チートきました。
家の中に入るとサラさんは飲み物を淹れてくると、キッチンの方へ向かっていった。
暇になった俺は改めてサラさんのことを眺めてみた。
全体的にメリハリの効いた身体してるな…。
胸とかお尻とかすげー…。
…じゃなくて、外の人達みたいに冒険者風?といえばいいのかな?中世みたいな。
そうサラさんを眺めているとカップを手にサラさんがこちらにやって来たので椅子に座り話しを聞くことになった。
「まず、先ほどの質問から答えよう。魔法と呼ばれるものはある。イメージしてるものとは少し違うと思うが…。それとギルドだったか。そんなものはない。そもそもそんなものがあれば私達は派遣される意味がないからな。」
「はい、質問です!魔法は追々聞くとして、ギルドは何故ないんですか!?Sランク冒険者は!?強力な魔物は!?女冒険者は!?」
「いきなりなんだ!そんなに興奮して…。さっきの説明の続きだが、この世界では君が思い浮かべてるほど人手が溢れている訳ではない。魔物はいるが、そういうものにたいしても国から騎士が出るからな。あと最後の質問はなんだ…。」
そう冷たい目で睨まれると…ああ、変なモノに…。
…は!?意識が飛んでたようだ!
でもそうか、なんとなく分かってきたぞ。
「人手が足りない、ギルドの様な何でも屋もない。だから派遣されてきたってわけですね?あとさっきのはなかったことで…。」
「ああ、そうだ。加えて言うと、私達は何故か世界を渡るときに不思議な力が宿るみたいでな。だから派遣されているんだ。」
それってまさかの!お約束の!
チートってやつですか!?
「サラさん、それチートってやつですか!?反則級の力ですか!?」
「ああ。だがな、もちろん副作用はある。それとお前にもここでの名前をつけなくてはならん。ちょっとついてこい。」
そういうサラさんに連れられて地、下室に向かっていった。
地下室には小さい光源しかなく少しじめじめした感じがする。
部屋の中央の床には魔方陣の様なモノが書かれていたり、隅の棚には怪しい薬品、ドクロ、何かの剥製など…。
え、俺これからなにされちゃうんですか!?
サラさーーーん!?
入り口で震えている俺をよそに、サラさんは占い師が使いそうな水晶玉を持ってきた。
「これに手をかざせ。そうしたらお前の不思議な力が何か分かる。あとここでの名前もこの水晶に浮かんでくる。」
使えない能力は嫌だなー。名前はどうでもいいけど。
「じゃあやりますね。」
すっと手をかざすと、いきなり身体が熱くなり目眩をしたような感覚に陥った。
「ぐ、、サラさん、なんですかこれ…聞いてないですよ!うぅ…。」
「我慢しろ、みんな通る道だ。そろそろ落ち着く頃だ。そうしたら頭の中に力の使い方が浮かぶ。」
サラさんは苦笑いをしつつ背中を撫でてくれていたが、今はそれで興奮出来る状態じゃない!
悔しい…。
じゃなく、おかげでだいぶ楽になってきた。
すると突然頭の中に何かの情報が流れ込んできた。
「これがサラさんの言ってたやつだな!これでチートできる訳ですね!うおーーーー!!」
「喜んでるところ申し訳ないが、名前の方も出たみたいだぞ。あとうるさい。」
「すいません。」
サラさんに怒られてしまった…。
だけどサラさんの冷たい視線も…
そろそろ真面目にやらなきゃ怒られそうなので水晶を覗いてみた。
するとそこには
【ジン・ヘーン】
「日本風に言ったら変人だな」
そう言ったサラさんの顔は、初めてみた笑顔で、それも満面の笑みだった…