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天使が×ね×ねやかましい   作者: 涼
××宣告
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××な天使1

ふと気が付くと、誠は背もたれ付きの椅子に深く座っていた。

座ると言ってもふんわりと浮いているような感覚で、まるで水中の中にいるような感覚だ。

周りを見渡すが真っ暗で何も見えず、静まり返っている。

そんな時、映画館で映画の始まる前に鳴り響くようなブザー音が響くと、カタカタとフィルムが回る音共に目の前に映像が流れ始めた。


映し出されのは、夏を感じさせるような青い空と大きな入道雲。

ピアノやハープの音が似合いそうなものだが、流れてきたのはこの世の終わりかのようのな重音が効いた音楽であり、その不釣り合いさが恐怖心を煽ってくる。

それから映像は下の方へスクロールしていき、次第にビル群やマンションなどが映りだしたのだが、


「誠ー!

いい加減起きなー!!」


聞き慣れた怒鳴り気味の声に映像を掻き消され、ぼんやりと目を半分開ける。

見慣れた天井に、目線をそらすと見慣れた机、椅子、勉強机、カーテンの隙間からは眩い光が差し込んでいた。

この時、ようやくさっきまで見ていた物が夢だったということを自覚したのだが、重たい瞼は再び閉じられ、意識が飛んだ。


よく夢の続きが見たければ二度寝しろ、などと囁かれることもあるが、大抵は違う夢になってしまったり、良くても所々似ている程度なのだろうが誠の場合は違った。

水の中にいるような感覚、真っ暗な空間、ビル群の映像、不釣り合いな音楽。

何もかも先程の夢とまったく同じなのだ。


「夢、なんだよな。」


頭の整理が追い付かず、冷や汗を流しながら目を点にしている誠を余所に映像は進み続けた。

ビル群の足元に並び立つ住宅街までが映し出されると、突然映像が暗転し、今度は住宅街を主観で走っている映像に切り替わる。

いや、走っているというよりは少女に手を引かれ、半ば強引に走らされているようだ。

少女の体つきからしてまだ片手で歳を数えられるくらいの年齢に見え、水色のフリルのワンピースと麦わら帽子が良く似合っているが、前を向いているため表情はわからない。

一方手を引かれて走っている子は、肘から下しか映っておらず、表情はおろか性別すらわからない。

少女の素顔が気になる、と言わんばかりに誠が映像に集中していると、少女が不意に振り返りそうになった時だ。

ドン!とけたたましい音が部屋にこだまし、誠は電気ショックを浴びたかのようにビクリと飛び起きてしまう。

何が起きたのかまったくわからない誠は慌てて上半身を起こし辺りを見回すが、特に何もかわりなく、強いていえばカーテンから差し込む光が強くなったくらいであった。

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