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85曲目 意地

 アカネはリング端まで吹き飛ばされると、審判は急いで生死を確認しにいった。


 凄絶な一撃に周りの観客は唾を飲み込む。


 誰もが終わったと思った時!


「いたたたたっ」


 アカネが立ち上がった。


 えっ?

 なぜ?

 氣も使っていなかった。

 肉体の弱い人間の耐えられる威力ではない!


「さすがミラね。今の効いたわよ」


 ミラをはじめ、全ての人が言葉を失う。

 そう、ほとんどの人が死んだと思っていたからだ。


「今度はこっちの番ね」


 その言葉にミラは急いで構えをとると、アカネは刀を鞘におさめたまま一直線に突進する。


「アカネ、いくら早くてもあなたの良くも悪くもまっすぐすぎます」


 アカネの居合い斬り!


 ほとんどの人が見えない速度の抜刀だが、ミラにはカウンターを合わす目と技術と速さがある。


 紙一重で躱して再度発勁を放つ。


 が、しかしそれは残像だった。


「これはワカバさんの………」


 ミラ最大のミス!


 防御にまわしていた氣をほとんど攻撃に使っていた。

 そして気付いた時には背にしゃがみ構えていたアカネが下から上へと抜刀!

 ミラは背に攻撃を受けて宙へ舞う。

 その高さはなんと!10メートル程である。


 そのまましゃがみ放った後、アカネはジャンプしてミラの上へ!


「ごめんねミラ。私の勝ちね」


 ミラを地面に叩きつけた。


 アカネの刀の一撃は氣で防御したが、防御するために腕に氣を使い、叩きつけられた背には防御がほとんどいかない。



 どぉーーーーーーーーーーん!



 ものすごい音が辺りに鳴り響き、リングの中央が破壊された。

 観客席はあまりの凄さに言葉を失った。

 砂ぼこりで状況が見えない。

 まるで時間が止まったかのように静かな時間が経過する中、徐々に人影が見えてくる。

 そこにはミラが地面に埋もれ、その姿を見ているアカネがいた。


 静寂は続いている。


「ミラ、ギブアップ?」


「ギ、ギブアップの意味はわかりませんが、………まだ戦えます」


 ミラは立ち上がろうとするが、全く体が動かない。


「まだです。まだ………戦えます」


 手を使い頭と肩が少し上がるだけで腰から下は全く動かない。


 動いて…動きなさい………動けぇ~~~!


 ミラの心の叫びが苦痛に顔を歪ませると、目の前にはアカネの手を伸びてきた。


「お疲れ様。楽しかったわよ。また今度戦いましょ」


 笑顔で手を伸ばすアカネの手を断れなかった。


「ふっ、そんな顔で手を出されたら断れないじゃないですか。全くもう」


 アカネは掴んだミラの手をひき肩を貸した。


「私の負けです」


「しょ、勝者アカネ!」


 その瞬間、拍手喝采!鳴り止まない拍手と歓声を背に、アカネはミラを連れて控え室に戻った。


   ◆   ◆   ◆


 どぉーーーーーーーーーーん!



 その音は控え室にも届いていた。


「おい!何だこの音は!!」


「おい、見に行くぞ!」


 オイゲンとゲルルフが控え室を出て行くのを見て、ホルガーは気付かれない様に後から見に行った。


「何が起きた!」


「ホルガーがたどり着き見た光景はリングの中央が壊れ、肩を貸し歩いて戻る二人の姿だった。


「世の中広いな」


 気付くと腕を組み立っているエルザの姿があった。


「何が起きた!」


「ホルガー、お前がCランク冒険者とバカにしていた彼女の勝利だ。あれに勝つのは厳しいな」


「何をバカなことを、…俺はミラって女の戦いを見た。Sランク上位の実力はあった女だぞ」


「ああ、対戦相手のミラも私では勝てないかもしれん」


 1試合目のミラの試合は一瞬で終わった。

 だが、実力はある程度想像していたが、その実力も想像以上であった。

 試合を観ていないホルガーにとってはミラの実力でさえ未知数、そこミラの強さをエルザは評価した。

 そのミラに勝ったCランク冒険者アカネ、試合を観なかった事を少し後悔をし、次の試合を観ることにしたホルガーだった。

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 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。


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