87曲目 先輩と後輩
魔術大会は特殊でもちろん場外は敗けになるが、結界を張られている中での魔法対決となる。
選手には1つの腕輪を着けてもらう。
この腕輪は選手の体に魔力結界を張り、一定以上のダメージを喰らうと壊れる仕組みになっているので、余程の事がない限りダメージを負う事はない。
だから腕輪が壊れる事は敗けを意味している。
そして魔術大会2回戦第1試合の時間になり、イレーネとレーアが入場してきた。
武術大会と違い、遠距離戦になるので選手同士始めから距離を取っての開始となる。
「お待たせ致しました。それでは魔術大会2回戦第1試合を行います」
イレーネとレーアは互いの間合いを取り構えた。
そして試合開始と同時にイレーネの無詠唱の火の魔法がレーアを襲う。
だが、レーアの魔法障壁で簡単に阻止された。
「イレーネさん、挨拶がわりのファイアアローですか。少し威力が落ちてますよ」
「そうかしら?でも、一年前のレーアなら防ぐのでいっぱいいっぱいだったんじゃないの?」
「確かにそうですね。でも今は違います」
レーアは無詠唱でイレーネと同じ魔法を同じように放つ。
しかも威力1.5倍増で!
「くっ!」
無詠唱でこの威力ってどういう事よ。
「どうやら遊んではいられないようね」
イレーネは勝負を仕掛けた。
今までの実力のレーアならペース配分をして確実に勝利をおさめただろうが、今の攻撃で確かにわかったことはレーアは間違いなく自分よりも強くなっているという事実だった。
「悪いけど勝たせてもらうわよレーア」
イレーネの魔力が上がると宙には1つずつファイアボールが増えていく。
そしてイレーネの回りには5つのファイアボールが浮かぶ。
「はあ、はあ、はあ、これが私の最大の魔法、ファイアストライク!」
イレーネのオリジナル魔法で5つのファイアボールが同時にレーアに襲いかかる。
しかし、レーアの魔法障壁は何とか持ちこたえた。
「さすがイレーネさん。完璧に防ぐことは出来ませんでしたよ」
「はあ、はあ、はあ、そうでしょうね。私のとっておきを甘く見ないでほしいわ。でも、次で終わりよ。今度の一撃であなたの腕輪は完璧に砕けるわよ」
そして残りの魔力を全て使い、イレーネは再度ファイアストライクを放った。
目の前にはレーアが両手を広げていた。
右手にはファイアボールが3つ、左手にはサンダーボールが3つ浮かんでいた。
「これが私のオリジナル魔法です。ブリッツボール!」
合計6つの玉が渦をイレーネに向かい飛んでいくと、その玉は1つへと融合していく。
「ファイアストライク」
イレーネも必殺技で対抗するも、イレーネの放ったファイアボールすら吸収して、イレーネを襲った。
イレーネはとっさに全ての魔力を振り絞り魔法障壁を張るが、あまりの威力にイレーネを場外に吹き飛ばした挙げ句、イレーネの腕輪は簡単に砕け散った。
「勝者、レーア」
ものすごい歓声が上がる。
それもそのはず、これほどのオリジナル魔法のぶつかり合いなど滅多に見れないからである。
それほどレベルの高い試合だった。
「大丈夫ですか?イレーネさん」
「あぁ~あ、敗けたわ。完敗よ!本当に」
レーアは場外で倒れているイレーネに近づいていった。
そしてイレーネは空をみあげながら、レーアが近づいてくると起き上がる。
「レーア、Sランク試験受けなさい。あなたの実力は間違いなくSランクよ。じゃなきゃ、私がAランクに降格よ」
レーアは笑顔で何も言わずに頭を下げると、しばらくして2人は退場していった。
周りの拍手は鳴り止まず、2人の姿が見えなくなってもしばらく誰も拍手を止めなかった。
続いて第2試合はモモカ対ザシャ、ランキング11位のSランク冒険者である。
「なかなか面白い試合だったが、俺の相手にはならんな。いくら威力があろうが当たらなければ意味がない。バカ真面目に正面から撃ち合って、遊びじゃねぇんだよ」
「レーアちゃん達の悪口やめてくれない」
するとモモカが物申した。
「それにあなたはあたしに勝てないわよ」
「ふん、所詮は女の戯言よ。俺に1発でも当ててから文句いいな」
モモカの笑顔が怖い。
キノは察して近寄らなかった。
そしてモモカとザシャがリングに向かった。
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