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魔術師の異世界ラプソディー  作者: 木林森
6章 疾風迅雷の復讐者(シャープウィンド・アヴェンジャー)
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アカツキの勉強

説明会です。ほとんど地の分です。

7月2日・大急ぎで執筆したため抜けている部分が多く、修正いたしました。

 俺は街のちょっとはずれにある図書館に来ていた。そこで俺が読もうとする本は、この世界の常識や世情についてだ。とにかく、少しでも情報が欲しい。まず1つ目に手に取った本は『冒険者の種類』という本だ。内容をまとめると、

・冒険者のランクについて

・各職業の特徴と有名な人

・その他変わった職業

 といった感じだった。それぞれ新しい知識だけかいつまんでいく。

 冒険者にはランクがあり、ギルドカードの色分けがされる。Eは白、Dは黒、Cは赤、Bは銅、Aは銀、Sは金で、かの有名なウドウィンとブラースの騎士団長と軍団長のSSランクのギルドカードは虹色である。

 Cから上は知っていたが、それ以外は知らなかった。考えてみればしょっぱなからAランクに飛び級とか、俺は相当おかしい。

 各職業の特徴と有名な人については以下の通りだ。

・戦士・パーティーの中で近接戦闘を担当する。場合によってはスパイや隠密行動も。ブラース帝国の軍団長が有名。

・魔法使い・魔法専門の職業で後方支援がほとんど。攻撃魔法や補助魔法を扱う。ウドウィン王国の騎士団長が有名。

・騎士・重装備でパーティーの前線を支える。危険なため人気が少ない。パーカシスやウドウィンの騎士団とは区別される。パーカシス王国の騎士団長が有名。

・聖職・回復魔法や補助魔法を扱う。貴重な人材で、数が少ない。かつての勇者はこれだったらしいが、全部の魔法を扱い、身体能力も戦士以上に高かったため、ここに含んでよい者か不明。有名ではある。

・商人・商いをする。一応冒険者として扱われるが、クエストにはほとんど参加しない。最近では商人ギルドとして分離しよう、と話もある。ウドウィン王国のリゲル侯爵家の当主が有名で、果物の産業を押し上げた。公爵家より金を持っている、と噂される。

・鍛冶師・鍛冶をする者のこと。こちらも同じくギルドを分けようと動きがある。パーカシス王国の鍛冶師が有名で、純度の高い結晶を芯にしてミスリルで覆う技術は彼が第一人者。

・弓使い・弓を扱い、遠距離から攻撃する。魔法があるからいらない、と思われがちだが、魔法に比べて魔力を放出しないし、魔力の消費もないため、魔法使いと比べると一長一短だ。ブラース帝国軍の弓使い軍総司令が有名。

 なるほどな。どうやらミリアとクロロの剣はそんな凄い人が作ったらしい。それと魔王を封印したと言う勇者は聖職だったようだが、俺と同じように一通りこなしたようだ。ここの騎士団長は俺と同じ魔法使いで、パーカシスのあの人は騎士のようだ。それとブラースは戦士か。なるほどな。

 最後に、変わった職業について。

・装備士・もとは鍛冶師と呼ばれていたが、服や手袋や靴を作るのに鍛冶はないだろう、ということで作られた呼称。今では一般に浸透しているため、現在ギルドでこの職業を作るか検討中。

・魔物使い・またの名をモンスターテイマー。とても珍しく、魔物を従え、指示し、統率する能力を持つ。親和性のある道具に宿らせる、常に連れて歩く、ゲートで必要な時だけ呼び出す、といった手法で管理する。道具に宿らせる方法はとても賢く、格の高い魔物でないと無理。過去最高の結果は中級魔族を従えた。従える方法として、戦闘によって相手に認めさせるしかない。魔物は意外とプライドが高いのだ。

