11.6 ミヤモト家探訪
ヤポンへ戻ってから早数日が経ち、俺達もこっちでの生活に慣れ始めていた。
そんなある朝のこと。
宿屋の1階で朝食でも食べようと、俺が階段を降りると、朝食を終えたであろうカレンと鉢合った。
「おはようございます、ケンさん」
「おはよう、カレン。もう朝食食べてきたのか?」
「はい、ちょっと出かける用事がありまして」
「どこ行くんだ?」
「実家です。本当は帰ってすぐにでも行こうかと思っていたんですが、ケンさんが熱を出したり、巨大なシロップベアーを倒しに行ったりとドタバタしてて行けていなかったですから」
「なるほどな」
そういえば、カレンは15歳になって間もなく、1人で生活してみろと家を追い出されたんだったか。きっと厳しい両親なんだろうな。
「あ、ケンさんもついて来てもらうことってできますか?」
「何でだ?」
「父に私がちゃんと冒険者として生活できていることを証言して欲しいんです。あの人、私の言うことなんてきっと信じてくれませんから」
「わかった。じゃあ、急いで朝食食べて用意するからちょっと待っててくれ」
「そんなに急がなくて良いですよ。ただ朝のうちに挨拶に行こうと思っていただけですから」
カレンの声を背中に受けながら食堂兼酒場へと急いだ。そして、俺はサンドイッチ(ツバサさんの謹製、めちゃくちゃ美味い)を味わいながらも迅速に口に運ぶと、ダッシュで部屋へ戻り、テキパキと着替えた。
結果、カレンよりも早く準備ができてしまい、俺の方が待つこととなった。
―――
その後、カレンが準備を終えるなり、俺達2人はカレンの家へと向かった。
「カレンは家に帰るのいつぶりなんだ?」
「そうですね。出ていったきりなので、9ヶ月ぶりぐらいですね」
「前にヤポンにいた時は家に帰っていなかったんだな。そんなに顔を出していなかったら家族も心配するだろうに」
「これくらいの期間で良いんですよ。きっと、あの人は私のことなんて気にも留めていませんから」
あの人ってのはさっきの会話の流れからしても父親のことだろう。2人の関係は険悪なんだろうか?
「そんなこと言うなよ、親はいつだって子供のことを心配しているものさ」
「どうでしょうね。着きましたよ」
カレンに言われるがままに顔をカレンの見ている方に向けると、なかなかに立派な屋敷が立っていた。
帝都で訪れたビクティム男爵ほどの大きさではないものの、1人で掃除をするのは大変な大きさだ。
「…カレンお嬢様」
「何ですか、その気持ち悪い呼び方?別に大したことではないですよ。ミヤモト家が力あった頃の名残です。今はもうお金も権力もほとんどないですよ」
カレンに着いていき、屋敷の敷地へと入る。
しかし、カレンは1番目立つ屋敷へと向かう訳ではなく、屋敷の裏手へと進んでいるようだった。
「家族に挨拶するんだろう?どこ行くんだ?」
「父のところです。あの人はきっとこの時間、道場で刀でも振るっているはずですから」
カレンはそう言うと、屋敷の裏手にある道場へと入っていく。
俺もカレンについて道場へと入ると、そこには1人の男が日本刀で素振りをしていた。俺達に背中を見せるように立っているので、顔は見えない。ただ、その背中を見ただけでも刀の達人ということは明らかだ。
「お父さん、お久しぶりです」
「カレンか、何しに来た?」
カレンのお父さんはこっちを見ることなくそう言って、素振りを続けた。
「顔を見せに来ました」
「そうか、今までろくに顔も見せに来なかったのに、今更か」
「ええ、あなたに認めてもらえるぐらいの功績を出すまでは帰らないと決めていましたから」
「じゃあ何か?今日ここに来たと言うことは何か功績があると言うことか?」
「はい、そのために今日は私の冒険者仲間を連れて来ています」
カレンのお父さんの素振りが止まる。お、自己紹介する流れかな?
