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落日の国  作者: 青山 樹
第二章 『国防軍』
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第十四話 『俺は生きる』

 その日の夕食の席でハルはリオ達に、昼間に出会った婦人のことを話した。

 ヒカルとフタバは婦人の主張などただの理想論に過ぎないと断言したが、リオは「その人達の言い分にも一理あると思う」と言った。


「私もさ、互いに軍事力の増強を続けているだけじゃ、対話の道は遠ざかるだけだと思う」


「そうかもしれない。でも僕は、対話で解決できる段階はとっくに過ぎていると思う」


「うーん……。じゃあハルは、どうすればこの戦いが終わると思う?」


「そうだね……、西日本が東日本を制圧して再統一を果たすか、あるいは西日本が東日本の自治や独立を認めて別々の国になるか、そのどちらかだとは思うけど」


 それを聞いたシュウは、乾いた笑い声を出す。


「ずいぶんと楽観的だな。西日本が東日本に制圧されるとは思わないのか?」


 するとヒカルはシュウをにらみつけて言った。


「負けることを前提に戦う奴なんかいないだろ」


「そりゃ向こうだって同じさ。なあ、ヒカル。前々からお前さんに聞きたかったんだけど、勝つために死ぬか生きるために負けるか、そのどちらかしか選べない場合、どっちを選ぶ?」


「……意味のない質問だな。そんなの、勝って生きるしかないだろ」


「それじゃあ質問の答えになってないな。昼間の平和ボケババアと同じ、卑怯者の答えだ」


 シュウはリオのほうを見て、にやりと笑う。


「ほらな。対話ってのは、なかなか難しいもんだろ」


 リオはシュウから目をそらす。

 シュウはコップの水を一気に飲みほし、短く息を吐いた。


「俺は生きる。勝ちも負けも関係ないな。何が何でも、生き抜いてやるんだ……」


 シュウは席を立ち食堂から出ようとする。そんな彼にヒカルは言った。


「今夜は十時から夜間哨戒の演習がある。忘れるなよ」


「忘れてねえよ。人間ってのはな、忘れたいことほど忘れない生き物なんだぜ」


 シュウが食堂から出ていったあと、フタバは呆れたように言う。


「なんだかんだで、あいつは絶対に最後まで生き残るだろうね」


 まったくだ、とヒカルはため息混じりに相づちを打った。

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