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着のみ着のまま転生記  作者: 名波 和輝
1 新しい世界
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1.1 再び始まる人生


 さて、唐突に始まった第2の人生。何をしたら良いのかが全くわからない。


 元の世界で得た知識は残っているが、この世界の知識が何もない。そのうえ、世界を救うらしいのだが、何から世界を救うのかもわからない。


 今いるこの草原なんて見るからに平和そのもので、危機感とは正反対の印象を受ける場所だ。


 そういえば、自分の名前が思い出せない。


 持ち物から名前を割り出そうとしたのだが、服装はこの世界の仕様らしい中世ヨーロッパのような服になっていて何も持っていなかった。


 まあ、俺の事なんて誰も知らないわけだし、この際 名前なんて適当につけても問題ないだろう。そうだな、ひいらぎ…柊健でいいか。


 とりあえず、街だ。街に行こう。多くの人が住まう街に行って、生活のレベルやこの世界の常識を学ばないと生きていける気がしない。


 と、俺が考えていると遠方からファンタジー世界によくあるような荷馬車が走ってきた。


 まず、あの馬車の御者に話を聞くとしよう。近くの街の場所を聞ければ御の字、欲を言えば街の近くまで乗せて欲しいところだ。


 目覚めた丘の上から馬車が通るであろう道に近寄って俺が大きく手を振ると、それに気付いた御者の男性は手を振り返して俺の近くで馬車を止めてくれた。


 優しそうなおじさんで良かった。この人なら話くらいは聞いてくれるだろう。


「すいません、この近くに街はありますかね?」


「ああ、あるよ。私達は今その街に向かっているところなんだ。良かったら乗っていくかい?」


 おじさんの「私達」という言葉を不思議に思って荷台を見てみると30代後半くらいの女性が乗っていた。


「本当ですか。是非お願いします」


「じゃあ、荷台で悪いが乗ってくれ」


「ありがとうございます」


―――


 馬車に乗せて貰っている間にさまざまな事を話した。


 まずは2人の名前、おじさんの方がケビン・マクスウェルさん、女性はケビンさんの妻でカオル・マクスウェルさんだ。この2人は夫婦で近くの街「ヤポン」で宿屋を経営しているらしく、今は宿屋協会なる組織に行った帰りだそうだ。


 2人が出かけている間は、2人の娘である三姉妹が宿屋で仕事をしてくれているらしい。


 ちなみにヤポンは街と言っても大きく国内でも王都に続いて2番目に大きな都市との事だ。


 逆に俺自身の事も話した。話したと言っても転生の事なんて言えないので、記憶喪失で無一文って事だけ話した。


 俺が記憶喪失の上に無一文という事を不憫に思った妻のカオルさんがしばらくの間宿屋にタダで泊めてくれるという。しかし、居候になるのは申し訳なかった俺は宿泊している間は宿屋の手伝いをさせて貰う事にした。


 これで当面の生活は大丈夫そうだ。

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