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93曲目 魔術大会決勝戦

 あれから2時間、闘技場の復興に時間がかかり、全ての人が少し早い昼食となった。

 そして修復が終わるとみんながもとの席へと戻ってくる。


「お待たせしました。まもなく魔術大会決勝戦を行います。そのままお席を座りお待ち下さい」


「「「うぉーーーーー!」」」


 先程の試合で興奮した観客たちが待ちきれずに声をあげる。


 その歓声を聞きながら、キノとモモカがリングに向かう。


「キノちゃん、よろしくね」


「モモっち、悪いけどボクが勝つよ」


「あたしだって負けないわよぉ~」


 そして外に出ると、そのままリング中央へ向かい歩き出した。


 戦う姿勢の整った2人を見て審判試合開始の合図をすると急いでリングから離れた。


「ダイアモンドダスト」


 結界の内側が猛吹雪となり、辺り一面を凍らした。

 キノの得意とする広範囲魔法、だがモモカには全く効かなかった。

 よく見ると球体に守られているモモカの姿があった。

 その球体はゆっくりと宙に浮き出す。


「モモっち、何それ?」


「ひ・み・つ・」


 それは魔力弾、大きな魔力弾の中にモモカは入っている。

 中も魔力に満ちている訳ではなく、外側に薄く凝縮された魔力の層が出来ている。

 結界とはまた違う魔力の壁、バリアの様な物になっていて、普通の魔法は効かない。


「インフェルノ」


 キノは高等広範囲魔法を連続で発動するがやはり効かない。


 そしてモモカが真上から放つ魔力弾は針の様に細いビームの回りに螺旋状の魔力を纏う。

 その魔力弾はキノの多重結界でさえ簡単に貫いた。


「キノちゃんごめんね。あたしの勝ちね」


 キノが有利と思われた戦いが、まさかのモモカ優勢で終盤をむかえた。


 歓声が響き渡る。


「あたしを祝福する声が聞こえるわ」


 モモカが声高く笑う。


 しかし騒がしい声と立ち上がる観客、そして大きな影で辺りが暗くなる。

 モモカが見上げた時には既に遅かった。


「モモっち、残念」


 キノは高等広範囲魔法を囮にメテオを放っていた。

 上空から隕石が降る。

 確かに普通の人は逃げ惑うだろう。


「ちょっ、ちょっとぉ~」


 バリアの様に魔力弾の中にいたモモカだが、物理攻撃には弱い。

 バリアとして使っていた魔力にプラスして大きな魔力弾を作り、隕石に向かい放った。


 砕け散る隕石。

 小さな破片が町を襲う。


 しかし、それも対策を練っていた。

 最初に使ったダイヤモンドダストは二種類あり、町を覆う薄くて固い透明な氷のドームを作っていた。


 町には被害はない。


 キノは背を向けたモモカに対して無数の雷の槍を放った。


「ボクの勝ちぃ」


 しかし、その雷の槍はモモカの魔力弾で相殺された。


「甘いわよ。キノちゃん」


 そう!多連弾に関してはモモカの方が上、実はキノが魔法を連発している影に魔力球を辺り一面隠していた。

 そしてその球体が一斉にキノの襲う。


 広範囲の攻撃、防御が得意なキノにも穴はある。

 全てを防ぎきれない。

 気が付くとキノの付けていた腕輪は壊れていた。


 それはモモカの優勝を意味した。


「魔術大会決勝戦、優勝はモモカ!」


 観客達も身の安全を知り、元の席へ座り出した。

 そして閉会式、王から直接激励を受けたアカネとモモカは、優勝トロフィーとメダル、そして優勝賞金を受け取り、無事に祭りも終わったと思ったが、その日の夜に王宮に呼ばれた。それはアルテミス5人全員だった。

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