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59曲目 おしゃべりハンス

 ヨット、ミラン、アダルの睨み合いが続く。

 しかしながら誰が見ても最初に狙われるのはヨットと思っていた。

 ヨット本人もそう思っている。


 格上でダメージのある今がチャンスと思っていたミランにアダルが攻めてきた。


「おいおい、俺かよ!」


 アダルは一対一ならどっちとやっても勝てると思っていた。

 だからダメージの無い自分と相性の悪い槍使いを狙った。


 そう、ミランは少し油断していた。

 その油断が剣の間合いに入られてしまった。


 その姿を見たヨットはアダルに加勢しにいった。


「よぉ新人、成り上がりが調子に乗るなよ」


「くっ!」


 ミランは自分の間合いを取ろうとバックステップをして離れるが、体勢を立て直す前に間合いを詰められる。


 そしてヨットの蹴りがミランの鳩尾に決まった瞬間、アダルの蹴りがヨットの鳩尾に決まった。

 そのまま剣で首筋を叩きヨットを気絶されるとミランに剣を突きだした。


「ゴホッ、参った!降参だ、降参」


「けっちゃーーーく!Aブロック勝者アダル」


「「「オーーーーーーーーーー!」」」


 歓声が闘技場内に響きわたる。


 時間にして約30分、以外と早く決着がつくと、すぐにBブロックの準備に入ると10分間の休憩になった。


「なかなか面白いね」


「でも知ってる人がいないと誰を応援すればいいかわからないよぉ」


「…次は平気、ミラが出る」


「そうですね」


 私達が話していると何故かハンスさんが会話に入ってくる。

 隣ではモモカが嫌そうな顔をしているが、悪い人ではなさそう。


「いやぁ~、まさかヨットがやられるとは意外な決着だったな」


「そうなんですか?」


「確かにバトル・ロワイアルなら戦い方次第では誰が勝手もおかしくはないが…それでもヨットのスピードは厄介だからなぁ」


「…大したスピードじゃないけど」


「ん?何か言った?」


「…何でもない」


「おっ、そういえばお嬢さん達の名前を聞くのを忘れていたな」


「私はアカネです」


「アカネちゃんかぁ~」


「ほら、モモカも」


 嫌そうな顔で自己紹介をする。


「あたしモモカ」


「もう!モモカったら」


「俺、嫌われてる?」


「チャラそうな人は好きじゃないの」


「チャラそう?まぁ気にさわったんならごめんな」


「モモカったらもう!ごめんなさい、ハンスさん」


「気にしないでくれ。でその隣は?」


「私はアオイです」


「…ワカバ」


「アオイちゃんにワカバちゃんね」


「みんなは剣術の方?それとも魔術?」


「モモカ以外は3人とも剣術大会に出ます」


「対戦する時は宜しくな」


「ところでハンスさんは何で予選を見に来たんですか?周りを見るとたくさん席が空いてるから他の選手は興味無いのかなぁ~っと思って」


「まぁ上位ランクは興味無い奴が多いだろう。戦闘を楽しむ者ばかりだからな。人の戦いには興味がない」


「へぇー」


「俺は情報を得て戦いの準備をするタイプ。騎士もほとんどそうだな。だから最初にアカネちゃん達を騎士と思ったわけよ。それに俺の中に情報が無いしな」


「作戦を練って戦うタイプって事ね」


「そういう事だ。君達は何で見に来たんだ?」


「こういう大会は初めてだから、どんな感じか見に来たんですけど、急遽知り合いも出る事になったので応援しに来ました」


「そっかぁ」


 すると1人の女性が近づいてきた。


「あっ!レーアさん」


「ここにいたんだ。探したわよぉって何でハンスさんがいるのよ!」


 あれ?レーアさんはハンスさんと知り合い?


「レーアじゃねぇか!久しぶりだなぁ~、半年ぶりだな」


「そうですね。ハンスさんがここにいるって事はやっぱり武術大会に出るんですか」


「おおよ!」


「じゃあ私はハンスさんが1回戦でアカネちゃん達にあたらない様に祈ってあげますよ」


「おいおい、それじゃあ俺が彼女達よりも弱いみたいじゃないか」


「間違いなく弱いですよ。一緒に戦った事があるから言えます」


「え?冗談…ではない」


「はい」


 笑顔で答えるレーアに少し焦った。

 ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!


 ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。

これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。

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