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天使が×ね×ねやかましい   作者: 涼
××宣告
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××な天使3

誠はなんとかこの訳のわからない状況を理解しようと恐る恐る少女に現状を尋ねてみる。


「あ、あの、なんで俺の部屋に、」

「私は天使だ。」

「は?」


目が点になり呆然とする誠。

一番曖昧にしておいてもよかった部分をドストレートに紹介されたのだから無理もないのだろう。

一方誠の言葉を遮ってまで自己紹介をした少女はさも当然のことを言っている、と言わんばかりに微動にしていない。


「死神がおまえの命を狙っている。

だから私は、」

「ぴゃっ!?」


淡々としゃべろうとする少女の言葉を遮ぎり、ボーリングの玉を床に落としたような音と小さな悲鳴が部屋に響き渡ると、音と連動するように誠は肩をビクつかせ、音のしたテーブルの方へ慌てて目をやる。

するとそこには車のタイヤ程の大きさの黒く丸い塊がうねうねとうごめいており、微かにむー、むーと息苦しそうなうなり声も聞こえる。


「つ、次はなんなんだよ。」


次から次に変わりゆく状況に不安を隠せず固まる誠であるが、固まったのは誠だけでなくなぜか自称天使の少女まで目を点にして固まっている。

そんな中、不意にうごめきと声が止んだかと思うと、黒い塊から黒い棒が天井近くまで突き出てき、棒の先端近くからは三日月を半分に割ったような黒い刃がジャキンと音を立てて飛び出した。

一瞬ともいわんばかりの時間で巨大な鎌が完成し、ひきつり気味の表情の誠であるが、鎌の完成に呼応するように黒い塊も変化を始めた。

丸い塊だったものは溶けるように形を変化させていき、黒い塊から靴を揃えたような状態の足が膝半分程まで出てくると同時に、塊の上部からはふわりと風に舞うように深海のような深い青色の長髪が舞い出てくる。

それから塊はどんどん人の形を形成していき、最終的に鎌を脇で抱え体操座りをしうつ向いている黒いフード付きのワンピースを着た子どもへと変貌を遂げた。


そして、未だにひきつり気味の表情の誠を余所に、その子どもはうつ向いたまますくっと立ち上がると、顔をキッ持ち上げ誠を指差す。

まっすぐ切り揃えられた前髪に隠れ気味のタレ目な目元にはなぜか涙が浮かんでおり、顔は紅潮していた。


「仙道誠!その命貰ったぁ!」

「いや早いわっ!出てくんの早すぎるわっ!!

今出てきたら訳わかんないでしょうが!」

「ひぃ~ベルちゃんごめんよぉ」


可愛らしく少し舌足らずな声が部屋に響いた瞬間、今まで微動にしなかったベルと呼ばれた少女がこれでもかと黒ワンピースの少女にまくし立て、黒ワンピースの少女は頭を抑えながら慌てて屈みこんでしまう。

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