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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
10 目標に向かって
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10.4 帝都への顔出し


 俺がリンさんと決闘(?)をしてから3日後、プカン内での俺の評価が大きく変わりつつある。


 当然の流れで多くの貴族から嫌われているのだが、その貴族達が触れ回った噂により街の人達からも白い目で見られるようになってきているのだ。


 その噂とは「冒険者ヒイラギ・ケンは黒騎士のナカムラ・リン様との御前試合の際に自分に有利な条件を要求してリン様を一方的に攻撃した。そして彼は攻撃ができないリン様から武器を奪い取った挙句、あろうことか何らかの脅迫をしてリン様を降伏させて勝利した」と言ったものだ。


 事実の中に嘘を紛れ込ませているところに狡猾(こうかつ)さを感じる不快な噂だ。


 そんな噂が王都中を駆け巡った結果、正義の女騎士を(はずかし)めた下劣な冒険者と言うイメージが完全に定着してしまい、居心地が悪いことこの上ない。


―――


 と、言うわけで今朝カレンに国王から貰った小屋にでテレポートの魔法陣を描いてもらい、逃げるように帝都へ行こうと考えた。


 これでテレポートの魔法が上手くいけば、今度から移動は楽になるし、居心地が悪い時は帝都に行けるし、良いばかりだ。


 結局準備に時間がかかってしまい、行こうと思った時点で既に夕方だが少し話してくるだけだから、大丈夫だろう。


 早速、カレンと俺は魔法陣の上に乗った。


 カレンが魔力を込めると、魔法陣が白く光始める。その光が強くなり、大きく広がっていったかと思うと、視界が白一色に染まった。そして、光が消えた時には俺達は帝都・ギャリットの砦にいた。


 時間にしておよそ5秒。2ヶ月の旅路を5秒で移動したわけだ。移動時間が約100万分の1になるのは革命だな。


 そんなことを思いながら砦を出ると、日は高く昇っていた。


 テレポートに何時間かの時間がかかっていたのか?


 そう一瞬考えたが、多分これは時差だな。


 今まではゆっくりと移動していたから実感もなければ気にも留めなかったが、流石に馬車で2ヶ月もかかる距離だ、惑星であるならば当然時差は発生しているのだろう。


「ケンさん、無事着きましたね。これからどうしますか?」


「そうだな。とりあえず、俺はメアリーのところに行こうと思っているんだが、カレンには紹介したい人がいるんだよな」


「私に紹介したい人、ですか?」


 そんな話をしながら、俺達は第3魔法研究棟を訪れた。


「クリフさん、いますか?」


「ケンさん、お久しぶりですね。そういえば王国に帰ったのでははずでは?」


「帰りましたよ。改めてテレポートを使って来たんですよ」


「それにしても早くないですか?確か前に来てから2ヶ月程度ですよね?2つの魔法陣描くのに1ヶ月かかるわけですから、王国まで1ヶ月で行ったのですか?」


「こちらのカレンが魔法陣を1日で描けるんですよ」


 俺はカレンを紹介するように手で示しながら言った。


「え!?それが本当ならば、カレンさんは普通の人の10倍以上の魔力を有していることになりますが…」


「ええ、その通りです」


「何ですって!?」


 驚くのも無理はない。俺だって驚いた、誰だって驚く。


「それで、クリフさんに相談があって来たんですよ」


「相談、ですか?」


「はい。実はカレンは膨大な魔力もさることながら、全ての魔法を一度見るだけで使うことができるようになる『魔法適正・極』を持っているんです。そのため、俺達のパーティの戦力をあげるためにカレンに多くの魔法を覚えてもらうのが、最も手っ取り早い方法なんですよ」


「はい、そうなりますね」


 驚きの事実の連続で一周回って冷静になっているクリフさんはそう答える。


「そこで、相談、というよりは提案なんですが、カレンに魔法を教えて貰えませんか?」


「確かに、私は魔法分類学を研究しているので、魔法を使う多くの方との接点がありますし、その方達に頼んで魔法を見せて貰うことも難しくありませんね」


「ですよね。実はこの提案にはクリフさんにも利点があって、クリフさんと繋がりのある方達の全ての魔法をカレンが覚えれば、今後クリフさんはカレンを呼ぶだけでそれらの魔法全てを見ることができるようになるのです」


「確かに、それは魅力的な提案ですね。それこそ80人近くの協力者がいるので、調べたい魔法を使える方全員の予定を合わせるのにはいつも苦労していたところです」


「それにカレンは『テレポート』も使えます。連絡さえ貰えれば駆けつけることも難しくはないでしょう」


「なるほど、こちらとしても実に魅力的な提案です。ぜひ協力させてください」


 話がまとろうとした時、カレンが俺の腕を引いた。


「ちょっと良いですか?」


 カレンに呼ばれるなり、俺は一旦クリフさんのいる部屋を出た。


「何だよ、カレン?」


「何だよじゃないですよ。勝手に話を進め過ぎじゃないですか?私、何も聞いてませんよ」


 うわ、これは完全に怒っている。


「た、確かに、説明が足りなかったな。すまん」


「ケンさんはいつもいつも勝手過ぎます。突然呼び出したり、私の知らないところで話を進めたり、もう少しちゃんと相談してから行動して欲しいです。振り回されるこっちの気持ちにもなってください!」


「わかった、次からはちゃんと相談するから」


 そうだよな、思えば前はもうちょっと相談していたような気がするな。それが魔法陣を描いて貰うために呼び出したあの時ぐらいから段々と相談とかしなくなって来ていたような気がするな。最近はカレンの当たりが強くなって来ていると思っていたが、俺もカレンを雑に扱っていたんだな。


 自分の行動を振り返り、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉を思いながら俺は反省した。


 その後、クリフさんとの話は無事にまとまり、俺達は第3魔法研究棟を後にした。

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