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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
14 セートの日常(?)
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14.12 Get Wonderful Weapon


 城を去った俺達は商用区を訪れていた。まあ、俺達と言っても俺とジン、アイリーンの3人なんだが。


 と、言うのも、アイリーンと俺の武器が先のゴーレム戦でダメになってしまったので買いに行こうと言う話になったからだ。


 俺の魔術を使えば、ダメになった剣を元に戻すことは造作もないのだが、人間、大事なことには過ぎてから気付くもので、俺がそれに気付いたのは今朝のことだったりする。


 さて、そんなわけで俺達3人は、高額であるものの良質な武器を販売しているサムさんの武器屋を訪れた。


 俺達が店内に入ると、店主であるサムさんが奥から出てきた。


「いらっしゃい。おや?ヒイラギさんとクロスさんではないですか。今回も武器の新調ですか?」


「ああ、はい。そんなところです」


 ジンのことを「クロスさん」って呼ぶ人は珍しいな、なんてことを考えながら俺は返事をした。


「では、順番にお話を聞かせてもらうので、ヒイラギさんからこちらに来ていただけますか?」


「はい、わかりました」


 俺はサムさんと共に店の奥へと向かった。


「それで、本日はどのような武器をお求めでしょうか?」


「実は前に買った『両断の剣』の刃をダメにしてしまったので、直して欲しいのですが」


「剣の状態を見せていただけますか?」


「はい」


 俺は「両断の剣」を取り出し、サムさんに見せた。


「これくらいなら、新品を買うよりも安い価格で直せますね」


「本当ですか?それならお願いします」


「承りました。ついでに他の剣の点検もいたしましょうか?」


「あー、そうですね。お願いします」


 俺は残りの5本の剣を全て取り出した。


「あっ、そういえばヒイラギさんが購入した剣は旧式でしたね」


 俺が取り出した剣を見たサムさんは少し驚いたような声でそう言った。


「旧式ですか?」


「はい。実はヒイラギさんがこれらの剣を購入してまもなく金属と魔水晶を混ぜ合わせた魔金属と呼ばれる物質の生成技術が確立されたんですよ。これによってうちの店でも、今までの魔水晶を埋め込む方式から、魔金属で全てを作成する方式に変更しました」


「なるほど、そんなことがあったのですね」


「よろしければ、点検ついでに新しい方式に作り変えますか?材料費はほとんどかからないので、点検料金に少し上乗せする程度で作成できますが」


「ちなみに、新しい方式の利点って何ですか?」


「従来の方式では魔水晶付近に強い力が加わると魔水晶が割れてしまっていたのですが、魔金属に変更することでその辺りの強度面の問題を解決できました。それと、今までは魔水晶によって発生させた炎などを刃に(まと)わせていたため、使い方によってはそれらが刃に纏わない可能性もあったんですが、その辺りも解決していますね」


「あー、なら、お願いします」


「はい、ありがとうございます。あ、『護身の剣』は今見ただけでも点検は必要なさそうなので、お持ち帰りいただいてもよろしいですが、一応点検の対象にいたしますか?」


「いや、そう言うことなら、持ち帰ります」


「承知しました。では、剣5本の点検・改良ということで承ります」


「はい、よろしくお願いします」


 話はついたので、俺はジン達の元へと戻った。


「では、次はクロスさん、お願いします」


 サムさんがそう言うと、今度はジンが奥へと行った。


 あれ?でも、ジンは武器を買わなくないか?


