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70曲目 魔族

 全員が席に着き、落ち着いた所でハンナさんは淡々と話を進めた。


「それでは話を続けます。先程話した通り、確定ではありませんがこの町に不穏な動きがあるようです。ギルド長もまだ噂の段階なので国王に報告していいものなのかも迷っている段階です。下手に混乱を招く様な事は避けたいので何とか本戦が始まる残り数日で解決をしたいのですが、大事に出来ないので皆さんに相談に来ました」


「私達にどうしろと?」


「皆さんは武術大会の予選を見ていたとレーアさんに聞きました。どうやら決勝戦の男二人も仲間という可能性もあります。是非足取りを掴んで欲しいのです」


「キノは見ていないから無理だけど…」


「アカネさん、ここは私とワカバが行くのがベストと思います」


「アオイ、大丈夫?」


「ええ」


「ワカバは?」


「…おまかせ」


「すいません。アオイさん、ワカバさん、お願いします」


 アオイとワカバは席を立ち上がり外に出ると剣術大会の二人を探しに出た。


 そしてレーアとリーナは魔術大会の優勝者を調べていたのでモモカとキノが一緒に外に出る。


「アカネちゃん、あたし達はレーアちゃん達と行ってくるからヨロシクね」


「モモカさんとキノさんまで、本当にありがとうございます」


 そして私はハンナさんに話の続きを聞いた。


「本戦では各国から国王様が来賓されます。まずは来賓される方々の安全に観覧出来る様に努めなければなりません。その為に一つでも不安要素があれば取り除かなければなりません。今、動けるのは私達しかいませんので宜しくお願いします」


 ハンナさんは深々も頭を下げた。


「それでは一度ギルド長に報告してきます。後はキリンのメンバーのルークさん達も動いてもらっています。何かありましたらこちらにまた来ますのでアカネさんはここで待機していて下さい。私もすぐに戻りますので」


「わかりました」


 ハンナさんは走ってギルドに戻っていった。


「アカネさん、申し訳ありませんが私達は手伝う事は出来ません。他種族の争いに手を出す事は禁じられています」


「ミラ、そんなに気を使わなくていいのよ」


 私達はみんなの報告を待つことにした。


   ★   ★   ★


 アオイとワカバは闘技場近くの宿屋付近の屋根の上にいた。

 ワカバのスキルでアオイとワカバの気配は失くなり、ほとんどの人に察知出来なくなっていた。

 更にアオイは今までほとんど使っていなかった神眼を使う。


「…何かわかった」


「一応、全ての悪意を探っているのですが…もう少し範囲を広げて見ます」


 二人は場所を変えては悪意を察知しながら確認を繰り返して、ようやく手がかりを掴んだ。


「ワカバ、あの二人」


「…このまま尾行する」


 夜も更けた頃にアーモットとカーリーは西門から出て、森の奥の方へ向かっていった。


「誰も来ていないな」


「ああ、問題ない」


 この二人の強さを持ってしてもアオイとワカバの尾行には気付く事は出来ない。


 誰も近づかない危険な区域の更に奥まで進むと洞窟があり、そこには数人の見張りがいた。


「問題はないか」


「アーモット様、特に問題は無いです」


 アーモットとカーリーはそのまま洞窟の奥へと進んでいった。


「ワカバ、どうしますか?さすがに見張りの目を掻い潜っていくのは無理があると思うのですが…」


「…一人で行ってくる」


 ワカバ一人ならスキルを使い、上手く潜入出来る確率は高い。

 アオイは少し考えたが、ワカバは気配を消して先に行ってしまった。


 洞窟の中は3つの道で別れていた。

 アーモットとカーリーは左の道に進んで行ったので、ワカバは他の道を探索する事にした。

 右の道を進むと誰もいない一本道が続いた。

 その行き止まりで見つけたのは大量の食料や金品だった。


「…次」


 一旦戻り、今度は真ん中の道に進むと人の気配がする。

 二人の喋り声が聞こえてきた。


「そろそろ腹がへってきたな」


「全然交代が来ないな」


「ここを見張っていても誰も助けに来ないし、コイツらも動けないだろ」


「しかし、人族の騎士ってヤツは弱いな。簡単には王も捕まえられたし、我ら魔族が簡単に支配出来るんじゃないか?」


「ああ、この広い領地を手に入れれば、あのお方も魔王の中の魔王になれるだろうよ」


「そうすれば俺達も」


「だな」


 話を聞く限りではこの奥には人質がいるらしい。


「…王?」


 すると後ろから一人の気配が、


「おい、アーモット様とカーリー様が戻って来たぞ。どうせコイツらは何も出来ないし、こっちきて飯でも食えよ」


 その誘いに見張りはいなくなり、ワカバは奥へと進んだ。

 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!


 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。

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