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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
11 久方ぶりのヤポン
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11.9 ニューランズ姉妹の魔法留学


 クリフさんの指導の下、1ヶ月間魔法の勉強をすることが決まった決まったニューランズ姉妹は翌日から早速クリフさんの研究棟を訪れていた。


 研究棟に到着するや否や2人にはそれぞれ1枚ずつ、詠唱名と魔法名、それと詳細な説明が書かれた紙が手渡された。


「これが、この1ヶ月間で御二人に覚えてもらおうと思っている魔法の一覧です」


「すいません、ありがとうございます」


「ありがとうございます。ところで、この魔法名の横に書いてある数字はなんですか?」


「これはですね、私が予想した習得までにかかる時間です」


「魔法によって、数字の大小が大きく違っていますね」


「それはですね。使い手の有無で変わっているのです。本来であれば、実際に魔法を使える人をお呼びして魔法を使っている様子を見てもらうのが習得の近道ではあるのですが、今回選定した魔法は御二人の戦い方を主としているので、魔法によっては使い手が少ないのです。そう言った魔法については魔法の様子を的確に想像することで習得するしかないので、どうしても期間がかかってしまうんですよね」


「なるほど、わかりました」


「ちなみに、アイリーンさんの方は、比較的現在覚えている魔法に近いものを揃えたので、想像は比較的容易だと思います。小道具も用意していますし。ウェンディさんの方はカレンさんが魔法を使えるので、臨時講師としてお呼びするつもりなので安心してください」


「わかりました、ありがとうございます」


 そんなわけで、2人の魔法留学は順調な滑り出しを見せた。


―――


 2週間後、俺は魔法習得を頑張っている2人の様子を見に来た。


「こんにちは、クリフさん」


「あ、ケンさん。お疲れ様です」


「どうですか、2人は?」


「御二人とも計画通り順調ですね。カレンさんが協力していることもあって、魔力切れを考慮しなくて良いのが幸いです」


「えっと、『魔力切れを考慮しなくて良い』とはどういうことですか?」


「本来であれば、練習の時点でも魔法の成功失敗に関わらず、魔力は消費してしまうものなんです。しかし、カレンさんが御二人に魔力を分け与えてくださるので、魔力切れが起こらないんですよ」


「魔力の受け渡しなんてできるんですか?」


「ええ、『ギブ』という魔法を使えば、できますよ。それにこの魔法は体力や気力などの受け渡しもできますから、非常に便利な魔法です」


「なるほど、わかりました、ありがとうございます。それにしても、2人が順調で良かったです」


「ええ、御二人とも、超能力はありませんが、根気はあるので習得は早いです。それに、アイリーンさんは器用で想像力も豊かなので、超能力はないですが魔法の才能はあると思いますよ」


「なるほど、俺には魔法を使えるまで練習する根気が無いので、そう聞くと2人を尊敬してしまいますね。そういえば、刻印式魔法って練習無しでも使えるんですよね?」


「はい、その通りです。ただ、刻印規則は覚えないとダメですけどね」


「刻印式魔法でなんか良い魔法ありませんかね?」


「そうですね。比較的簡単なものだと『オーダー』ですね」


「どんなものなんですか?」


「紙に鉛筆などの筆記用具で命令文を記入して、その命令をさせたい無生物に押し付けて魔力を流せばその命令を果たさせることができるというものです」


「なかなか面白そうですね。その魔法の刻印規則はどんな感じなのですか?」


「そうですね、こんな感じです」


 そう言うと、クリフさんは紙を取り出して、書き始めた。


***


オーダー:

条件;生物の身体に触れた時;

閉じる:


***


「なるほど」


「そして、これを適当な物、今回は本にしますね。この本に押し付けて、魔力を流します」


 そう言ってクリフさんは本を開いて、魔力を流した。すると、一瞬、本が白くうっすらと光った。


「これで完了ですか?」


「はい、触ってみてください」


 俺が恐る恐る開いた本を触ると、俺が触った瞬間、本は再びうっすらと光り、ゆっくりと閉じた。


「おお、本当に閉じた」


「まあ、でも、1度発動する毎にこの紙を押し付けて魔力を流さないと、再び使えないんですけどね。使い勝手が悪い分、刻印規則は簡単なんですけど」


 つ、使えねえ。


「ちなみに、本を閉じた状態でそのオーダーを使うとどうなるんですか?」


「条件を満たした時にうっすら光って終わりですよ、当然効果も切れます」


「なるほど」


「そういえば、この刻印式魔法の利点はもう1つありますよ。この魔法は刻印者に限らず、誰でもこの紙を押し当てて魔力を流せば使用することができます。ケンさんもやってみてください」


 クリフさんから紙を受け取った俺は、本を開くとクリフさんがさっきした通りに紙を本に押し付けて魔力を流すと本はうっすらと光った。紙を離した後、もう1度本を触ると、やはり本はゆっくりと閉じた。


「本当だ。これは以外と便利ですね」


「はい。しかし、この紙を使う人物が書いてある内容を理解できないと使うことができないので、注意が必要です」


「わかりました」


 その後、俺は細かい刻印規則を学んだ後、カレンと共にヤポンへと帰った。


 ウェンディとアイリーンの様子を見に行ったはずなのに、結局2人に会えていないのは内緒だ。


―――


 そして、さらに2週間後、計1ヶ月の時を経て、ウェンディとアイリーンの魔法留学は終わった。


 2人が覚えたという魔法のリストを見せてもらうと、結構な数であった。


 コツコツと努力を続けたニューランズ姉妹と努力を嫌って魔法の勉強などまるでしなかった俺、たった1ヶ月だと言うのに、両者の間には確かな隔たりができていた。


 努力って大切なんだなあ。

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