21曲目 初ライブ(後編)
2曲目に入り、物凄い歓声が沸き、イスに座っていた人達も立ち上がる。
お酒を飲むことも忘れ、私達と一緒にリズムに合わせて手を振り上げ声を出す。
後ろの人達はほとんどの見えていないが私達の歌に合わせて手を振ってくれる。
楽しい!久しぶりに思う。
まるでデビューしたての頃を思い出す。
楽しい時間もあっという間に過ぎ、3曲目にはアベルさんに聞いてもらった曲を歌った。
「みんなぁ~ありがとう」
「私達もみんなと一緒に盛り上がれてよかったわぁ~」
「ボクもとても嬉しいよぉ~」
「…感謝」
優しい音楽、みんなは穏やかな気持ちになる。
「あたしの最後の曲、聞いて下さい」
優しい光が演出する。
上を見上げると、満足げにシオンが笑って応える。
そして3曲目が終わる。
私達は頭を下げて、聞いてくれたみんなにお礼を言った。
◆ ◆ ◆
俺は今まで戦いばかりしていた。
あの敗北から俺は負けた悔しさと相手を認める事、そして戦った相手に敬意を持つ事を知った。
男5人でBランクまで死ぬ気で戦いぬいた結果、特に女を認める事はなく、バカにしてばかりだった。
ケルベロスはリーダーの俺がこんな調子だからみんなも俺を慕って、仲間も俺と同じ考えを持ってしまい、今思うとユニコーンが俺達を正そうとしてくれていたのかも知れない。
彼女達は凄い!俺達に新たな感情を与えてくれた。
「おい、ベン!」
「何だよデニス」
「彼女達は何者何だ?こんなの見た事がねえ」
「ああ、俺も初めて見た時はビックリしたよ。正直こんな世界があったのかと思った」
「彼女達の職業アイドルはこれの事か?」
「みたいだ。何でもみんなに歌を歌って幸せにする仕事と言っていたな」
「歌…かぁ」
ベン達にはここに来る前に色々聞いた。
音楽、歌、まさか戦い以外でこんなに高ぶるとは思わなかった。
俺がこんな風に思っているという事は周りの奴等はもっとだろう!
そして2曲目、俺は回りの目を気にせずに声を出し、手を振ってしまった。
2曲目も終わりに近づき、辺りを見渡すと俺と同じ様に大の男が恥ずかしがらずに手を振っていた。
心の中ではベン!お前もか!と言っていた。
ああ、楽しい。
こんな気分は子供の頃以来だ。
そして次の歌は…何だよ、少し切ねぇじゃあねぇか。
気がつくと終わっていた。
◆ ◆ ◆
「「「「「お疲れ様でしたぁ」」」」」
私達は店のマスターのビリーを挨拶をして家に帰った。
あの後はみんなに帰るのを止められ食事に誘われた。
私達はアイドルとして仕事とプライベートをしっかりと分ける為に帰宅を選んだ。
家に着いた私達は成功に終わった初ライブの打ち上げをした。
「シオン、あなたの演出バッチリよ!」
「でしょう!」
キノとモモカは飲み物と簡単に出来る冷凍チャーハンや冷凍餃子、その他に簡単な炒め物をしてテーブルに並べた。
そしてグラスに飲み物を注ぐとみんなで乾杯をした。
「みんなぁ、今日はお疲れ様ぁ!大成功私達のライブにかんぱーい!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
その日は夜遅くまではしゃいだ。
先に寝てしまったシオンを私が部屋まで運び、みんなは片付けに入ると、完成した露天風呂に入った。
「気持ちいい~」
「ナイスよワカバ!あたし好みに仕上がっているわ」
「ボク眠くなってきたよぉ~」
そしてみんなで空を見上げると月がとても綺麗に私達を照らしていた。
「…サイコー」
「ええ」
「明日もいい事あるかなぁ」
そんな事を話ながら、この世界に来て3日目が過ぎようとしていた。
お風呂を上がり、私達は眠りに着いた。
「「「「「おやすみなさい」」」」」
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