15曲目 対決
あっという間に15分が立つ。
怒りが収まらないアオイは既に闘技場の中央で待ち構えていた。
それを見ているケルベロスからはビンタをされたアントンと蹴り飛ばされたヘルマンが俺がやると言い争っていた。
結局蹴り飛ばされたヘルマンが戦う事になり、代わりにアントンは次の試合に備えた
そしてアオイとヘルマンが中央で戦闘態勢に入るとギルド長自ら審判をする。
さて、見物だな。
ベンの言っていた事が本当なら、この試合は面白くなるぞ!
半信半疑だった彼女達の実力がわかる。
モーリッツがベンに目を向けるとニヤニヤと笑っているのが分かった。
「それでは試合を開始する前にルールを説明する。勝敗はどちらか先に降参するか気絶したら負け。又、私の判断で危険と感じたらその場で止めて判定をする。以上だ」
闘技場は一応魔道具で結界が張ってあり、外にはすぐに治療出来る様に回復魔法士と救護班が待機している。
しかし回復魔法といっても擦り傷程度を治す位なので、モーリッツは常に動けるように剣を装備している。
モーリッツは元Aランクの冒険者でBランク相手なら、まだ余裕で止める自信があった。
「それでは試合を開始する。間違っても相手を死に至らす事はないように!」
そしてアオイとヘルマンは間合いを取ると試合が開始される。
「それでは試合開始!」
一瞬だった。
ヘルマンが構えた時にはアオイはヘルマンの目の前にいた。
焦ったヘルマンは剣を振り下ろすが間に合わずにアオイの拳をモロに喰らう。
ヘルマンは試験場の壁に吹っ飛んだ。
「そ、そこまで!」
モーリッツは冷や汗をかく。
おいおい、目で追うのがやっとだったぞ!
俺が一緒に戦った事のあるSランク冒険者よりも強いんじゃないか!
「救護班!早くしろ!!」
急いで救護班と回復魔法士が近づくと、既に白目をむいて泡を吹いている。
魔法士が詠唱して回復魔法をかけると、とりあえず全身打撲は治った。
しかし、数ヶ所の骨折をしているので救護班は急いで病室に連れていった。
見学していた冒険者やギルド職員は息をのんだ。
「次の試合に入る。選手は中央にきてくれ」
モモカとアントンが中央に歩いてきた。
モモカはいつも通りだが、アントンの怒りはピークを迎えていた。
しかしアントンもBランク冒険者だけあり、戦闘に対する冷静な判断はたもっていた。
アントンは試合開始の合図前に距離をとり、左手に弓、右手には指の間に3本の矢を持っている。
「試合を開始する。準備はいいか?」
「は~い」
手ぶらのモモカが呑気に返事をする。
だ、大丈夫か?
彼女、武器を持ってないけど、前の娘と同じく素手で戦うのか?
まぁいい、試合を観ればわかる。
「それでは試合開始!」
モーリッツの合図と同時にアントンは矢を放った。
「蒼穹術3連射!」
3本の矢はモモカの頭、首、体を同時に襲った。
モモカは3つの矢を避けるのではなく、左手で掴み捨てると右手に銃を持ち、魔力弾を5発放つ。
魔力弾は握りこぶしよりも小さく、アントンが放った矢の3倍位のスピードで放たれた。
もちろんアントンは避けることすら出来ずに両腕、両足、体にヒットする。
「ぐわぁぁぁぁぁ!いてぇ、いてぇよぉーーー!」
「そこまで!」
しかしモモカはアントンにゆっくり近づくと銃を動けないアントンの額にあてる。
「これで終わりね」
笑いながら喋る彼女に俺は必死で止めに行ったが…
「バァーーーーーン!」
アントンはモモカの声で失神した。
「ふふっ、冗談よ」
周りの見学者は冷や汗をかき、怖れた。
か、勘弁してくれよぉ!俺の心臓の方が止まっちまう。
残りの3人も一緒だろうか?
それに見た事もないあの武器!いつ取り出したんだ。
もう実力も分かったし、終わりにしたい。
俺1人で決めていいなら、即Sランク決定だよ!
「それではお互い次の試合に進んでも平気か?」
「…大丈夫」
「お、おう」
続いてワカバとファビアンが試験場の中央に向かい歩き出した。
おい~!また武器なしか?今度はどんな事やるんだぁ~。
はぁ、ちょっと審判何かするんじゃなかったよ。
モーリッツが周りを見るとユニコーンと彼女達は盛り上がっているが、周りの冒険者もギルド職員も疲れきっていた。
「準備はいいか?」
2人とも頷き応える。
「試合開始!」
試合が始まるとファビアンは魔法の詠唱をしようとする。
するとワカバが呟く。
そして対戦相手のファビアンも含めて、その場にいる全員がワカバに注目する。
「…格の違いってやつを見せてやる」
ワカバは両手を合わせて地面に手を置くと、地面の土から槍が作られていく。
な、な、なんなんだぁーーー!
思わず叫びたくなったがこれでもギルド長だ。
冷静な対応をしないと…
「「「あれはなんだーーーーー!」」」
周りからは驚きの声が響く。
「俺はそんな事では動じないぜ!我が手に宿りし炎よ。球体となり、相手を燃やし尽くせ。ファイアボール」
ファビアンが出したファイアボールは直径30センチはある大きさで普通のファイアボールの倍近くあった。
そのファイアボールを斬ろうとしたワカバの槍は簡単に壊れた。
「は、はは!どうする、もう武器は無いぞ」
ファビアンはファイアボールの詠唱に入った。
「…いくぞ、アル」
訳の分からない言葉を発して、今度はモモカが投げ捨てた矢の矢じりと土に含まれた砂鉄でクナイを作った。
すると目の前にはファイアボールが迫ってきていた。
「「「「危ない!」」」」
ユニコーンの4人から声が飛ぶ。
するとなぜかファイアボールはワカバをすり抜けていく。
「「「「「え、えっ!」」」」」
みんなが驚いていると、ファビアンが手を挙げていた。
おい!何が起きたんだ。
俺がファビアンを見ると手を挙げているファビアンの後ろに彼女が首筋に刃物をあてていた。
「そ、そこまで!」
そして3戦目が終わった。
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