7.3 ギャリット散策Ⅲ
クリフさんと別れた俺が商用区を歩いていると、武器屋のような建物の前にジンが立っていた。
「うーん、オレの探している武器がこの武器屋にあれば良いけど」
「おい、ジン。何しているんだ?」
「おー、ケン。オレは装備品を新調しようと思ってね。服とかは大体揃えたんだけど、武器が見つからなくてね。ここは特殊な武器が多くあるって聞いたから来たんだよ」
そう言うジンの服用は多少変わっていた。今までは旅人が身に着けるような黄土色のマントを羽織っていたのだが、今はフード付きの漆黒のポンチョを身に着けている。さらにその下の服も黒い服に変わっていて、全身黒一色になっていた。
確かに、闇に紛れて敵を仕留めるのであればその格好で良いんだろうが、少なくとも街でする格好ではないだろう。怪しさが尋常ではない。
「なるほどな。俺は暇で街を散策していただけなんだが、ジンについて行っても良いか?」
「もちろん良いよ。じゃあ入ろうか」
中に入ると多くの種類の武器があった。そのどれもが特殊な材質で出来ているようだった。
ジンが聞いた話では1人の鍛冶屋が武器の作成から店の切り盛りまですべてを行っているらしい。店主の名前はサム・アンダーソン。23歳という若さながら彼の作成した武器の評価は高いそうだ。
「いらっしゃい。どのような武器をお探しですか?」
「オレは軽くて鋭い剣が2本欲しいんだよね。ケンはなんか買うの?」
「そうだな、俺は意外性があるような武器が欲しいな」
「武器の条件を詳しく聞きたいんで、そっちの青い髪の彼から話を聞かせて貰っても?黒髪の方は申し訳ないんですが、しばらく待っていていただきたいです」
「はいはい。ケンは適当に待っていてくれよ」
「おう、わかった」
探している武器の詳細を伝えにジンが店の奥へ行っている間、俺は店内にある武器を見ることにした。
ここにある武器の中には色がついた水晶かガラスのような透明な素材が使われていた。装飾だとしたら、武器として使うのに邪魔な場所に使われているしな、きっと装飾ではないのだろう。いったい何なんだろうか。
それと形状は全体的にシンプルだな。ガラスのような材料が所々に使われている以外はほとんどよく見るような武器と遜色はないだろう。
そんな感じで武器を見ている間にジンは戻って来た。
「ケン、おまたせ。次はケンの番だよ」
「おう、わかった。行ってくる」
俺はサムさんのいる店の奥へ向かった。
「どうぞ、座ってください」
「はい、失礼します」
「今回はどのような武器をお求めか改めて教えてください」
「そうですね。戦う相手を翻弄できるような武器が良いですかね」
「なかなかに難しい注文ですね。ちなみに普段はどのような武器を使っているのですか?」
「普段ですか?普段は魔法剣士として戦っているので、武器は普通に剣ですね」
「魔法剣士なんですか?でしたら、魔水晶が組み込まれている武器の方が良いですかね」
「魔水晶…ですか?」
「はい、魔力に反応する水晶です。うちのはエーシャア王国のセート産の魔水晶を取り寄せているので品質は高いですよ」
「なるほど、その魔水晶を組み込んだ剣はどんな性能なんですか?」
「そうですね…」
サムさんは後方から剣を1本取り出す。刃の中心が大きくて長い1本の赤い魔水晶に変わっている。
「この剣は柄を握って魔力を込めると刃を炎が包みます」
「なるほど、なかなか良いですね。どういう仕組みですか?」
「赤い魔水晶は魔力を火に変換する魔水晶で、この剣はその水晶を刃の中心に仕込んでいます。そして、この剣は軽銀で出来た柄が仕組みの肝となっていて、軽銀の柄が刃の方にある魔水晶に突き刺さるような構造をしています。軽銀は魔力を通しやすい性質を持っているので、他の金属に比べて効率良く魔水晶に魔力を伝達します」
「なるほど、ありがとうございます」
その後、俺はサムさんと話をして、多くの剣を用いるという戦法で敵を翻弄することが決まったため、俺は計6本の剣を購入した。
ギルドに売っている剣とは比べものにならないくらい高かったが、今の俺には余裕で払える程度の価格に過ぎなかった。
そして、俺達は買い物を終えて店を出た。




