表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/601

15.4 風なき節目


 ジンとの別れを告げた俺は、カレン達3人と合流し、ヤポンにある家に帰ることにした。


 合流した時にジンがパーティを抜けたことについて3人に伝えると、3人共一様に驚いてはいたものの、やけにあっさりとしていた。


 実際、ジンと出会って1年程度、ウェンディとアイリーンはもっと短いわけだし、かえってその程度の反応は案外普通なのかも知れない。


 むしろ、俺の反応の方が過剰(かじょう)だったのかもな。


 まあ、それも仕方がないことだと俺は割り切っている。


 よく考えてみたら、この世界に来て初めての人との別れなのだから。


 今まで、しばらくの間、親しい人と会わないようなことは多々あったが、もしかしたら今生(こんじょう)の別れになるほどの別れは実は今回が初めてだ。


 元の世界での記憶が(ほとん)どない俺にとっては、人生で初めての人との別れと言っても過言じゃない。


 そう考えれば、俺が人並み以上に別れを惜しんでしまうのも別段おかしな話でもないと思える。


 家のベッドに横たわりながらそんなことを考えていたら、俺はいつの間にか眠っていた。


―――


 そして、その俺が目を覚ますのは7日後のことだった。


 今回は特に女神様に呼び出されるようなこともなかったので、俺の体感時間は普通に寝て目覚めた翌日と同義だったのだが、アイリーン達は(ひど)く心配したそうだ。


 そりゃ誰だって1週間も熱を上げたり下げたりしながら寝込む仲間がいたら心配するってもんだ。


 一度発症(?)すると、次に目を覚ますのがいつになるのか誰にもわからないってのが特に悪質なところだ。


 期間さえわかっていれば、余計に心配させる必要もないんだけどな。


 さて、そんな俺は、と言うと、未だにジンがいなくなったことから立ち直れておらず、心晴れやかとはかけ離れた心中であった。


 まあ、実際7日間、夢を見ることもなく寝ていた俺にとっては昨日の出来事と変わりないわけだしな。


 そんな俺とは違い、他の3人は、と言うと、元より俺ほどの寂しさを感じていなかってと言うこともあってか、1週間経った今ではジンについて触れることすらなくなっていた。


 とは言え、いくらなんでも冷たいのでは?と、思った俺は、俺達の中でも取り分けジンとの付き合いが長く、俺と同程度の付き合いがあったカレンに質問してみた。


「別にジンさんが亡くなった訳ではないんですから、今後また会える可能性はありますしね。それに、ジンさんのことですから、案外あっという間に戻ってくるかも知れませんよ?」


 カレンからはそんな回答が返って来た。


 確かに、そう言われてみると、そんな気もしてきた。


 俺がこんなにも別れを惜しんだと言うのに、ジンは何事もなかったようにあっさり戻ってきた、なんてことは意外に起こり得ることなのかもな。


 そう思うと、いつまでも別れを惜しんでいるのがバカらしくなってきた。


 まあ、寂しいことに変わりはないんだが、それでも気休めにはなった。


 さて、ジンとの別れを惜しむのはこの辺りにするとしても、次は何をしようか。


 俺達の掲げる大きな目標はキメラを生み出している元凶であるゲオルク・フィッツロイを倒すことではあるのだから、次のステップに進むのも悪くはない。


 この間までの魔水晶採掘で軍資金は充分に調達できたことだし、金銭面の心配はないだろうからな。


 まあ、ジンがパーティを抜けてしまったことで、戦闘面での心配はしなければならなくなったがな。


 とりあえず、1人で考え込むのはこのくらいにしておいて、そろそろみんなを集めて話し合うとするか。


 せっかくだから今回はメアリーも交えて話し合うとしよう。


 どのみちメアリーにもジンのことを伝えなければならないしな。


 そう決めた俺は、カレン達に今後の活動内容を決める話し合いを開いたい(むね)を伝えて、みんなでメアリーのいる帝都の城へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