500年前の終焉
「やっと俺たちの世界が出来た」
「でも、“悪”と共存なんて俺たちにはできない――だから今すぐにでも首切って死んで皆に感染しないようにしないといけないんだよ」
その峰には二人の男が立っていた。二人とも兵士のような服を着ていた。
アルバートは複雑な思いを持って泣きじゃくった。隣でのん気に座っているラコジェは、
「いいんじゃない?――だってさ、死んでまた転生してこれば、きっと俺たちまた会えるし、あの世で落ち合うことだって出来るよ――それにさ、今生き残って少しの間未来を見るよりもその先の未来を永く見れるじゃないか」
「もし、その未来が荒れてたら、お前はどうするんだよ」
足を持ち蹲って、拗ねながら訊くアルバートは戦乱のために奪われた子供という感情を取り戻したようだった。
「いいさ、その命使っても止めたって神様は何も言わないさ」
ニッコリ笑うラコジェはまるで女性のようなしなやかさで地面を蹴り、踏みしめた。
「な、これ使えよ。切れ味抜群だから一思いに死ねるぞ」
ラコジェはベルトポシェットの中から一滴の血にも濡れたことのない純粋なナイフを取り出した。
「自害するために持ってた。つか、さっきまでの戦い終わったらずっと死のうって思ってた。俺、ずっとお前を騙してたから」
ラコジェはアルバートに真実を打ち明けた。戦いが始まる前から自分の中には“悪”が在ったこと。それでも、“悪”を押し殺したかったがその“悪”がどうしても消えてくれなかったこと――
「ごめんな。俺――今から狂うよ」
そして、それがラコジェの最後の言葉となった。
するとラコジェの背からは悪魔のような羽根が生えアルバートに襲い掛かった。
「ラコジェ……最期だよ」
アルバートは“第二番・詞にこめられた”を振り下ろした。
ラコジェは咆哮をあげて元に戻った。だが、致命傷がその身体に遺されて、ラコジェは一瞬で死を迎えた。
――ああ、希望に堕ちる……
そう思い死んだ。
アルバートには漆黒の羽根たちが舞い落ちてきた。
「…俺が死ねるわけないよ――お前、来世なんてもの創るなよ」
アルバートは死ななかった。
そのあと、民たちからその二人は神として崇められた。
これこそが――この世が狂っている証拠だった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この作品は今から三年前に電撃大賞に応募し、見事に落ちた作品です。
せっかくなので、すべて載せました。
是非、感想などいただけると、嬉しく思います。
けど、現在の自分にとっては結構な駄作なので、酷評はなかなかの痛手かと。
しかし(また逆接かよ)、酷評でもいいです。
嗚呼、支離滅裂になり始めました。ここで、失礼します。
ありがとうございました!