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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
7 ギャリットの日常
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7.7 何気ないギルドの仕事


 姫様の告白から一夜明け、俺達3人はギルドに来ている。要は昨日仕事ができなかった分の埋め合わせだ。


 現状、俺とカレンは第3階級である橙階級、ジンは第1階級の白階級だ。そのため、今回はジンの階級を上げることがメインの目的と言っても良いだろう。


「ケン、これはどうかな?」


 ジンが1枚の依頼書を俺に手渡す。


 内容は盗賊団の確保、依頼書の色は黄だ。


「あー、良いんじゃないか?第4階級の依頼ではあるが、ジンがいればなんとかなると思うし。カレンも良いよな?」


「まあ、多少不安ではありますが、2人がこの依頼にすると言うのであれば、私は受け入れますよ」


「じゃあ、この依頼で行くか」


 俺達はギルドの受付に行き、依頼書とギルドカードを提出した。


「ヒイラギ・ケン様、こちらの依頼は第4階級である黄階級以上の冒険者に推奨された依頼です。第3階級であるケン様では依頼に失敗して罰則に沿った処罰を受ける可能性があります。また、この依頼ではパーティの一部、もしくは全員が殺害される可能性が著しく高いです。この依頼を受注されますか?」


「はい、大丈夫です」


「承りました。しばらくお待ちください」


 その後、手続きを済ませた俺達は帝都を出てすぐの荒野にあると言う盗賊団のアジトへと向かった。


―――


 そんなわけで俺達は今荒野を歩いている。


 今回の依頼で確保する盗賊団は盗賊を名乗っているにも関わらず、盗んでいるところを見た者を1人残らず殺すらしい。その上、アジトへと足を踏み入れた者も殺すという、折り紙付きの物騒な集団だ。強さとしては橙階級程度でも充分に戦える程度らしいが、この依頼の推奨階級は1つ上の黄だ。


 向こうが問答無用で殺しに来るのに対して、こちらは殺すとこなく確保しなければならず、それがこの依頼の推奨階級が黄である理由だ。


 他にわかっている情報としては、構成員が11人ってことと、盗賊団の名前がザツギョということだ。


「大丈夫ですかね?」


「何がだ?」


「私達殺されてしまうのでしょうか?」


「ああ、多分大丈夫じゃないか?」


「そうだよ、オレがいれば大丈夫。盗賊かぶれの殺し屋まがいの連中なんて一網打尽だよ」


 ジンの発言が普通に心強すぎるな。

 

―――


 そうこう話をしている間に盗賊団のアジトへとたどり着いた。アジトというかただの洞窟、荒野の果てにある大きな岩山に人為的に穴をあけたような洞窟だ。


「じゃあ、早速行くか」


 俺が洞窟へ足を踏み入れた その瞬間、何が飛んで来た。


 持ち前の反射神経で俺はその飛来物をかわす。俺に当たらなかった飛来物は荒野に生える枯れ木に突き刺さった。


「これは、毒矢だね」


「ご名答、それは劇毒の毒矢だ」


 後方の枯れ木に刺さった矢の分析をしたジンの言葉に答えるように洞窟の奥から弓と矢を携えた男が出てきた。


「盗賊団の1人か」


「ふむ、その様子だとここが我々ザツギョの隠れ家と知って訪れているようだな。ならば殺す。まあ、知らなくても足を踏み入れた時点で殺すことは確定しているがな」


 男がそう言うと、俺達の後方からさらに8人の男達が出てきた。見晴らしの良い荒野の(はず)なのにこいつら、どこから出て来たんだ?


「ケン、カレンちゃん。ここは俺に任せて先に行って、残りの2人を片付けてよ」


「ジン、大丈夫なのか?」


「大丈夫大丈夫。この程度ならすぐに片付けて合流できるよ」


「わかった」


「我々がそんなことさせると思っているのか?」


 弓矢の男がこちらに向けて矢を放つ。しかし、その矢は俺に到達する前にジンが斬り落とす。ジンのその両手には先日鍛冶屋で作成してもらったオーダーメイドの2本の剣が握られていた。


「この程度の相手に初お披露目か。少し残念だよ」


 俺にでも感じられるほどの殺気がジンから溢れ出ている。


 相手がジンの動きと殺気に呆気(あっけ)を取られているうちに俺とカレンは洞窟の奥へと走った。


 洞窟には罠が張り巡らされていたが、原始的な罠ばかりだったので避けることは然程(さほど)難しくなかった。


 罠を掻い潜りながら2分程度走って、ようやく最深部へと到達した。そのドーム状に広くなった最深部にはリーダーと思われる2人の男がいた。


「ン?ココマデ侵入者ガ入ッテクルトハナ、外ノ連中ハクタバッタカ?」


「モトモト ツカえないヤツらだったからね。でも、ニイちゃんとボクさえイきてさえいればこのトウゾクダンはフメツだよ」


「悪いがここで終わりだ。お前達は俺達が確保するからな」


「ホザケ。外ニイタ連中ト俺達ヲ同ジダト思ウナヨ。コノ絞殺ノ ザック ガ相手ヲシテヤル」


 そう言ってザックと名乗った男は黒ずんだ紐、ワイヤーだと思われるものを取り出した。


「絞殺のザック!?」


「カレン、何か知っているのか?」


「ええ、昔エーシャア王国で夜な夜な人を殺していた殺人鬼兄弟がいました。その2人は絞殺のザック、撲殺のマルクという通り名で恐れられていたのです。最近、名前を聞かないと思ったら、エウロメ帝国で盗賊団をやっていたのですね」


「ん?ボクタチをシっているのかい?ボクタチ ユウメイジンなんだね」


 弟は棍棒を取り出し、構えた。


「カレン、後方を頼む。〈S1〉」


 俺は腕輪から剣を1本取り出す。これは6本のうち最も鋭い剣「両断の剣」だ。


 ネーミングセンスはともかく、性能はお墨付きだ。その斬れ味たるや万物を斬り裂くと称されるほどだ。価格は100万ブロンで目が飛び出るほど高かった。


「来ナイノカ、コチラカラ行クゾ」


「いや、残念ながらそれは出来ないね。だって、そろそろオレの毒が回って動けなくなるだろうからね」


「いつのマにウシロに!?」


 その言葉を最後に弟は倒れた。そして、倒れた弟の方を見た兄も武器を構える間もなくジンに切り()せられた。


「ジン!お前いつの間に!?それに外の連中は!?」


「当然全員麻痺してもらった後で縛ったよ。さあ、コイツらも縛ろう」


 ジンの素早さは本当に規格外だな。怒らせた日には気付く間も無く殺されるだろうな。つか、もうあいつ1人で良いんじゃないか?


 その後、ギルドの職員を呼んできて、盗賊団全員の身柄を引き渡した。そして、俺達は後処理のためにギルドへと戻った。

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