「はじめまして、カレンと冒険者活動をしている、柊健です」
俺が自己紹介すると、カレンのお父さんは振り向く。そして、そのまま俺へと斬りかかりながらこう言った。
「お前がカレンを、娘を何ヶ月も連れ回していたのか!!」
真剣白刃取り。持ち前の反射神経が光る芸当だ。これ、本物の刀じゃないか。
カレンのお父さんが激昂しながら振り下ろす日本刀を両手で抑えながら、俺は問う。
「い、いきなり何ですか!?」
「お前がカレンを連れ回していたんだろう!?でなければ、カレンがこんなにも長い間家に帰ってこないはずはない!」
まあ、最初に王都へ行こうと言ったのは俺だし強ち間違いではないが。てか、なんか聞いていた話とキャラ違くないか?もっと娘に無関心な感じだった気がするのだが。
「誤解、誤解ですよ!」
「冒険者仲間と言う言葉でカレンを縛り付けて、2人きりなのを良いことに、カレンに淫らな行為を強要したりしたのだろう!?カレンはまだ15歳だぞ!!」
ちょ、本当にそれはない。それはもう誤解じゃなく妄想だ。
うお、力強い、このままだと真っ二つになる。
「ちょっと、お父さん!やめてください!私は私の意志でこの家に帰って来なかっただけです。それに他にも仲間はいます。ただケンさんは私達のパーティのリーダーだから今日来てもらっただけです」
「…そうか」
娘の言葉に冷静になったのか、カレンのお父さんは刀を下ろす。
「た、助かった」
安堵のあまり、俺は思ったことがそのまま言葉に出る。
「ヒイラギ・ケンと言ったか、少し話がある」
「は、はい!」
恐怖心のあまり脊髄反射の返事だ。
「カレンは自分の部屋にでも戻っていなさい」
「私もここにいます。また、ケンさんに斬りかかられたら嫌ですから」
「カレン、良いから部屋に行っててくれ。多分大丈夫だから」
「ケンさんがそう言うなら…」
カレンは自分の部屋へと戻っていった。
カレンの姿が見えなくなると同時に、カレンのお父さんは口を開く。
「ヒイラギさん、まずは先程の非礼を詫びよう、すまなかった」
「いえいえ、お気になさらず(社交辞令)」
「私はカレンの父で、現ミヤモト家当主のミヤモト・ジュンイチだ。私は娘のこととなると周りが見えなくなる質でな」
「それと、娘の前では素直に話せないんじゃないですか?」
「なぜ、それを!?」
今までの行動や言動から察せるだろうよ。
「まあ、見てればわかりますよ。それで話ってなんですか?」
「カレンは、どうだね?」
「頼りになりますよ。カレンは魔法の才能があって、強力な魔術が使えて、正直リーダーの俺が足を引っ張っているんじゃないか、なんて思うことも良くあります」
「本当か!?」
うわあ、すごい喜んでる。
「本当ですよ。カレンの話しぶりからしても、ここに住んでいた頃は魔法と縁がなかったようですから、驚くのも無理はないですが」
「そうか、それで君はカレンのこと、と言うよりは我が家のことをどこまで知っているんだ?」
「そうですね、個人的なことは特に話したりはしませんから、どこまでって言われても困るのですが。まあ、15歳になった時に1人で生活してみるように言われて家を出たことぐらいですかね」
「そうか、まあ、そうだろうな。わざわざ自分から話すことでもあるまいしな。君には話しておこう、これからもカレンと旅をしてくれる仲間なのだろう?」
「はい、そうですね」
正直過去のカレンがどうであろうと、俺は今のカレンが良い仲間であると言う事実だけで充分なので、聞かなくても良いかなとも思ったけど、真っ二つにされては敵わないので聞くことにした。
「実はカレンはな、昔はもっと笑う子だったのだ。それに活発でよくその辺を走り回っていたよ。でも、そんなカレンはある事件を境に、めっきり笑うことが少なくなった。外にも出なくなり、書斎に籠って内容も理解できないであろう本ばかり読んでいたよ」
