策略
レイトン様が去った後、特に騒ぎは起きなかったので、レイトン様は上手くやったのだろう。
俺は、観光者用の掲示板にある城内の地図を見て、カサンドラ(様から格下げ)の部屋の場所を見つけた。そして今は、就寝前の作戦会議中だ。
「アカツキさん、正面から向かっても何かしらの言い逃れを去れるのがオチだろうから、当然策はあるんだよね?」
クロロが不安げに俺に問いかける。
「ああ、王様の協力も取り付けてあるし、何とかなるだろう。ならなかったら……まぁ、捕まるだろうな。死刑もあり得る。」
俺はブラックジョークを言いながら欠伸をする。
「アカツキさんだったら余裕で脱獄できるのでは……?」
「もう笑えるすら通り越して呆れるわね。」
レイラが発した疑問にミリアが乾いた笑いをこぼす。
「とりあえず、今日は寝よう。実行は明日だ。……王様たちにはすでに、その身を犠牲にして動いてもらっているがな。」
俺はそういって伸びをした。
__________________
「ああ、もう!どういうことなのよ!」
ヴィリアの襲撃から翌日、やっと自分の部屋に戻ってこれた、その事件の首謀者であるカサンドラは、『真っ暗な鏡』に向かってヒステリックな叫び声をあげていた。
『全く持って、完全に予想外だよん。あれは一体なんだよん?』
真っ暗な鏡は、どういう仕組みか、声を発する。とてもふざけた口調だ。
「あのクソ兄貴ったら一晩中私を拘束しやがって!おかげでこうして部屋に戻ってこれたのは、あの忌々しい小娘のパレードが始まる直前以来だわ!あれから1日たって、今はもう昼じゃない!」
その原因はカサンドラ自身なのだが、高慢で自分勝手、なおかつ今は冷静でない彼女には無理な相談だ。
普段の表面上は礼儀正しく、御淑やかな姿はどこへやら、今はただのヒステリックな悪女である。このような裏があることについては、彼女に会ったことがある者なら、たとえ礼儀の仮面をかぶっていたとしても分かるだろうが。なんせ、目が全く笑っていないし、むしろ冷ややかだ。
ちなみに、忌々しい小娘とは、ヴィリアのことだ。
『冷静さを失って質問に答えてくれないのかよん……。』
鏡から発せられる声も呆れている。
「貴方達は本当に魔族なんですの!?ああも冒険者ごときに散々やられ、しまいにはあの小娘も殺せていないじゃない!私の苦心は無駄でしたの!?」
鏡のふちを掴みガタガタと揺らす。
「魔族のスパイの真似事までして、権力に溺れたアホな貴族どもを誘惑して貴方達に殺させ、すり替わりの準備まで、危険を冒してしたというのに、このざまは何ですの!?」
カサンドラはなおも鏡に向かって文句を言う。誰も聞いていないと思ってやりたい放題だ。『背後にいる人間に気付かず』に。
「結局、あの小娘を殺せていないし、本当に無駄でしたわ!貴方達魔族と手を組んでやった私がバカでしたわ!」
カサンドラのその言葉を聞いた少年は、声を発する。
「へぇ、やっぱりそうだったんだな。さしずめ、『悪女な王妃様』ってところだな。そうだろ?カサンドラ。」
今回はすっごい短いです。なんせ中途半端なモンでして。
この前、息抜きに短編の童話を1つ書きました。「鏡の中のお化け」というタイトルです。
……僕の書く小説って『鏡』が多いですね。
累計ポイントが200超えました!ありがとうございます!




