12.1 水晶の街へ
1ヶ月間の魔法留学を終えたウェンディとアイリーンを迎えて、俺達はとうとう家具代稼ぎを始めることとなった。
そういえば、俺達が家を空けている間の管理はマイちゃんが担当してくれることになった。この間の罪滅ぼしに何かしたいとしつこく頼むケビンさんに留守中の家の管理の提案したら、何故かマイちゃんが担当してくれることになったのだ。まあ、マクスウェル家の中でどんな会話があったかなんて俺が知る由も無いが。
さて、今回俺達が目指すは魔水晶が名産品の街、セートだ。そこで産出する魔水晶を売っぱらって金を稼ごうというのが今回の魂胆だ。
そもそも魔水晶とは魔力に何らかの反応を示す水晶の総称で、日常で比較的よく使われている物質である。
水晶と言えば、特定のところでよく採れる物であるが、魔水晶は比較的どこでも採ることができるのが特徴だ。
では、なぜわざわざ、セートなどと言う場所に行くのか?
それは、セート産の魔水晶は非常に高値で取引されるからだ。
そもそも魔水晶は自然界の魔力により地質に含まれる物質が変質してできたものであるが、初めは全て純魔水晶(単に魔水晶とも呼ばれることもある)というどんな魔水晶にも変化できる物なのである。そして、その純魔水晶が埋蔵されている周囲の環境によって徐々にそれぞれの魔水晶へと変化していくのだ。
つまり、ワイルドカードのような存在の純魔水晶は高値で取引されるわけだが、セート産の純魔水晶は採掘された魔水晶内の純魔水晶の割合が高いのでさらに高値で取引されるというわけだ。
しかし、王都の南南西方向にあるセートは、王都からだと馬車で2週間程度かかる距離に存在しているため、例え王都で取り寄せたとしても、純魔水晶の移動に金がかかってしまうのである。
では、もし俺達がセートに行き、カレンがセートで魔法陣を書いたとしたらどうだろう?
テレポートの魔法で運べば、本来ならばかかるはずの移動のための金がかからない。要は、同じ値段で販売したとしても、利益が大きくなるのだ。
さらに、王都のみならず、ヤポンや帝都でも販売をすれば、格安で魔水晶を提供しつつも、俺達が得る利益は従来よりも大きくすることができるのである。
刻印式魔法がマイナーかつ手間と魔力のかかる魔法で助かった。おかげで俺達はこの商売でぼろ儲けできそうだ。
そんなわけで俺達は今回セートへ行くことになったのだ。
―――
日が昇ってまもなくの早朝、準備を整えた俺達はまずヤポンから王都へとテレポートの魔法で移動した。
なぜなら、ヤポンからセートへは直接向かうことができる道が整備されていないため、移動するとなるとどの道王都を経由しなければならないからだ。
王都へと到着した俺達はそのままの足でセートへ向かう。時差の関係でまだ日も登っていない王都の南側の道を俺達は進んだ。
まあ、進んだと言っても、いつも通りカレンが「ウインドアーク」という魔法で風の舟を作り、俺達は乗っているだけなのだが。
10日程度の旅がまた始まる。