「ある事件?」
「そう、私の妻、つまりはカレンの母親は強盗団に襲われて見るも無惨に殺されてしまったのだ。そして、その母親の亡骸をカレンは見てしまった。当時のカレンは母親にべったりだったからな、そんなカレンにとってそれは最も絶望的な光景だっただろう」
そう言うジュンイチさんの頰はいくつもの涙が流れ落ちていた。
「このヤポンで、ですか?」
「ああ、君もその頃は子供だったと思うし、知らないと思うが、昔のヤポンは今ほど治安は良くなかったのだ。むしろ、その事件があったからこそ、ヤポンの治安は良くなったと言っても良い」
「どう言うことですか?」
「治安が悪いと言っても、万引きやスリ、傷害などが主で、悪いことはわかっていても被害の小ささから誰も何とかしようとはしなかったのだよ。でも、そんな中、強姦殺人事件という、最悪の事件が起きた。この件を受けて、その時の街の長、サトウ・ヒコマロ氏が重い腰を上げたのだ。その事件を起こしたと思われる強盗団を捕まえると、その全員を火刑に処したのだ。当然、被害者遺族である私とカレンはその場にいたわけだが、あの強盗団の呻きや叫びは未だに脳裏に焼き付いているよ。それほどに衝撃的な光景だった」
「そんなことがあったんですね」
「それからと言うもの、ヤポンの治安は劇的に良くなったよ。処刑を恐れた者達が悪さを辞めたと言うのもあるが、それ以上に兵士達が以前よりも取り締まるようになったのだ。やはり兵士達も上の意志を尊重するからな」
「なるほど、それでカレンはどうなったんですか?書斎に引き籠るようになったなんて、今のカレンからは想像もつかないです」
「思えば、私も悪かったのかも知れない。母親がいないあの子に対して、少し厳しくし過ぎたのだ。当時の私は父親の目線だけでなく、母親の目線からも躾ける必要があると考えたからな。でも、それは心が不安定だったあの子に対して酷だったのだろう。カレンは私を避けるようになった。そこから10年間同じような生活をしていた。引き籠るカレンを外へ連れ出すこともできずに、顔を合わせれば説教ばかり、今思い返すとそれがカレンから笑顔を奪った原因なのだ。あの時、あの子に必要だったのは躾ではなく愛だったのだろう」
「でも、カレンは家を出たんですよね?」
「ああ、ある日私は思ってしまった。もし、このまま私が死んでしまったら、カレンはどうなるのかと、5歳から外に出たこともない、躾、躾と言っていた割に、それらはカレンの身に付いていない。そんなカレンがいきなり1人で生きることはできないと思った。だから、私は心を鬼にして15歳になったカレンを家から出すことにしたのだ」
「なるほど、そう言った経緯があったんですね」
「私はカレンはすぐに帰ってくると思っていた。何もできないあの子のことだ、宿代として渡した金がなくなれば生活ができなくなり家に帰って来るだろうと。だが、私はそれでも良かった、回数を重ねるうちにどんどんと世間に馴染んでくれれば。そして、いずれ花屋なんかで立派に働いてくれるようになれば、私は思い残すことなく死ねるのだから。そう思っていた私に反して、カレンは全く帰って来なかった。私は、これ以上ないくらい心配したよ。なぜなら、カレンは何もできないのだから」
「すいません、出会って1年も経っていない俺が、生まれてからずっと見てきたカレンのお父さんに言うのもなんですが。あなたはカレンのことを侮り過ぎです」
「なんだと?」
ジュンイチさんの右手の日本刀がカタカタと小刻みに震える。
真っ二つに斬られるかもしれないこの状況に俺の口は重くなったが、カレンの名誉のためにも俺は、口を開き続けた。
