96曲目 晩餐会
ミラとヒルダを町の外まで送ってから王宮まで急いで飛んでいった。
門から王宮まで3時間以上かかる所、飛んでいけば20分で着く。
王宮入口まで着き、下りて入ろうとすると泣きそうな顔で彷徨くモーリッツとハンナさんが待っていた。
「ハンナさーーーん」
「アカネさん、早く来て下さい」
「ハンナ、俺は先に行く。みんなを急いで連れてきてくれ」
「わかりました。モモカさんはこちらの方と調理場にお願いします」
「はじめまして。私は宮廷総料理長のアヒムと申します」
アヒムは半信半疑であった。
こんな若い娘が作る料理が本当に美味しいのだろうかと。
「じゃあ、時間も無いので始めるわよ」
「はい」
モモカが料理をする前に、既にある程度食事は終わっていた。
「まだみんな食べれるかしら?」
「既に私達の方で前菜からオードブルまで出し終わっています」
「それなら軽食とデザートがいいのかなぁ?」
「私達が聞きましたのはグラースシュテッペ王国国王様が天ぷらって言う食べ物が食べたいという事で普段よりも少なめに食事を出しています」
「じゃあ、天ぷらを揚げればいいのね」
「はい、私達はそのぉ天ぷらというものがわかりませんので指示の方をお願いします」
「じゃあ、下ごしらえお願い」
モモカはアヒムに野菜などを切るように頼んだ。
もちろん最初に切って見本を見せるとアヒムは他の料理人に指示の出す。
モモカは油の温度を確かめながら手の空いていそうな人に指示を出した。
「ねぇ」
「はい」
「手ぇ空いてたらぁ、このお皿にこの紙をこうやってひいていって」
「はい」
「そこの君ぃ~」
「はい」
「この器にお塩と天つゆを入れていって」
「はい」
モモカは収納から塩と天つゆをたくさん出すと、周りの料理人はビックリした。
それもそのはず、宮廷料理人達はモモカを何者か知らない。
試合もライブも見ていないし、噂もほぼ聞いていないからである。
そしてモモカは天ぷらを揚げると横ではアヒムが不思議そうに見ていた。
「モモカさん、味見をしても宜しいですか?」
「どうぞぉ~」
サクッ
「おお、これは旨い!初めての食感、こんなに油を使っているのに重くない。むしろ軽い」
塩をつけて食べた後は天つゆをつける。
「これもまたいい!」
絶賛しているアヒムを見て、他の料理人達も食べたがっている。
「料理長ズルい!俺も食べたい!」
「俺も!」
「俺も食べたい!」
「ほら、静かにしろ!全て料理が出し終わったらな」
「「「はい!」」」
揚げたての天ぷらがどんどんと
運ばれていく。
モモカはアヒムに教えながら天ぷらを揚げると、途中でアヒムと交代した。
そして手の空いている料理人にお刺身の盛り付けを教えると煮物やお新香にお吸い物まで教えて作らせる。
そしてビールと日本酒、烏龍茶などの飲み物を用意してモモカはデザートを作り出した。
気付くとかなりの量の食事を作ってしまった。
★ ★ ★
「これがイレム国王が絶賛していた天ぷらというものか」
カール国王が辺りを見渡すと食べた事のあるグラースシュテッペ王国の人とこの国の一部の貴族、そしてアカネ達は箸をとり、美味しそうに食べ始めた。
「この棒で食べるのか?すまんがナイフとフォークではダメなのか?」
食べた事の無い人は全員戸惑っていた。
それを見ていたアカネとアオイはフォークで食べる姿を見せると、周りも真似をして食べる。
「おおーーー!旨い!!」
他国の国王達も礼儀関係なく思わず声を漏らす。
そしてお酒を飲むと、これまた絶賛!
「何と言うお酒なんだこれは」
皆が舌鼓を打つ。
気づけばあれから1時間、お酒も入り緊張も解けたのか、みんなから質問攻め、一通りの料理を出し終わったモモカもぐったりしていた。
特にアオイは王女や王子だけでなく、いつもの貴婦人達にも囲まれていた。
周りの男性はみんな酔っぱらい、お酒を飲まない人は熱が覚めた後、しばらくして家族を連れて帰っていった。
私達は結局疲れただけで、ただモーリッツさんとハンナさんは何度も何度も頭を下げてお礼を言っていた。
帰ってお風呂入って寝る。
起きたらもう朝だった。
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