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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
14 セートの日常(?)
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14.8 魔水晶売りの冒険者


 俺達が第57番洞窟を探索し始めてから、早1週間が経過した。


 俺達は採掘から保管の流れを確立すると共に、新たな鉱脈を見つけていた。


 前回、スライムと魔水晶を同時に見つけたことに違和感を覚えた俺はこう考えた。


 魔物は魔水晶の魔力に引き寄せられて洞窟に生息しているのだから、スライムを見つけたところの付近に魔水晶があるのではないか、と。


 そこで、俺達が最初にスライムと戦闘を行った入り口から1km地点で辺りを軽く掘ってみると、魔水晶の鉱脈が見つかったのだ。


 そこをカレンが魔法で掘り、俺が収納の腕輪に入れて拠点まで運ぶという流れを何回か繰り返し、あっと言う間に拠点の魔水晶置き場がいっぱいになってしまった。


 そんなわけで、俺達はそろそろ魔水晶の売却へと乗り出さなければならない。


 したがって、今日はカレンと俺で顧客を探そうと王都へ来ている。


「ケンさんの言うまま王都に来ましたけど、魔水晶を買ってくれる人に心当たりでもあるんですか?」


「いや、ない。まあ、適当な魔法道具屋に行けば買い取ってくれるだろう。なんて言っても破格の安さだからな」


 採掘と運搬の大部分をカレンに頼っている俺達の魔水晶はコストが全くと言って良いほどかかっていないため、平均的な魔水晶の取引価格の半分程度の価格設定で取引ができる。


 しかも、利益率は倍になっているというオマケ付きだ。


 さらに、セート産の質の良い魔水晶と来れば、買わない理由なんてないのだ!


 俺達の億万長者ライフはもう目の前だ。


―――


 そんな俺の考えはいとも簡単に打ち砕かれた。


 王都中のありとあらゆる魔水晶を使いそうな店に売り込みを行ったが、買ってくれる店は1軒もなかった。


 買ってくれなかった理由としては2つ。


 1つ、質の良い魔水晶をありえない低価格で売り込むのは明らかにおかしい。


 これは納得だ。新参者が良いものを格安で提供しますよと言ったところで信頼できるはずがない。詐欺かと疑うのも納得がいく。


 2つ、俺が柊健だから。


 これに関しては正直言われるたびに殴りたい衝動に駆られた。それ程までに納得できない。まあ、王都に俺の悪い(うわさ)蔓延(まんえん)しているから、正直こうなるとは思っていたのだが、それにしても不服だ。


「ケンさん、どうしますか?」


「て、帝都に行こう」


「帝都で同じように店を探すんですか?」


「ああ、だが、とりあえずメアリーに話をしてみてからだな。流石にメアリーのお膝元で勝手に商売はできないだろう」


「それもそうですね」


 そんなわけで、俺達はメアリーのいる帝都の城へと向かった。


―――


 例によって、顔パスの城門を潜り抜けると、応接室に通された。


 数分待っていると、ノックの後に部屋の扉がガチャリと開く。メアリーのことだから飛びかかってきたりするのでは、と身構えた俺であったが、扉から入ってきたのはメアリーではなかった。


「メイさん?」


「はい、お世話になっております。ただ今、姫様は会議中でございまして、しばらくお待ち頂ければと思います」


「会議ですか?」


「はい、帝国の財政状況の把握と今後の指針の決定の会議です」


「そんな重要そうな会議が開催されていることを部外者の俺が知っても大丈夫なんですか?」


「ええ、どんな会議が行われているかくらいであれば、お伝えしても差し支えがないかと。それに姫様からは、ケン様には何をお伝えしても構わないと仰せつかっておりますから。なんでも、未来の夫婦の間に隠し事などあってはならないからだそうです」


「は、はあ、なるほど」


 朝から何軒もの店を(めぐ)り、商談を断られ続けた俺には突っ込む気力がなかった。

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