「確かにカレンは心配性で誰かが手を引かなければその場に留まろうとするような保守的な人間です。だけど、何もできないわけではない。自分ができることならば最善を尽くそうとするし、任せた仕事はちゃんと果たしてくれる。それにカレンは頭だって良い。あなたは『書斎に籠って内容も理解できないであろう本ばかり読んでいた』と言っていましたが、その引き籠っていた時間は確実にカレンのためになっています。カレンは知っていたんです、『柊』という苗字がヤポンに存在しないことを、依頼の討伐対象がどんな生物であるのかを。だから、俺はカレンが何もできないなんて思いません!きっかけさえあればカレンは1人で生きることぐらいいつだってできたんです!」
マシンガンの如く怒涛の速さと量で俺はジュンイチさんへと言葉をぶつける。
こんなに言いたいことを言いたいだけ言ったんだ、斬られても仕方がない。
そう、俺は覚悟を決めた。
「そうか、あのカレンが誰かにそう言わしめるほど立派になっていたのか」
ジュンイチさんは魂が抜けたような声でそう言った。カタカタと震えていた日本刀はジュンイチさんの右手を抜け出すと、道場の床に突き刺さる。
「ええ、しかもカレンを認めているのは俺だけではありません。今やカレンは王国からも帝国からも認められている素晴らしい冒険者です。それに、あなたは知らないだけで、カレンは最近よく笑うようになっているんですよ」
予想に反した現状に驚きながらも俺はそう付け足した。
ほんの一瞬、沈黙が場を制する。
「ヒイラギさん!」
「は、はい!」
ジュンイチさんの声は大きく辺りに響いた。
「あなたがカレンに出会ってくれて本当に良かった。一方的にカレンに言葉を押し付けていた私よりも、互いにカレンと言葉を交わしたヒイラギさんの方が、カレンのことをわかっていたようだ。娘に出会ってくれてありがとう」
「そんな大袈裟ですよ」
「そして、すまなかった、先程いきなり斬りかかってしまって」
「もう、それは良いですって」
「実は私は数ヶ月前、心配のあまりカレンを捜すために街に出たのだ。しかし、街にあるありとあらゆる商店を捜してもカレンの姿はなかった。もしやと思い、私はギルドへと向かった。そこで冒険者に話を聞くと、カレンと特徴の一致する冒険者がいたらしく、その彼女は男と2人でパーティを組んでいるという。しかし、その冒険者は最近見ないと言われ、私は不安になった。もしかしたら、その冒険者はカレンで、依頼の中で死んでしまったのではないかと」
「何の話ですか?」
「私は考えた、カレンが冒険者なんて自ら選ぶはずがない。きっと生活費のために、その男に無理矢理働かされていると思った。だから、今日カレンが帰ってきて嬉しかったとともに、仲間だと言う男が現れて激しい怒りに駆られた。それで思わず襲いかかってしまったのだ。本当に申し訳ない」
何を長々と話しているのかと思ったら、俺に斬りかかった理由を述べていたのか。
「事情はわかりましたよ。それより、もっとカレンに素直に接したらどうですか?カレンはあなたに興味を持たれていないと感じていましたよ」
「でも、今更どんな顔をしたら良いか…」
「カレンのことを愛していないのですか?」
「愛している、愛しているに決まっているだろう!たった1人の愛娘だ!いつだって心配しているし、いつだってカレンのためを思って行動している。ただ、いつも空回りしてしまうんだ。私がカレンを思えば思うほど、空回る。こんなにもカレンを、娘を愛していると言うのに!」
ジュンイチさんの熱烈な想いのこもった返答を聞き、俺は道場の入り口の方へと振り向く。
「だってさ、良かったな、カレン。そこに隠れているんだろう?」
俺の声を聞いたであろうカレンは入り口の影から出てくる。カレンが出てきた様子を見て、ジュンイチさんは目を白黒させる。
「ケンさん、気付いていたんですね」
「ああ、さっき気配を感じてな。いつからいたかはわからなかったが。それで、いつからいたんだ?」
カレンは隠れるのが苦手だ。俺がメアリーとデートした時もバレバレだった。
