55.18 クーデターを鎮圧せよⅡ
「もう一歩先とな?」
「はい。クーデターの火種となる危険性のある民も同時に始末するのです」
「魔人族の人間に対する怨恨の根は深い。そんなことをすれば、我が国は滅びるぞ」
「だからこそです。国民に深く根付いた人間に対する怨恨を払拭するためには、この機を逃す手はありません。加えて、再興には我々テクノロも協力は惜しみません」
「言いたいことは理解した。私もこうして国を追われるのは懲り懲りだからな。その意見には賛成しよう。しかし、どうやって民を選別するつもりだ?」
「まず、クーデターの鎮圧。これを戦争にします」
「どう言うことだ?」
「クーデターを鎮圧するのであれば、奇襲的に相手が油断しているところに仕掛けるのがセオリーでしょう。しかし、今回は敢えてそうしません」
「奇襲のメリットを捨てるのか?」
「ええ、テクノロの軍事力をお貸しするのです。その程度のメリットがなくなっても勝利は確実です」
「ほう。それで?」
「魔人王様には、宣戦布告をしてもらいます」
「宣戦布告とな?」
「はい。内容としては、『これは魔人国の行く末を決める戦争だ。人間との交流を望まぬ民は、武器を取って我々を退けよ』と。そのような宣言をしてもらいます」
「なるほど。我が息子、アンビーマに従う民を炙り出すと言うことか。しかし、その程度で全員炙り出せるのか?」
アンビーマ。魔人王の長男だったか?
「全員は無理でしょう。しかし、目先の問題になりそうな輩は炙り出せるでしょう。人間に強い怨みを持つ者、浅慮な者。この辺りを殲滅できれば、ひとまずの安寧を得ることができます。加えて、戦争に参加した全員を殺すことで、残りの反乱分子への抑止力にもなります」
「なるほど。良かろう。その提案に乗るとしよう」
俺が話す必要もなく、話は纏ったようだ。




