100曲目 護衛冒険者
「「「「「おぉーーーーー」」」」」
町の中に入った私達はあまりの景色に思わず声をあげてしまった。
「おや?珍しいですか?」
「何かお祭りの出店みたいだなぁ〜って」
「うんうん」
「なんかぁ〜、懐かしさを感じるのよねぇ〜」
「私達は宿を決めたらギルドに行ってきますので、良かったら一緒にどうですか」
「はい」
「また一緒に行けるといいですね」
「どういう意味ですか?」
「ひょっとして初めて…ですか?」
?????
この世界では当たり前のことで、危険な場所を通る時はギルドで護衛を派遣するのだが、一組での行動はしない。
もちろん危険地帯で無ければ、護衛もいらないが、場所によっては複数で行動と護衛10人以上が義務付けられている為、希望日に出発はなかなか出来ない。
前もってギルドに行き、依頼をして、規定人数に達したら連絡があり、ようやく行動出来るのである。
アカネ達もCランク冒険者なので自由に向かう事が出来ないのである。
これは冒険者や商人にとっては知らない事が珍しく、常識的なことである。
「とりあえず急いで宿を探しましょう」
町の中央に宿が並んでいる。
外では客引きをしている宿屋も多く、中には飲食店も経営している宿もある。
宿空いてるよ〜
うちの宿の食事は絶品ですよ〜
いろいろな人が外で客引きをしているが、とてもいい匂いのする宿に目を引くと、【ここにしましょう】みんなの声が重なった。
「やっぱそうなるわよね〜」
「早く入ろうよぉ」
中に入ると夕食時、中でみんなが食事を取っているが、別に飲食店をやっている訳ではないらしい。
泊まっているお客様の夕食の匂いが外まで漂っていたみたいで、とても感じのいい親子が経営している宿屋だった。
部屋は3室空いてたのでアカネとアオイ、キノとワカバとモモカ、そしてハイノ一家がちょうど泊まることが出来て夕食も用意してくれるという事なのでそのまま夕食を食べる事になった。
「アカネさん、ギルドの方はまだやっているので、食事が終わったら一緒に行けますか?」
「はい、私達はいつでも大丈夫です」
「お姉ちゃん、ご飯美味しいね」
「ホント、美味しいわぁ〜」
「…こっちの食事いい」
「こっち?」
「あっ!気にしないで下さい」
食事を終わらせて、部屋に荷物を置いてからギルドに向かう事となり、賑やかな町の通りを寄り道せずに歩く。
ギルドに到着してすぐに中に入ると、数人の商人らしき人達が受付で揉めていた。
「おい、何日待たせるんだよ」
「いくら何でも2日も経って目処がたたないって、いったいどういうことですか」
「申し訳ございません。何分Aランク以上の冒険者はアイスベルク国王陛下に呼ばれていまして、Bランク以上の冒険者だけで護衛任務を行っていますので、人数が足りなくてこちらも困っている状況でして…」
どうやら護衛の人の人数が足りないみたい…
少し離れた所にいる受付嬢に声をかけてみた。
「すいません」
「はい」
「私達、アイスベルクに行きたいんですけど」
「申し訳ございません。現在アイスベルクに行くには護衛する冒険者が足りなくて、いつ出発出来るか未定になっております」
「あの〜私達Cランク冒険者なんですが、護衛としてはダメですか?」
「えっ!冒険者の方ですか!ちょっ、ちょっと待ってもらえますか」
「はい」
タッタッタッタッタッ、
トントン、
バタン、
マスターーーーーー!
ホントか!
バタン、
タッタッタッタッ、
「お待たせしました。!!、あなたたちはぁ!」
「えっ?どこかで会いましたっけ?」
「見たよ見たよ!アカネさんだよな。それにモモカさんまで、アオイさんにワカバさん、キノさんまで」
びっくりした様子で私達の名前を言った。
「し、失礼した。私はこのギルド支部のギルドマスターのコンラートだ。まさか今年の武術大会と魔術大会の優勝者がここに来るとは思わなくてな」
「あのぉ〜、アイスベルクに行く件なんですがぁ〜」
「ああ、もちろん大丈夫だ。こちらからもお願いしたい」
「明日とかでも平気ですか」
「ああ、君達の都合に合わせるよ」
「ありがとう」
どうやら人不足でCランク冒険者でも人数を揃えれば臨時で出発出来るよう手配済みの時にも私達が訪ねてきたみたい。
話を聞いていた商人達もこちらへ来て是非明日出発でお願いしたいと申し出てきた。
結果、明日出発でハイノ含めた5つの商隊と冒険者は私達の他にBランク冒険者のチーム4人とCランク冒険者のチーム4人と私達5人の合計13人が護衛として参加、馬車の数は8台と結構な大所帯となった。
護衛冒険者は8時頃集合して打ち合わせ、30分後に門入口にて集合、全て確認が取れ次第出発となったので私達はまっすぐ宿屋へ帰り寝ることにした。
「マスター、大丈夫なんですか?」
「君らは試合を見てないからな。でもあれは凄かったなぁ〜。確かにCランクの冒険証だが、強さは間違いなくSランクだよ」
「「「えぇーーーーー!」」」
「まあ、そうなるよな」
★ ★ ★
翌朝、ギルドでは一悶着あった。
「おいおい、何で護衛リーダーが女でしかもCランクなんかが俺らより上扱い何だよ」
「申し訳ございませんがギルドマスターからの指示でして…」
「ふざけるなっ!」
「ちょっとぉ〜、困ってるじゃない。あなた達がリーダーで、私達は別にいいわよ」
「しかし…マスターからは…」
「いいじゃない。何かあったら全てリーダー責任で」
「女の分際で生意気なんだよ!あぁいいぜぇ〜、何かあれば全部俺達が責任取ってやるよ!てめぇら足引っ張んじゃねえぞ!」
Bランク冒険者のチームのヒュドラがギルドを出ていった後、Cランク冒険者のチームのセイレーンが挨拶にきた。
男性2人と女性2人のバランスの取れたチームでリーダーは以外にも女性の戦士、武器は斧の二刀流と珍しい。
「私はリーダーのグレータ、そして」
「俺は魔術師のボイスだ。攻撃魔法は任せろ」
「私は狩人兼薬師のイーダ、後方支援は任せてね」
「俺は盾使いのライマーだ。君達も危なくなったら私の後ろで態勢を立て直すといい」
セイレーンの人達が丁寧に自己紹介をしてくれたので、私達も自己紹介をする。
するとやはり剣士、拳闘士、魔術師はあっても、錬金術師、ガンナーについてはちんぷんかんぷんだった。
リーダーのグレータだけはBランク冒険者で、とても心強い頼り甲斐のあるお姉さんって感じでセイレーンのみんなとは早くも打ち解ける事が出来た。
そしてギルドを出て門入口まで行くことにした。
次回も月曜日に更新予定です。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。
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