55.17 クーデターを鎮圧せよ
リンを引き連れて、俺達が向かったのは、応接室。
そこには、魔人王と高貴な格好をした若い魔人と、護衛の魔人が数人いた。
椅子に座っているのは魔人王とその若い魔人の2人だけで、護衛の魔人達は後方に立っているところからも察せるように、若い魔人も相当な地位の者なのだろう。
部屋に入って来た俺達を見て、その若い魔人は立ち上がって頭を下げた。
「お待たせしました。どうぞ、お掛けください」
若い魔人に向かって、俺はそう言った。
若い魔人達に続いて、俺達も座る。リンは向こうの兵士達のように俺達の後ろに控える。
「まずは我々の亡命の受け入れ、重ねて感謝する」
魔人王はそう言った。
「いえいえ」
なんて謙遜する俺。
癖なのか何なのか、反射的に謙遜してしまうのは、王として如何なものか。
「早速、クーデターの鎮圧について話を進めましょう」
裕也が仕切る。
「武力によって奪われたものは、武力によって奪い返すしかないと、私は考えている」
それは、短慮じゃないか?と俺は思うが、余計なことは言わない。
「ええ、それが最も迅速に事態を収拾させることのできる手段でしょう」
裕也は否定しない。
あ、そうか。
裕也にとっては魔人の国がどうなろうと知ったこっちゃないんだ。
テクノロでクーデターが起きたら、絶対にそんな鎮圧の方法は選ばないだろうに。
「しかし、私達はそのための武力を有していないのだよ」
「勿論、テクノロの軍事力はお貸しします。共に、正しき方へと国を導きましょう」
「ほう。話が早くて助かるな」
「しかし、懸念点が1つございます」
「申してみよ」
「中途半端な鎮圧では、またいつクーデターが発生するかわかりません」
「その通りだな。やるなら、この機に乗じて徹底的にやるべきだ」
「『徹底的に』とは、具体的にはどのようにお考えですか?」
「そうだな。この事態を引き起こした中心人物には、命をもって償ってもらおう」
「それがご子息であっても、でしょうか?」
「ああ、我が国の繁栄のためには人間の国との共生が必要だ。であれば、それを阻害する要因は、例え息子であろうとも排除すべきだろう。それこそが王たる私の務めだ」
「王に相応しい覚悟、感服いたしました。であれば、如何でしょう?魔人国が生まれ変わるために、もう一歩先に進んでみるのは」
裕也が示す「もう一歩先」とは、一体?




