに…


 言わなくてもわかります。


 …やっちまった?


「あのぉ、ハイノさんはお米を知っているんですか?」


「実は見たことないんです」


「「「「「えぇーーーーー!」」」」」


 私達は初めて無意識にこの世界でやりすぎた事を実感したのであった。

楽しんでいただけましたか?

次話も来週月曜日に更新したいと思います。

よろしくお願いします。

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