7曲目 御馳走
私達は無事に獣を倒す事が出来た。
途中であった人達も私達がテントを張っている場所を教えて逃げてもらった。
そして最後の1人と思われる人も助ける事が出来た。
「もしもーし、おーい」
あれぇ~、どうしたんだろう?
「生きてますかぁ~、もっしも~し」
私は顔を覗き込んでみた。
「おっ、おぉぅ。た、助けてくれてありがとう。本当に助かったよ」
「良かった。無事みたいね。キノ、お願い」
「ほいほーい」
キノは回復魔法をかけると細かい擦り傷が無くなり、痛みもひいたみたいだった。
あれ?何か驚いているみたいだけど…キノの魔法が変なのかな?
「あのぉ~、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ」
「所で…ベンさんで合ってますか?」
「そうだが、なぜ私の名を?」
「ここに来る途中で仲間と言う人に、この先にいる男を助けてほしいと頼まれまして」
「そうか………みんなは無事でしょうか?」
「たぶん平気と思いますよ。今頃、私達のメンバーの所にいると思いますよ」
「メンバー?そ、そうか、ありがとう」
「じゃあ私達も戻りましょう」
私達はベンさんを連れてテントの所まで戻った。
「ただいま~!無事救出成功です!キノみんなのケガをみてあげて」
「ほいほーい」
キノがみんなのケガを治していると、中年の少し太ったおじさんと細目の女性と若い女の子が私の所にやってきた。
「あなたがリーダーのアカネさんですね」
「はい、そうですけど」
「ありがとうございます。妻と娘も救われました」
「いえいえ、当然の事をしただけですから」
「私は商人をしておりまして、マッテオと言います。そして妻のフリーダと娘のリリです」
「本当にありがとうございます」
「お姉ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
私がリリちゃんの頭を撫でているとマッテオさんが頼み事をしてきた。
「あの~、実はもう1つお願いがあるのですが…宜しいでしょうか?」
「何でしょう?」
「私達の積み荷を取りに行きたいのですが…実はジャイアントベアに襲われた時に車軸が折れてしまし、馬と一緒に置いて逃げてきてしまったのです。とりあえず馬と最低限持っていける積み荷だけでも運びたいのですが…」
「いいですよ!う~ん、ワカバ!手伝ってくれる」
「…オーケー」
私とワカバ、あとマッテオさんで積み荷の所まで向かった。
★ ★ ★
「みんなのケガ~治したよ~って、あれ?アカっちは?」
「さっきワカバとちょっと
太ったおじさんと森に行ったわよ」
「何か魔力使ったらお腹減ったよぉ」
「まだ炭を消して無いからモモカに頼んでお肉焼きましょうか!」
「やったーっ!」
「あまり残ってませんがべんさんも食べませんか?」
「ありがとう、お言葉に甘えるよ」
アオイ、キノ、モモカにユニコーンの皆さんとフリーダとリリの9人で、買った食材全てをまた下ごしらえしてバーベキューを始めた。
準備をしながらみんなが手伝ってくれて、軽い自己紹介をしながら色々と話しをした。
炭も追加して火加減を調節する。
そしてまずは野菜を焼く。
そしてお肉、みんなお腹を減らしていたのだろう、元気を取り戻して我先にとみんなのフォークが一斉に肉を襲う。
「何このお肉!美味しい~~~!」
「今まで食べた事ないわ。そしてこのタレ、美味しすぎるわ」
「お母さん、美味しいね」
「本当に美味しいわね」
女性達は味わいながら食べていると、男性2人はどんどん肉を焼き無言で食べまくっている。
「ちゃんと野菜も食べて下さいねぇ~」
アオイが男性2人に注意すると、口に入れたまま返事をする。
何を言っているのか分からない。
「ごめんなさいね。うちの男達は本当にどうしようも無いんだから!」
「リーダーを助けてくれてありがとう。私はミアで彼女がクララ、あなたが助けてくれたリーダーがベンで一緒になって必死で食べているのがフィンよ」
「本当にありがとう。あなた達のお陰で全員無事だったわ。ひょっとして何処かの有名な冒険者?」
「違いますよ。私達はここに歌を広めにやってきたんです」
「歌?」
「はい!歌です。あっ!ちょうどアカネさんが戻ってきたのでみんなにちゃんとした自己紹介しますね」
遠くから3人と壊れた筈の馬車が戻って来るのが見えた。
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