88曲目 当たる魔法
リングに上がると、まず目を引くのはモモカの衣装だった。
カウボーイのような姿、もちろんこの世界にはない服であり
、短パンに胸を誇張した格好に男たちの視線を釘付けにした。
そして被っていた帽子を観客席に向かって投げると声援に応える様に手を振った。
「もういいか?」
「ゴメンね」
「まぁいい。どうせお前は俺にすぐ負けるからな」
ザシャには余裕があった。
それは己の持つ魔法である。
決められた範囲での戦いにザシャの魔法は絶対的有利だからである。
「あっそう」
なに!あの男…キモいんだけどぅ。
なんかムカツク~~~~~。
場の空気を察した審判がすぐに試合を開始すると、すぐに終わらそうとモモカが魔力弾を数発撃ち出した。
ザシャは様子見で魔力障壁で防御した。
「まぁこんなものか。確かに威力だけはSランクだな。Cランクのレベルではない。だが、それだけだ」
カッチーーーン!
マジムカツクんですけどーーー。
「いつまでも小娘とじゃれあう気はないんでね。ダークドーム」
リングが真っ黒な半ドームで覆われる。
観客からはブーイングの嵐だ。
外からは全く見えない。
「なにこれぇ~~~。何も見えないんですけどぉ~~~」
「ふ、ふ、ふ、」
「なに笑ってんのよぉ!」
「終わりだ。ダークスラッシュ」
無数の闇の刃がモモカを襲う。
「キャッ!」
一撃喰らったモモカは即座に障壁を張った。
「もお!なんなの!!」
モモカも声の聞こえる方向に魔力弾を撃つが、当たるはずもなく笑い声だけが響く。
「ふははは、どこを狙っている」
カッチーーーン!
「あと二、三発喰らえば、私の勝ちだな」
「あったまにきたぁーーー!」
モモカはリングを走り回る。
「ふふ、どこに逃げようと私には丸見えだよ。ふははははー」
カッチーーーン!
仏の顔も三度まで、とはよくいったものだ。
「もお!許さない!!」
モモカは空を飛ぶ。
それもダークドームのテリトリーよりも高く、姿を現したモモカに観客からは歓声を浴びる。
そしてモモカはもう一つの銃を持ち、両手に持った二つの銃はリングに向かい構えた。
そして、
バババババーン!
数えきれない魔力弾がリング全体に当たる。
それは隙間なく、躱せる筈もない程の弾丸、推定1000発の魔力弾がマシンガンのように撃ち出された。
それはザシャの魔力障壁を貫通した。
ザシャは負ける前にダークドームを解き、急いで全ての魔力を障壁にあてた。
「ふふっ、丸見えよ。お兄さん」
ザシャが真上を見上げて見たものは、直径5メートルぐらいある魔力の塊だった。
「ま、待て!敗けを認めるから、な」
「ふふ、聞こえな~~~い」
ズドーーーーーン
ものすごい音が辺りに響いた。
それは巨大な魔力弾でリングまるごと破壊された衝撃音だった。
あまりの凄さに観客が無言になるが、砂埃りが晴れ、ザシャがぺしゃんこに潰れているのを見ると一斉に歓声が湧いた。
審判はザシャが生きているのを確認すると、モモカの勝利を伝えた。
うおーーーーーーーー!
スゲーーーーー!
初めて見たぜ!
様々な歓声、感想が飛び交う中、モモカがポーズを決めて笑顔で応えた。
その日、観客の男の半数以上がモモカファンになった。
★ ★ ★
「終わったの」
「キノちゃん、もちろんモモカちゃんの勝ちで終わったわよ」
すると、選手3人が真っ青な顔で現れた。
3人とも傷だらけになりながらも何とか勝ち上がったAランクの魔法使い、あんな試合を見た後、既に心が折られていた。
第3試合、選手が呼ばれた。
2分後、キノともう一人の選手が呼ばれる。
「あれぇ?もう終わったの?」
「申し訳ございます。両選手、1回戦の試合で負ったケガの為、棄権しました」
「そうなんだ」
「急いで準備をお願いします」
すると、
「わ、私も棄権します」
「「「えっ?」」」
「1回戦で受けた傷が………」
そして呆気なく魔術大会の2回戦が終わった。
一日目も終わり、明日の二日目に備えて帰る事になった。
観客も最後の2試合は棄権という形で終わったがモモカの試合で大満足で闘技場から帰っていった。
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