63曲目 予選決勝戦
予選決勝戦5分前。
「早く早くぅ~」
「アカネちゃん、待ってよぉ~」
少しゆっくりと闘技場内を見物していたら、予選決勝戦の入場が始まってしまった。
闘技場では4人の選手が東西南北に分かれ、距離を取って睨みあっていた。
「お待たせ致しましたぁーーー!遂に決勝戦!この4人の内たった一人だけ!本選に出れるのはたったの一人!さぁ闘技場では4人の選手が火花を散らしているぞぉーーー!そして試合開始だぁ!!!」
4人の選手が一斉に中央に走り出すと思いきや、アーモットとカーリーはミラではなくアダルを両サイドから襲った。
アダルは運が悪く、最初から一番強いと踏んでいたミラに初撃を合わせ、ミラは殺気を感じていたアダルに狙いを定めていた。
「喰らえ!虎狼」
アダルの動きがどんどん加速していくと目にも止まらぬ鋭い突きがミラの右肩を貫いた。
しかし受け流しながらミラの左蹴りが炸裂した。
アダルは後方に吹き飛んだがミラも完全に受け流したわけでもなく、右肩にかなりのダメージを受けた。
「人間にしてはなかなかやりますね」
何とかアダルも踏ん張り耐えると両サイドからアーモットとカーリーの攻撃がくる。
「もらった!」
カーリーの槍がアダルの脇を貫くとアーモットの剣が逆脇を襲うが、アダルは何とか剣で防ぎアーモットを蹴り飛ばす。
するとすかさずミラがカーリーのボディに拳打を打ち込むと真下から蹴りでカーリーを真上に飛ばした。
「女性一人に二人がかりとはみっともないですね」
そしてそのままミラもジャンプすると、今度はアーモットが横からミラも蹴りを入れた。
「貴様、竜人だろ!なぜこんな人族の大会に出ている」
「ふっ、人の事言えませんよ。あなた達も魔人でしょ」
ミラはそのままアーモットに攻撃を仕掛けると今度はカーリーがミラを襲う。
しかしその後ろからアダルがカーリーに一撃を入れた。
「私を無視して余裕ねぇ~。まずはあんたが退場しなさい。牙狼!」
アダルの剣が上からカーリーの頭上を叩き斬る。
間一髪!カーリーは奇跡的な動きで躱した筈が空を仰いでいた。
脳が揺れている。
言葉を出すことも出来ない。
動くことも出来ない。
徐々に意識が薄れていく。
「おーーーっと!ここでカーリー選手が敗退したーーー!残りは3名、誰が最後まで立っていられるのかぁーーー!」
その実況の声を聞き、アーモットは焦っていた。
ここで負けると多少なりとも作戦に支障が出る恐れがあるからだ。
そんなことを考えている隙をミラは見逃さない!
「終わりよ!竜炎掌」
炎を纏ったミラの掌底がアーモットを場外の壁まで吹き飛ばした。
たった一撃でアーモットは完全に意識を失った。
「続いてアーモット選手がじょうがーーーい!場外の壁に激突したぁーーー!これでアダル選手とミラ選手の一騎討ちになったぞーーー!」
ミラがアーモットを吹き飛ばすと同時にアダルが再び突きを放つ。
「虎狼!」
しかし、
「その技は一度見ましたよ」
そのまま竜炎掌がカウンターに決まりアーモットとは逆の壁に吹き飛ばした。
ただ幸運な事にアダルが受けた掌底は左手、試合開始直後にアダルがダメージを与えた事で本来の半分の力も出なかった。
まだ闘えるアダルだが場外に出た事で負けとなってしまった。
「早い!アーモット選手に続いてアダルも場外だーーー!そして予選を勝ち抜いたのはミラ選手!これでミラ選手の本選出場が決定したーーー!」
闘技場内は歓声が止まらない。
★ ★ ★
良かった。
やっぱりミラが勝ったわ。
私は興奮した体を抑えて深呼吸した。
「やっぱミラは強いわね」
「さすがミラさん。最初に一撃もらった時は焦りましたけど」
「…結果オーライ」
「さ!帰ってミラちゃんの祝勝会の準備しなきゃ!」
みんながミラの勝利を喜んでいる隣ではハンスが一人へこんでいた。
俺、絶対決勝戦の4人よりも弱い。
そんな俺が本選に…
キツい!
初めてだ。
逃げ出したいと思ったことは
「ハンスさん………ハンスさん」
「あっ、レーアか」
「何ぼーーーっとしてるのよ」
「すまん。で、なんだ?」
「これからアカネちゃんの家でさっき勝った娘の祝勝会だって!来る?」
「お、俺は用があるから遠慮しておくよ」
「そっ」
「悪いが先に帰るよ」
そしてハンスは帰っていった。
「私達もミラを連れて帰りましょ」
レーアさんは妹さんを呼びに一旦離れて、後で家に行くって言って帰っていった。
そして私達もミラに会いに行き、そのままみんなで帰った。
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