プロローグ
初の小説です。
それとなく小説感を出しているだけなので
いろいろと「あれ、ここおかしくね?」という所もあると思いますが、
お手柔らかにお願いします。
では、お話の世界へどうぞ。
__目の前が暗い。
照明の下敷きになるピエロ。
先程までのおどけた表情はもうない。
商売道具のクマの頭も届きそうで届かない場所に転がっていた
「……っ」
無理に動かすと、何処かでつけた傷が痛む。
鉄のような味と生臭いにおいがして気持ち悪い。
意識が朦朧として目を閉じそうになる。
駄目だ、ここで閉じてはいけない。
死んじゃうかもしれないと思うと少し怖いが
もう意識が働かず、何も考えられない
まだまともに親孝行もしてないし
彼氏だってまだ出来てないのに
あ、あとまだお給料もまだだ。
なのにもう終わるのか、私の人生。
そんなのあんまりだ。
走馬灯が頭の中を駆ける。
案外楽しくて短かったなぁ。
私の人生に関わってくれた皆さん、
ありがとうございました。
ーーーー
ふと、目が覚める。
するとそこは西洋の雰囲気漂う町の中。
町の中、という表現は少し違うか。
町の路地裏のような細い路地だった
きっと私の勤務先の遊園地だろう。
私のとこの遊園地は夢の国だから、
お土産屋さんがたくさんあり、
こういう路地裏に迷い込むのも珍しくはない。
っていうか、私は生きている?
身体を確認し、足は透けてたり
浮いてたりしないか調べる。
「ちゃんと、生きてる……!」
何が『私の人生に関わってくれた皆さん、
ありがとうございました。』だ。
カッコつけやがって、恥ずかしい
ただの夢じゃねぇか。
今の服装はいつもの格好……
クマの着ぐるみだ。
もふもふとした毛で
愛らしい肉球……!
外から見れば顔はとても目が大きく、
キラキラしている
歩いてみる。
ゆるキャラ訓練として鍛えられた私の足は
とても可愛い歩き方になっているであろう。
これで老若男女問わずハートを掴めるのだ……!
「キャァァァァァ!!!」
悲鳴が聞こえた
慌てて振り向くとそれ(悲鳴)は
私に向けてあげられたものだった。
エプロンをつけている主婦さん。
多分エプロンをつけて遊園地に来る人は居ない。
スタッフさんだ。
私みたいな着ぐるみが暗い路地裏にいたから
びっくりしただけだろう。
「あ、どうもお疲れ様です」とでも言うように
私はペコッと頭を下げる
「な、何!?なんなの!?
この町の中にも化け物が!?
やめてっ!来ないで!!」
なんだか迫真の演技だ。
よく分からないので
とても可愛いポーズをとってみると
「なに!?
私を食べようっていうの!?」
……凄い演技……?
果たしてこれは演技なのか?
本当に怯えているぞ?
……ん?
「大丈夫ですか!?!?」
あれ、なんか屈強そうな騎士みたいな人が出てきたぞ?
「こ、ここに!!化け物が!!」
お、おかしいな、な、なんだろう、
うちの遊園地そんなサービスあったっけ。