92曲目 武術大会決勝戦
国王の挨拶も終り、待ちに待った決勝戦!アカネ達を知る人からの要望で、リング周辺には50人の魔術師が何重にも結界を張った。
これは前代未聞の事である。
普通は多くて10人ぐらいで三重結界だが、見た限りでは10層ぐらいは結界が張られていた。
それはアカネ達の戦いを見た各国王の了承も得ているのである。
そして審判も結界の外から試合開始の合図を出した。
「アオイぃ~、手加減しないわよ」
「私もやるからには勝ちます」
すると一瞬で間合いが詰まり、アオイの氣を纏った拳とアオイの氣を纏った模擬刀がぶつかり合った。
その氣と氣のぶつかり合いで内側の結界が早くも2層壊れると、周りの魔術師は急いで結界を張り直す。
どちらも譲らぬ攻防、なかなかお互い隙は見せない。
そしてアカネは残像を数センチ前に出す。
しかしアオイの瞳には真実しか映さない。
アオイのスキルを忘れていたアカネは、遂にアオイ一撃を喰らってしまった。
しかし、お互い動きは止まらない。
むしろ一撃を喰らって間合いが出来ると、アカネの間合いに変わる。
「これは躱せるかしら」
それは1本の刀で見せるエルザの二刀流の技だった。
変幻自在の刀はエルザの手数よりも多く、アオイは苦戦するかのように見えたが所詮は人の真似事、一振り一振りの氣にムラがある。
アオイの瞳で誤魔化しは効かない。
しかし、そのままアカネが無理矢理押し切ると今度はエルザの動きに斬撃を飛ばし、そのままエルザの最終の型、月の舞を出した。
スピード、手数、威力は上でもエルザの熟練度には敵わない。
全てを受けきったアオイは月の舞を受け流した瞬間、アカネに8蓮撃を喰らわした。
何とか堪えたアカネはリングの端で持ちこたえた。
「終りです」
それはアオイ渾身の氣功波!
これがアオイの最大のミスである。
たとえ多重結界が張られていたとしても突き抜けて観客に当たる危険性を感じて7割の力しか出さなかった。
いや、出せなかった。
結果、アカネに弾かれ力を失ったアオイはアカネの反撃を喰らうことになる。
「なんのこれしきぃぃぃぃぃぃ!」
アカネは空へとアオイの氣攻波を弾くと、全ての結界を突き破り、空へと飛んでいった。
「いくわよ!」
アカネは全ての力と氣を使い、アオイめがけて突きを放つ。
その突きは全身に氣を纏い、黄金に輝き、アオイめがけて一直線に飛んでいく。
まさに全身全霊、全ての力を乗せた突きであった。
光速、人の動きとは思えない一筋の光の矢の如く、だがアオイには見える。
「アカネさん、どんなに速くても私には効きません」
当たる瞬間、アオイは体をずらして流す。
たぶん万全なアオイでも受け止める事は困難と見て、最小限の動きと残りの氣を使い受け流した。
しかし!
「まだまだ~~~」
流された瞬間に足を使い、無理矢理体制を変えて方向転換してアオイの脇腹へ一撃入れると更に方向転換する。
普通の人なら足の筋肉、いや全身の筋肉が断絶され、一生動かない体になってもおかしくはない動き。
強靭な体だから成し得る力業である。
周りの観客は無数の光の矢が永遠にアオイめがけて襲いかかるように見えているだろう。
アオイの体が色んな方向に弾けて宙に浮く。
周りからは少しずつアオイが浮いている様に見えるが、その姿が観客の目の前から消え去ると、ものすごい音と同時に全ての結界を突き破り、壁へめり込んだアオイの姿があった。
あまりの凄まじさに審判すら声が出ない。
中央で倒れているアカネがボロボロになりながらも何とか立ち上がると、ゆっくり拳を掲げた。
「しょ、勝者、あ、あ、アカネぇぇぇ!」
みんながアカネとアオイに駆け寄る。
それほど凄まじかった。
アカネの所にはミラとヒルダ、アオイの所にはレーナとリーナ、キノとワカバ、それにモモカも驚きはしたがいつも通りしていた。
お互い肩を借りて退場していくと、医務室に運ばれベッドの上に二人並んで寝る。
二人は天井を見ながら笑っている。
「もう!2人とも何笑っているのよぉ!」
「ごめんなさいレーナさん」
「2人とも体は大丈夫何ですか?」
「まぁちょっと体は痛いけどね」
「普通は痛いじゃすみませんよ」
「2人ともバカね」
アカネとアオイは4人にめちゃくちゃ起こられた。
その頃、跡形もなく壊れ無くなったリングの修復と結界の調整、そして魔術大会決勝の準備が着々と進められた。
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