 そう思ったが、ジンもサムさんのところについて行っているし、きっと武器を買うのだろう。


「ねえ、ケン」


 俺がジン達が消えた店の奥の方を見ながら、考えていると、アイリーンに声をかけられる。


「ん?どうした?」


「さっきジンにも聞いたんだけどさ、ここの店の剣って高くない?別にあたしはギルドの既製品(きせいひん)でも良いけど」


「そうは言っても、この間みたいに魔法が使えなくなったらアイリーンの身を守るのは剣一本なわけだしさ、なるべく良いものを買った方が良いんじゃないか?」


「確かに、そうだけど…」


「それにここに並んでいるやつは店の看板商品だから高価で性能の良い物が並んでいるけど、ギルドの既製品より少し性能が良いようなものなら、きっと結構手軽に手に入るんじゃないか?」


「あー、そうかもね。確かにもっと安いのはあるかもね」


 俺は(しぶ)るアイリーンを説得することができた。


 まあ、でも、高いのは確かなんだよな。両断の剣ですら100万ブロンしたからな。今回手に入れた60万ブロンじゃ買うことすらできないしな。


 流石にそこまで性能が特化した剣は買わないにしても、店先に並んでいる剣はどれも20万ブロン超えの高級品だ。ギルドの剣が大体2000ブロンぐらいだったことを考えると、100倍くらいするわけだ。


 アイリーンにとっては剣一本で所持金の多くを持っていかれるわけだからな。ギルドの既製品で良いって言うのもわからなくはない。


 冒険者稼業(かぎょう)は意外と金がかかる、それの真髄(しんずい)を味わった感じだろう。


 さて、俺とアイリーンが話していると、店の奥から話を終えたジンとサムさんが出てきた。


「では、最後に深緑の髪色の方、よろしいですか?」


「あ、はい」


 サムさんに呼ばれて、アイリーンは店の奥へと入って行った。


「ケン!オレもついに魔法使いだよ」


 戻ってきた早々訳のわからないことを言うジン。


 魔法使いってあれか?30歳過ぎても、って枕詞(まくらことば)から始まる不名誉な称号のことか?


 まあ、当然そんな訳はないんだが。第1、ジンにとって30歳なんてまだまだ先だしな。


「どう言うことだ?」


「今までの剣に風魔水晶ってやつを埋め込んで貰って、風の刃を(まと)う機能を追加してもらうことになったんだよ」


「でも、魔力ないから使えなくないか?」


「えっと、それは蓄魔水晶と吸魔水晶ってやつを使って、何とかなるらしい」


「吸魔水晶ってあれだろ?この間のゴーレムにもあったやつだろ?そんなのジンの剣に埋め込んだら、魔法による援護ができなくなるんじゃないか?」


「オレも気になって聞いてみたんだけど、純度が低いから大丈夫なんだってさ。むしろ、周囲の人の魔法発動を邪魔できるほどの純度を持った吸魔水晶なんて(ほとん)ど市場に出回らないらしくて、一般市民は(おろ)か並の貴族でも手に入らないほどの高級品らしいよ」


 あのゴーレムの残骸(ざんがい)、もっと高く売れたのでは?


 今の話を聞いて、メアリーとの取引価格は破格の安さだったのではないかと思う俺であった。


 まあ、これに関してはそのことを俺達に勘付かせないメアリーを褒めるべきだな。


「なるほどな」


「普段は周囲の魔力を少しずつ吸収していって風の刃が使えるようになるらしいんだけど、ほかの人に直接魔力を流してもらえば、急速に魔力を溜められるんだってさ。まあ、使い方は現物を手に入れてから覚えるとして、これでオレの戦闘の幅もが広がるよね。毒の使用もすぐに切り替えられるし、酸を吐き出す敵も風の刃なら斬れるし、硬い体を持つ敵も風の刃を使えば剣を傷めずに試せるし」


 魔法ようなものを使えるようになることが余程(よほど)嬉しかったのか、ジンの話は止まることを知らなかった。


 その後、アイリーンの話も終わった俺達はサムさんの店を後にし、ショッピングを楽しむカレン達と合流した。


 結局アイリーンの剣は6万ブロン程度で収まったらしく、アイリーンは早速買った剣を身につけていた。


 アイリーンは既にできていたものを買ったのだが、俺とジンの方は武器自体の作成に2週間程度かかるらしいので、また取りに来ることになった。

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