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世界一、やさしい魔法  作者: 牛タン
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はじまり

 空一面が紅色に染まる夕焼け。

 目先にはどこまでも広がっていると錯覚しそうなほど生い茂る森林。その森林を一望できる切り立った崖の上に1人の女装をした少年がいた。

 少年は沈んでいく太陽と小さな左手に持ったキノコを見ながら不安そうに一言呟いた。


「やっぱりキノコってお土産としてダメかな……」


 これが僕こと、神崎真白かんざきましろが異世界で初めて呟いた言葉だった。



 僕は都立のとある高校に通う高校二年生だ。

 身長156cm、体重48kg、髪型はショート、顔は昔から女の子に間違えられるくらい中性的な顔で中学の時は他校の男子が告白してきたこともある。学ランだったはずなのに男とわからなかったのだろうか、聞きそびれて今でもそれは謎である。そんな僕は男らしくなりたいが為に演劇部に所属していた。なんで男らしくなりたくて演劇部かって?本当は筋肉ムキムキで、がたいの良い体を目指したかった。だけど身長はもう止まり、肩幅も狭く、その姿に男らしさはなかった。だけど筋肉をつければまだましに見えるはずと筋トレを続けていた。しかしある日、一つ年下の妹、真央まおの一言で僕は絶望した。

「どうだ妹よ、この筋肉!男らしく見えるでしょ!」


「えぇ?雰囲気がもう女子だからなにしたって無理でしょ」


 雷に打たれたような衝撃が走った。

 僕の今までの努力をすべて否定されたようだった。

 それから僕はまず雰囲気を男らしくしようと努力し、そしてある日、高校見学で行った先で演劇と出会った。


 ロミオとジュリエット


 すごくベタな劇だったが、僕はすごく感動した。部員は女子しかいないと聞いていたが、みんな役になりきり女子しかいないとは思えない迫力のある演技だった。

 一番感動したのがロミオ役の人の男らしさ、それは僕が求めていたものだった。演劇部に入ればもしかしたら雰囲気も男らしくなるんじゃないか?そんな期待に動かされ、高校に入学し、すぐさま演劇部に入った。

 そしてだんだんと僕は演技を極め、男らしくなっていく……


 はずだった。


 しかし現実は甘くなかった。入ったはいいが、貰える役は悲劇のお姫様役や、かわいい妹役といった女の子のものばかりだった。

 それから一年と少し部活を続け、二年生の夏休み、毎年恒例の合宿を群馬県にある山奥の小さなログハウスで行っていた。今年の秋の演劇コンクールもまた女の子役に決定した僕は涙を堪えながら女装をし、練習をしていた。そこまで高くない山の中腹にいるはずだが、山の中なだけあり肌寒く、辺りは霧に包まれていた。そして僕はミニスカで薄着な衣装。

 寒いし恥ずかしいし、泣きたくもなるだろう。orz

 一通り練習も終わった休憩時間、後輩達はみんな辺りの探索に出かけていて、僕も気分転換がてら散歩に行くことにした。もちろん女装のままだ。寒いから上着は羽織っていくけど、スカートは仕方がない。

「先輩方、僕ちょっとそこら辺を散歩してきますね」

「おっけー!お土産よろしく!」

 と部長が。

「そんなことよりス〇フェスでしょ?」

「Zzz……」

「今宵は神々の祭典、我らの集めた生贄たちを捧げ、新たな仲間を見つけようぞ。」(「ゴッドフェスだからガチャひこ?私けっこう魔法石たまってるんだ」)

 他、先輩達が。

 先輩達はそれぞれ個性のありすぎな返事を返してきた。

「お土産なんてあっても渡しませんよ、スクフェスは帰ってきてからやりましょう、……おやすみなさい、僕、パ〇ドラじゃなくてモン〇ト勢なんですよね」

 本当に自由な人たちだなと呆れ半分で呟いた。

「もう、そっけない返事なんだから!」

「今回は絶対二枚取り狙った方がいいよ?ことりちゃんだよ?」

「だが断る!」

「…………」

 よく僕はこれまで部活を続けられたと思う。もう反応に疲れたよパト〇ッシュ。

「あぁ!ちょっと待って、言うの忘れてた!」

 心身ともに疲れ果てていた僕に部長の栄子えいこさんが真剣な顔で言った。

「この辺、よく人が消えるらしいよ……そして消えた人はまたこの地に来た人を……ふふふ」

「また僕を怖がらせようとしてますね?もう!怒りますよ?」

 僕はそっち系の話は大の苦手で、部長はいつもそれを知りながらたびたびちょっかいを出してくるのだ。ホント怖いから。

「ごめんごめんって!でも迷子にならないように気をつけなよ?」

 部長はかわいらしい笑顔でそう言い、心配してくれた。それがつい嬉しくなり、

「はい、ありがとうございます!」

 僕もまた笑顔でそう答え、ログハウスを後にした。


 都会では味わえない新鮮な空気、そして緑豊かな風景。

 それにつられてか、僕はいつの間にか登山道を外れ、少し他とは違う暗い森へと足を運ばせていた。

 数十分、いや一、二時間はたっているだろうか。ケータイ持ってくるの忘れたから時間わかんないや。それほどに歩くのに夢中になっていた。

「よし、お土産も採れたしそろそろ帰ろうかな」

 途中で見つけた赤色のキノコを片手に僕は帰ろうと振り返った時、目に綺麗な紅色の光が入ってきた。

 なんて綺麗な光なのだろうか。

 その不思議な魅力を放つ光を目指し、進んでいく。

 やがて開けた場所に着いた。そこは下に落ちたら確実に死んでしまう高さのある切り立った崖だった。足元には自分がもっているキノコと同じ種類であろう赤いきのこがたくさん成っていた。

そして紅色の光、夕焼けを見ながら左手に持ったキノコに視線を落とす。あれ、こんなに僕、手小さかったっけ?まあいっか。

 ここから見える夕焼けはとても美しかった。空気が透き通っているためか、学校帰りにいつも見るものとは違うものに見えた。だがこのキノコ、夕焼けにも負けないくらいの赤色、美味しそうにも見える。だけど不安になる。


「やっぱりキノコってお土産としてダメかな……」


キノコをお土産としてもらったことのない真白はそれからしばらく考え続けた。




基本、読むのが専門だったので書いたのはこれが初めてです。

誤字、脱字、おかしな表現だったりとあると思いますが何卒よろしくお願いし


マッスル!!


キーワードは予定です。

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