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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
7 ギャリットの日常
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7.9 屋敷で見つけた謎の鍵


 ビクティム男爵の遺体が発見された後、兵士が駐在する交番のような施設に使用人が連絡してくれていたらしく、1人の兵士が屋敷に来た。


 その兵士が屋敷にいた全ての人への事情聴取を終えた後、問題は起こった。


 犯人がわからなかったのだ。この世界では今回のような殺人事件が起こった場合、目撃情報等がないと、殆ど詰んでしまう。


 それほどまでに捜査に関する技術が進んでいないのである。


 さらに言えば、魔法や魔術と言った概念がある以上、俺が元いた世界の捜査技術を用いても捜査は難しいだろう。


 しかし、魔法や魔術の概念があるということは裏を返せば、その中には捜査ができるようなものも存在はしているということだ。


 確かに、そういったものを使えば、捜査は少なからず進展するだろう。


 だが、捜査に役立つような魔法や魔術を使える者はそう多くはいない。


 したがって、それらが使われるのは王族や上位の貴族などの国の中枢にいる人達が関係する事件だけなのだ。


 下々の者達の間で起こったような事件では国は力を入れて事件を解明をしようとはしないのである。


 それは今回の被害者、普段ワインを作っているだけのような男爵に関しても同じことが言える。


 だから、本来であれば、今回の事件もこのまま何事もなかったかのように幕を閉じるはずだった。


 そう、ダイイングメッセージさえ、見つからなければ。


 そのダイイングメッセージは唐突に見つかった。それは全員の事情聴取が終わった後、俺とダニエルさんが遺体発見当時のことを兵士に話すために再び遺体のある部屋に入った時だった。


「ん?これは…?」


「どうかなさいましたか?」


「いや、ダイイングメッセージを見つけまして」


「ダイイン、えっと、すみません、もう1度お願いします」


 あ、そうか、ダイイングメッセージの概念がないんだな。


「死に際に血で書かれたと思われる書き置きです」


「何ですって!?本当だ!これは調査を続行しなければならないですね」


 ダイイングメッセージはビクティム男爵の右手人差し指で書かれていたようで、俺達が遺体を押した時に引きずられてできた血の線が右手とダイイングメッセージの間にあることから、扉を開けた時は指に付着した少量の血は乾いていなかったようだ。つまり、俺達が扉を押し開けた時には男爵は殺されて間もなかったこととなる。


 そして、ダイイングメッセージにはこう書かれていた。


『ブジンハカドウヲオコナワズ

カシュノヒトハタタカワズ

ワタシハオナジモジイワズ

カンジンナヒトハホボイナイ

オロカナオコナイハミヲホロボスコトヲオボエ

ヒモハワカエンヲナス』


 そうか、わかったぞ。


「兵士さん、調査の必要はありませんよ。事情聴取した皆さんを集めて貰えますか?」


 さて、俺の推理ショーの始まりだな。

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