・隠密・戦士の中でも隠密行動に特化した者。戦闘もちゃんとこなせる者が多い。

 といった感じだ。グリルさんは隠密っぽいな。……この基準で行くと、俺は魔物使いでもあるのだろうか。

 こっそりイグニスとウェントスに聞いたところ、『うむ。』『そうやな。』と返ってきた。さらに、『アカツキは本気を出せばいろいろ使役できるぞ。』『それと、使役された魔物は基本的にパワーップするで。ワイやイグニスが強うなったんはそれや。』とのことだ。

 興味が出てきたので魔物使いについての文献を調べてみると、使役できるのはその魔物使いより格が低い魔物である。それで、主の力がリンクするため強くなるそうだ。場合によっては魔物が進化して別のになるそうな。ゴブリンからゴブリンロードになる、といった例が挙げられている。

 ちなみに、鬼駿馬が従うあれはちょっと仕組みが違うらしい。曰く、使役には契約があるが、鬼駿馬のあれは鬼駿馬が認めてくれているだけだそうだ。

 それと、この使役というのは、イグニスやウェントスが言うところの『眷属にする』ということらしい。こいつらもそれぞれの住処の竜と眷属の関係を結んでいるそうだ。

 そうなると、オーガを従えていた赤鬼青鬼や、マジックフォックスを従えていた九尾はそういった眷属関係を結んでいたのだろうか。

 さて、職業についてはこれぐらいにしよう。次は歴史についてだ。昔のことは大分やったので、ここ数年の世情を知るべく、新聞が保管されているコーナーに行った。

 とりあえず5~10年前のものでランダムにひょいひょいと年代ごとに選んで持っていった。ちなみに、新聞や本は印刷技術がないこの世界では高級品だ。紙は15年ほど前に大規模な製造方法を見つけたため一般に出回るようになったらしい。

 10年前のものは『ブラース王国の軍団長、単独で魔物の超大群を撃退!』とでかでかと取り上げられていた。その新聞1つがまるまる特集だったので、俺は1面だけを流し読みして次の新聞を読む。

 これは4年前のものだ。『パーカシス王国のヴァイヴラ村、火の海に!?』というのが1面だ。

 なんでも、魔物の強烈な、襲撃があり、そのヴァイヴラ村が滅び、沢山の死人が出たそうだ。生き残りは幼い少女2名のみ。片方は村にいたが魔物に気付かれず生き残り、もう片方はたまたま村の外にお使いに行っていたそうだ。ふむ、魔物の襲撃なんてこともあるんだよな。これほどの大規模なものは相当珍しいらしい。また、記事には被害の規模から魔物だけでなく、魔族が関わっている可能性が示唆されている。あれほどの大規模な火属性魔法を使える魔物はあのあたりには生息しておらず、生き残りの少女の証言とすり合わせても、その可能性が高いようだ。

 なるほど、魔族が関わっていたからこそこれほどの規模に……か。ちなみに、そうだとすると、何故この村だけどんぴしゃで狙われたのか、というのが疑問に残る、と書いてある。近隣の村は滅ぼさず、魔族が従えてまでこの村だけ滅ぼすのには何か理由があるのだろうか。この新聞はこう締めくくられていた。

 その後の新聞はあまり目ぼしい記事は見つからず、俺はそれらを戻して図書館を後にした。そろそろ夕方で集合時間だ。夢中になって昼食を抜いてしまって空腹だから、何か途中で買い食いでもするか。

             __________________

 屋台で買い食いをして、集合場所である宿に戻ると、全員既に戻っていた。俺は遅れて済まない、といってテーブルに着く。

「いえいえ、私たちも今きたところです。」

「そうよ、まだ10分も経ってないわ。」

「気にすることないよ。」

「そういってくれるとありがたい。」

 俺はそういって腰を落ち着ける。

「どうだ、お前らは楽しめたか?」

 俺が質問すると、まずレイラから答えが返ってきた。

「魔物博物館でイベントをやっていまして、それで優勝したのでこんなのを貰っちゃいました。」

 レイラが嬉しそうにそれをテーブルに乗せる。それは普通のポーチのような鞄で、冒険者がつけているポーチとなんら見た目は変わりない。革の色である茶色を基調にシンプルなデザインのものだ。だが、漂う魔力が段違い。ある程度魔法を(俺の場合は魔術)極めると、そのものに漂う魔力が分かる。

