派遣されました。
現在、都内某所のビルに来ている。
手紙に書いてある住所に来てみれば、最上階にあるそうだ。
まったく、エレベーターが故障していたら大変ではないか。
そんなことを思いつつ故障などしていない普通のエレベーターに乗り込んだ。
さて、ここが奴がいる派遣会社か。
ドアを開けるとそこには広い室内にその男が1人座っていて、あとは何もない空間だった。
ん?あれ?ディスクとか棚とか色々ないぞ?
ん?ん?他の社員は?
混乱している私を見て笑っているその男が
「よー、田辺 陣。元気か?しっかしお前久しぶりに会っても変わらんな!」
と急に世間話を始めたではないか。
俺はそれどころじゃない!と困惑していた。
「ちょ、ちょっと待て!何で会社なのに備品が何もないんだ!それに他の社員は!?あと変わらないとはどういう意味だ!?」
慌てたように言う俺に対して男、佐久間 謙蔵 はまたしても笑いながら
「まあまあ、落ち着けよ。今から話してやっから!それでな、まずお前さんはうちで働くってことでいいのか?」
「ああ、そのつもりで来たがこの状況を見るとさすがの俺でも」
「おーけー、まあ待て。うちは派遣をやってるって言ってたよな?ちょっと特殊な派遣会社でな、いま俺しか居ないのもその特殊故にってやつな訳よ。」
「百歩譲ってそうだとしても、そんな特殊な会社聞いたことないぞ!」
「まあうちしかこんな派遣やってないからな(笑)
とりあえず業務内容を説明するぞ?簡単だ、勤め先の人の悩みを解決してくるだけだ!簡単だろ?」
「おい、悩みを解決するなんて大雑把な言い方で片付けるな!」
「ははは、相変わらずいいツッコミしてんな(笑)
とりあえず説明したし、一回いってこい!何事も経験だ!」
そう佐久間が言い放った瞬間、俺の足元から光が溢れてきた…!
「な、なんだこれは!おい佐久間!」
段々と光が強まってきている…!?
「あー、派遣先な、異世界なんだわ。頑張って世直ししてきて(笑)
詳細は現地にいる先輩に聞いてくれ。じゃ!」
「じゃ!じゃねーーー!!?」
そう叫びながら俺は意識を失っていった…
「そういえばあいつにまだ説明してないことが…ま、いっか。」