ただ、ジュンイチさんは話に夢中で気付いていなかったようだが。
「そうですね。ケンさんが私を褒めてくれていた所からですかね。ケンさんが私のことをあんなに認めてくれていたなんて、嬉しかったです」
「な!そこから聞いていたのか!?」
はっ、恥ずかしいっ。人の事を褒めている時に、その本人に聞かれるのって本当に恥ずかしいんだよな。
「それに、お父さんも。本当は私のこと、そんなにも思っていてくれたんですね」
「ま、まあな」
2人は照れ臭そうに言葉を交わした。その会話は、この道場に来た時の血の通っていない業務連絡のような会話とは違う、2人の心がこもった親子の会話だった。
10年の時を経て、すれ違い続けた2人はようやく気持ちを通じ合うことができたのだった。
―――
そこからの時間は一瞬だった。
2人の会話は留まることを知らず、弾みに弾んだ。
それはまるで雪融けを迎えた春の川のような勢いであった。
親子水入らずの時間を邪魔するわけにはいかないと感じた俺は一足先に帰ろうかとも思ったが、「私達の恩人だからいて欲しい」と言う2人の言葉に甘えて、俺も時折会話に参加していた。
―――
そして、夕方。
楽しかった時間は終わりだ。
「カレン、本当に帰ってしまうのか?今日ぐらい泊まっていったらどうだ?」
「泊まりたいのはやまやまですけど、またの機会にさせてください。今日ここに来た時は泊まるなんて考えてもいなかったですから、何も準備していなくて。機をみて絶対に帰ってきますから、その時を楽しみにしておいてください」
「わかった、楽しみにしておこう」
「はい!」
2人の会話はもう完全に親子だ。
「そうだ、ヒイラギさん、これを持っていってください」
そう言うと、ジュンイチさんは腰の日本刀を手に取り、俺に差し出した。
「お父さん、それは我が家の家宝ですよ!」
家宝って。受け取り辛いな。
「いかにも。これはミヤモト家初代、ミヤモト・ムサシから96代の私まで代々受け継がれきた名刀、『断魔の右太刀』。初代が鬼を斬り裂いたとされる刀だ。だが、平穏な暮らしをしている私が持っているよりも、冒険者をしているヒイラギさんが持っていた方がきっとこの刀も喜ぶ」
「良いんですか?俺が受け取ったら家宝なくなってしまいますよ?」
「大丈夫だ。それに我が家の家宝はもう1本ある、初代のミヤモト・ムサシは二刀流だったからな。『退魔の左太刀』、初代が鬼の攻撃を退けたとされる刀だ。この1本さえあれば、今のミヤモト家には充分だ。だから、遠慮することはない貰ってくれ」
「わかりました。ありがたく頂戴します」
俺はミヤモト家の家宝を受け取る。
「私にできることはこれくらいだ。ではヒイラギさん、これからも娘のことを末永くお願いします」
「何ですか、いきなり改まって?そんな言い方だとまるで結婚するみたいじゃないですか」
笑いながら、俺は答える。
「え、カレンとヒイラギさんはそう言う関係では?違うのなら、カレンの左手に付けているその指輪はいったい?」
真剣なトーンの返答に俺は戸惑う。
カレンの左薬指には俺の渡した「収納の指輪」が光っていた。紛らわしいことするなよ、カレン。
「俺とカレンはただの冒険者仲間ですよ。その指輪は確かに俺が渡したものですけど、魔法道具を収納しておくためのもので、深い意味はないです」
「そうですよ、お父さん。私とケンさんがそんな関係になることなんてありません。これまでもこれからもずっと仲間のままですよ」
俺とカレンはジュンイチさんの誤解を解く。
微妙な一悶着はあったものの豪華な土産を貰った俺はカレンと共に宿屋へと帰った。
―――
余談だが、カレンはそれからよく家に帰ったり、手紙を書いたりするようになった。
その時のカレンの様子はとても楽しそうで、仲間としても喜ばしい。
ちなみに指輪は左人差し指へと付け替えて貰った。




