異世界
「ん……あ、ああ……ん?」
ここは、どこだ?目の前に広がるのは広大な草原。後ろを見回すと遠くの方に荒野が見え、その奥の方には荒れ果てた山がうすぼんやりと見える。右を見ると、町のようなものが見える。
「ええと、確か……。」
俺は神託を受け、その依頼を承諾した。神界とやらで神と話した。ここまでは大丈夫。そのあと、
「げええぇぇ……。」
思い出した。とんでもなく気持ち悪い感覚と共に異世界に来たんだ。
「やっと目覚めたか。」
この低い声は!
「神様!どうなさったんですか?」
「うむ、いくらか説明を忘れとってな。こうしてテレパシーみたいなもんで会話しておる。」
「ははぁ、なるほど。して、用件は。」
いくらかのやり取りの最後の俺の質問に神が答える。
「まず、お主、今体が軽いじゃろう?」
「ん?あ、本当だ!軽い!軽いぞ!」
俺はジャンプしたり腕を振ったりしながら感触を確かめる。確かに軽い。
「ここは、もはや地球とは違う。ここは、重力が地球の3分の2ほどなんじゃ。分数で分かりにくいなら、地球の重力はここの1・5倍、とでも言おうかの。」
「へぇ、凄いですね、何か。」
「うむ。続いてお主の足元に袋を置いておいた。中にはお主がこっちに置きっぱなしにした4つの道具と、こちらの世界の通貨が3日間生活できるくらい入っておる。まったく、ドジめ。送っといてやったぞ。」
「あ、申し訳ございません。ありがとうございます。」
袋の中を見ると、神様に頼んだ4つの道具と袋がもう一つ入っていた。それの中にはいくつかの硬貨が入っていた。
「その中に入っているのだと、銅貨が日本で言う百円、銀貨が千円、金貨が1万円といったところじゃ。 他にももっと価値の大きい硬貨もあるがの。」
「ふむふむ。」
袋の中は、金貨3枚、銀貨5枚、銅貨が10枚入っていた。ここで一つ疑問が出てくる。
「あれ?3日にしては多くないですか?」
「それは、お主が宿に泊まるからじゃ。宿泊費はバカにならんぞ。」
「ああ、なるほど。」
俺は神様の説明に納得すると、4つの道具をもとの袋に入れ、金が入っている袋と別にする。そして、
「『ストレージ』」
魔術を使う。おお、本当に使えるんだ。理屈上できないはずだけど、さすが神だな。俺は、いきなり消えた両手に持っていた袋のあった両手を見て喜ぶ。
「うむ。やっぱり魔術はしっかり使えるようじゃな。」
「はい、大丈夫です。」
「うむ、ではこれでおしまいじゃ。今は日本で言うと朝の10時位じゃ。右手に見える『スーネア』の街に行くとよい。そこから先の情報収集は自分でやってくれ。実はけっこうムリしておっての、これからはテレパシーをするには10年くらいの休養が必要じゃ。」
神のさらっとした発言に俺は驚く。
「えっ!そんなに……分かりました、では、行ってまいります。」
仕方ないか……神とはいえ完ぺきではない。
「うむ、お主の思うままに生活するとよい。それと心の中でも儂らのことは神様と呼べよ。じゃ。」
「えっ!」
最後にとんでもないセリフを残して神様は10年間の休養に向かった。ばれてたのか……。
「何はともあれっと。」
俺は、右に見える『スーネア』の街に歩みを進めた。情報収集か、楽だといいな。
これから町や王国、帝国の名前にはある法則があります。もしわかった方がいらっしゃったらコメントください。




