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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
14 セートの日常(?)
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14.1 傷跡


 戦いの決着から5日が経った。


 セートの街へ襲来した「怠惰」による攻撃は、冒険者達の必死の防衛によって住人こそ誰一人として亡くなるようなことはなかったのだが、街の建物には大きな損害を与えていた。


 誰一人として亡くなることがなかったというのは、非常に幸いなことではあったのだが、それは必ずしも最良の結果を残したわけではなかった。


 なんと一部の住人がギルドへの損害賠償を請求してきたのだ。その一部の住人の団体は、主に先の襲撃によって大きな怪我をした者や住居に甚大(じんだい)な被害を受けた者によって構成されており、その人達の言い分によると、冒険者達が全力で討伐作業を行えば街への損害は減ったため、今回の損害の大きさはギルドの怠慢の大きさを示しているのだそうだ。


 俺の聞いた話では、あの時ギルドも全力を尽くして状況の把握と冒険者への指示や支援をしていたそうなので、俺個人としてはギルドの怠慢はなかったように思える。


 それに王都での「憤怒」襲来時には多くの冒険者が亡くなったことに比べれば、同クラスのキメラによる街への襲来を死者0で終わらせたのは、それこそ勲章レベルの成果だと言えよう。


 しかし、これは「憤怒」襲来を知る俺だから言えることだ。


 平穏な暮らしを急に壊された住人にとっては、そうは思えないのであろう。特に死者が出ていない今回の場合では、命だけでもあって良かったという感情よりも、なぜ自分がこんな被害を被らなければならないのかという感情の方が優先されてしまっているのかも知れない。


 最良の方法で最良の結果を残したはずが、最良の状況になっていないというのは何とも皮肉な話であった。


 そんな皮肉の利いた今の状況は、まるで「怠惰」の策に()められている時のようであった。


 さて、今までの話をまるで全て自分が体験したことのように話していた俺であるが、実はこの話、(ほとん)どはさっきカレンから聞いた話で、それに自分の知っていることを少し付け加えただけだったりする。


 それもそのはず、例にもよって俺はついさっきまで寝込んでいたのだ。


 これが「魂の名前」の効果による高熱だとしても、人々が事後処理に(いそ)しんでいる中で1人だけ寝込んでいると言うのはなかなかに申し訳ない気持ちになるものだ。


 カレンは「キメラを倒したわけですから気にしなくても良いですよ」と言ってくれていたが、事後処理も含めて討伐な訳だからそういうわけにはいかない。そう、例えるならば、料理を作ったことに満足して食後に食器等を洗わない自称家庭的な夫みたいなものだ。奥さんからしてみれば、片付けもしないのに、家事やってるぜ顔をされたら不愉快極まりないことだろう。


 それどころか俺の場合は寝込むことで余計な手間や心配をかけてしまっているのだから、なお悪質だ。


―――


 そんなわけで、今日から早速バリバリ働こうと思う。


 と言っても、大きな瓦礫(がれき)や倒壊の恐れのある建物など、早急な対応が必要とされるものに関しては、(おおむ)ねカレンが魔法で片付けてしまっていたので、(ほとん)ど雑用みたいな仕事しか残っていなかった。


 本当、カレン様様だ。

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