「おお、『超容量鞄』か。」

 超容量鞄とは、魔法研究学会の最高傑作と言われており、中にバッグの口が許す限り、何でも、いくらでも入れられるらしい。重さは変わらず、取り出したいものを念じて突っ込めばそれが出てくると言う優れものだ。俺のストレージの下位互換、『サークレッド』の小型縮小応用といったところだろう。

 ちなみに超高額でお値段1つ白金貨40枚。金利手数料負担でも買いたくないものだ。だが、レイラは圧倒的なスコアを見せつけてエフルテ支部ギルド副長を感動させて、特別にもらったらしい。ちなみに本当の商品であるクーポン券は全員分の『魔物香水』を買うのに使った。

 こっちは魔物研究学会の傑作で、魔物が好み、激しく惹きつけられる臭いがする香水だそうだ。魔物の生態研究や囮で重宝するらしい。

「はい、僕はこれ。」

 そういってクロロはドライフルーツの袋を取り出した。

 どうやら、クロロが一番楽しんできたようで、今までにないほど幸せそうな笑みを浮かべている。途中で時間が空いて、時間つぶしに博物館に来てたミリアと合流したようで、2人で回っていたそうだ。ミリア曰く『食べ過ぎ』だそうで、その話を聞いた俺はそれだけでお腹いっぱいになった。

「そして、あたしはこれよ!」

 ミリアは自身が来ている鎧とズボンを見せつけるようにして立ち上がる。

 上に着ている鎧はシルフの鱗の色はそのままに、ゴツゴツ感や無骨さをなくし、さらにある程度カットすることで軽量化させた、見た目と実用性を兼ね備えた、中々センスのあるデザインだ。

 ズボンは、上下緑だと不格好なため、鎧と同じくゴツゴツ感を無くし色をシンプルな薄い茶色に変えることで、一般に流通している長ズボンとなんら変わらない見た目だ。

 どちらもシルフの成体の鱗、かつ付与できるものは全部つけたそうで、お値段白金貨200枚。聖金貨で払ったそうで、御釣りが多く、支払った後はちょっと重かったらしい。

「この上下装備に、あたしは『シルフィード』と名付けることにしたわ。一級品の『竜装備ドラゴンアームド』だから固有名詞つけたほうがいいでしょ。」

 ミリアは自身満々にそういった。ちなみに『竜装備ドラゴンアームド』とはまんま竜の素材から作られた装備の事で、かなり高性能かつ高価なのだ。漢字にカタカナのルビを振る、という器用でイカした翻訳をする『言語理解』の加護は凄すぎると思う。

「あー、そう考えるとある意味竜装備よりいいものであるこれにも固有名詞必要かな?」

 俺は自分の真っ黒な服とズボンをつまんでそう呟く。

「短剣の方は『嵐王の短剣』で決定なんだけどなぁ……。」

 俺はしばし悩んで、結論を出した。

「『夜闇ノワール』だな。」

 ちょっと寒いけど、こっちの世界はそれぐらいが普通だ。

 魔術師はリアリストである一方、童話や神話の世界に想いを馳せるぐらいの独創力や想像力が求められる。そうでなければ、それを強くイメージしなければできない魔術など到底無理なのだ。結果、俺たち魔術師は日本で言うところの『中二病』や『夢見がち』や『格好つけ』に該当する。向こうではオープンに出来なかったが(家では別だが、俺たちは学業もしっかりやらねばならず、学校に行っていた)、こっちではそれぐらいのセンスは当たり前の様なので、オープンにさせてもらう。

「あ、それいいですね。」

「いいセンスしてるじゃない。」

「格好いいと思うよ。」

 3人は口々に褒めてくれる。

「おう、ありがとう。そろそろ晩飯にするか。」

 俺はお礼を言うと、照れ隠しのようにそう皆を促した。

前半のぐだぐだ感。

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