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86曲目 魔術大会2回戦

 2回戦の第2試合が始まるまで、土魔法でのリングの補修が始まった。

 約10分の中断が終わり、リングにはワカバとゲルルフが向かいあっている。


「見て!あれ絶対にワカバ様よ!」


「ワカバ様ぁ~~~」


 貴族の婦人達に絶対的人気のあるアオイとワカバ、一部の観客席では既に歓声が上がっている。

 そしてワカバの姿もこの世界には無い衣装を纏っていた。


 その姿は忍び!


 緑の忍び装束に口元は隠され、異世界の人に感覚ではヘンテコな格好だ。

 しかも忍びが表の舞台に出るなど、まさにアニオタのワカバらしいスタイルだった。


 そして試合開始!


「…影分身の術」


 ゲルルフはCランク冒険者とワカバを侮ることなく試合に挑んだ筈だが、強さに差がありすぎた。


「な、なんだ!おい審判!」


「は、はひ」


 誰もがそうだが、増えたワカバの人数に度肝を抜かれている。

 特に目の前で見ている審判は腰を抜かして立てないでいた。


「あれはどう見ても魔法だ。反則だろ!」


 審判はリング外にいる副審に何とか後退りしながら確認をとると、魔力反応が無いことをゲルルフに伝えた。


「あり得ねぇだろ」


「…そろそろいい?」


 目の前には複数のワカバがいるのに、真後ろから声が聞こえ振り向いた瞬間に溝尾に短刀の背を入れられ、そのまま倒れ気絶した。


「えっ?あぁ~っと、しょ、勝者ワカバ!」


 審判はゆっくりと気絶したゲルルフを確認してから試合の終わりを告げた。


 結果、ワカバの分身の術に呆気なく終わった。


 その姿を見た後の数分後に、第3試合エルザとホルガーの試合が始まる。


「ホルガー、世の中は本当に広いな。お前も今のままではAランクへ降格もあるぞ」


「う、うるせぇ!大物ぶってんじゃねぇ~」


 エルザは笑みを浮かべて構えをとった。


「それでは2回戦第3試合開始!」


 ホルガーの動きは速く、エルザも目で追っている。

 だがしかし、アカネ、ミラ、ワカバとの試合の後ではスローモーションに見えてもおかしくはなかった。


「いくぜ!」


 ホルガーが短剣で斬りかかると同時にホルガーは宙に舞う。


 ホルガーが地面に落ちると同時にエルザは剣を鞘におさめた。


「勝者、エルザ!」


 流石ランキング3位の実力、いや今大会武術部門優勝候補だけはある。


 スピードに誰よりも自信を持っていたホルガー、アカネ達の勇姿を見たエルザの闘志が湧き、ホルガーは全く歯が立たずに呆気なく終わる。


 そして第4試合はアオイとオイゲン。


「遂にアオイ様の出番よ」


「誰ですかオイゲンって?強いのかしらね」


「アオイ様に勝てる筈何て無いわ」


「それにしても何て凛々しいのでしょう」


 アオイはワカバの用意していた衣装、青をベースにしたチャイナ服を着ている。

 もちろん化粧も青いアイシャドウに薄い赤の口紅をつけて色っぽくもあり、凛とした佇まいが女性ファンを増やしていった。


 その姿を見た貴婦人たちは、


「「「アオイ様ぁ~~~~~!」」」


 試合会場に響き渡った。


 オイゲンも彼女達をCランク冒険者という認識を捨てるも、貴婦人応援団とまさかの第一王女の声援に、実力のじの字も出せずに負ける。


 これで武術大会初日は無事に勝利という形でアカネたちの試合は終わった。


   ★   ★   ★


 1時間の休憩の後、続いて魔術大会2回戦の第1試合が始まろうとしていた。

 既にキノとモモカはアカネ達のパーティーメンバーと知られて、Cランク冒険者という認識を無くされ要注意人物とマークされていた。


 そして第1試合はレーアの試合、対戦相手はイレーネ、ランキング37位のSランク冒険者であり、レーアとリーナの先輩である。


「久しぶりねレーア。今回はリーナは出ないようね」


「お久しぶりですイレーネさん」


 チラッとキノとモモカを見ると、再びレーアに話かけた。


「彼女たちは何者なの?レーアの知り合い?」


「えぇまあ、友人です」


「あの強さでCランクってどういう事?」


「一応新人冒険者って事で、まだ冒険者登録して2ヶ月なんですよ」


「はあ?そんな娘たちが何で無名なのよ」


「その辺はよくわかりませんが、ただ彼女たちと付き合っていた間に私達も強くなってますよ。いつまでも1回戦敗けのAランク冒険者ではありませんから」


「えぇ、試合楽しみにしているわ」


 そして魔術大会の2回戦第1試合が、今まさに始まろうとしていた。

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 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


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