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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
7 ギャリットの日常
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7.2 ギャリット散策Ⅱ


 人民区にある図書館から研究区にあるクリフさんの研究棟まで歩いて20分程度で到達した。


 研究区は他の地区と建物の造りが異なっていた。何と言っても形が歪なのだ。


 クリフさんに建物が歪な造りになっている理由を聞いてみると、どの棟も増築を重ねているからとのことだった。どうやら研究区内は研究に必要なスペースを棟内で確保できなくなると、行き当たりばったりで増築をしてしまうらしい。


「ここが第3魔法研究棟です。私はここで研究を行っています」


「研究棟というだけあってやはり書類や本が山積みになっているのですね。ところで、この部屋とガラスを隔てて向こうにある真っ白な広い空間はなんですか?」


「そこは魔法実験室ですね。魔法分類学について知っていただければ、その部屋の存在意義について自ずと理解していただけると思うので、魔法分類学について少しお話しても良いですか?」


「はい、お願いします」


「ケンさんは魔法分類学と聞いてどのような目的で提唱された学問だと思っていますか?」


「俺の考えでは魔法を分類することで魔法図鑑等の書類を作成して記録を残すことが目的ってところですかね」


「確かにそういった記録を残すために魔法の情報を整理することも魔法分類学の役割とされていますね。しかし、そもそも魔法分類学とは新しい魔法を生み出すために提唱された学問なのです。従来、先天的に魔法を使える人からその魔法について聞くことで、魔法の情報というものは蓄積されていました。しかし、その作業を続けた研究者がある日、魔法について1つの仮説を立てました」


「仮説ですか?」


「はい、魔法の存在についての仮説です。例えば、『水を生み出す魔法』、『火を生み出す魔法』、『風を生み出す魔法』があった場合、ある魔法が存在すると予想できると思うのですが、ケンさんはそれがわかりますか?」


「『土を生み出す魔法』ですか?」


「その通りです。つまりその研究者が立てた仮説とは、4属性のうちいくつかに存在する魔法は残りの属性にも似たような魔法が存在するという法則があるという仮説です。この仮説はすぐに正しいと立証され、その研究者の手によって魔法分類学が提唱されました。それまでは聞き込みでしか存在を確認できなかった魔法でしたが、魔法を分類、推測することでその存在を確認することができるようになりました。これにより魔法の情報は爆発的にその量は増えるようになりました。しかし、その勢いも徐々に衰えていき、最近では魔法を使う時の動作や上位属性に着目して新たな魔法の発見をしようとしているのです」


「なるほど、それで向こうの部屋を使って実際に魔法を使用している際の動作を見ているということですね」


「その通りです。向こうで魔法を使っている様子を硝子で隔てた こちら側で観察しています。随分と理解が早いですね、ケンさんは研究者に向いているかもしれませんよ」


「いえいえ、そんなことはないですよ。それにしても勉強になりました。まさか魔法分類学における分類は単なる前準備に過ぎなかったとは思わなかったです」


「そうですね。このことは魔法分類学を専攻していないと魔法を研究している者でも認知していないなんてことが多々ありますからね。せっかくですから他にも聞きたいことがあれば、聞いていただければ答えますよ」


「そうですね。先程、上位属性と仰っていましたが、上位属性にはどのようなものがあるのですか?」


「そうですね。ざっと挙げると光、雷、氷、砂、泥、石、岩、鉄、金、銀などですかね。ケンさんなら今挙げた属性を聞いただけでもわかると思いますが、やはり種類の多さから今は土の上位属性の研究が熱いです。砂、泥、石、岩、鉄、金、銀などは同じ土属性の上位属性ですから、岩属性の魔法は鉄属性や金属性などにも存在する可能性が非常に高く、新たな魔法の発見という観点ならば土の上位属性に着目して研究した方が良いでしょう」


「なるほど、ありがとうございます」


 俺はクリフさんに質問を続け、魔法分類学に対する理解を深めた。


―――


 数時間後、質問を終えた俺はクリフさんと別れて研究棟を去り、街へと戻った。

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